働き方改革が進む日本では、ハイブリッドワークに注目が集まっています。ハイブリッドワークを導入する際は、どのような点に注意が必要なのでしょうか。ここでは、ハイブリッドワークの導入のコツを紹介すると共に、導入のメリットやデメリット、課題、成功のポイントまで詳しく解説します。

ハイブリッドワークでは、オフィスワークと在宅ワーク、シェアオフィスでのワークなどを組み合わせます。例えば、土日休みの企業では、月曜日から水曜日はオフィスワークで、木曜日と金曜日は在宅ワークにする方法があります。

ハイブリッドワークとは

ハイブリッドワークとは

ハイブリッドには、異なる性質を持つものを組み合わせるという意味があります。つまり、ハイブリッドワークは、異なる2つの働き方を組み合わせた働き方のことです。従来では、オフィスに出勤して働くことが主流でしたが、現在は自宅やシェアオフィスで働く方法が浸透してきています。

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ハイブリッドワークの種類

ハイブリッドワークには、リモートワークが定着した状態で従業員が自由に選択できる状況のハイブリッドワークと、リモートワークが定着せず、仕方なくオフィスワーク主体へと戻そうとしている状態のハイブリッドワークがあります。

ハイブリッドワークのメリット

作業内容や気分に応じて働く環境を選べることで、生産性の向上が期待できます。例えば、データ入力のような単純作業は自宅、グループでコミュニケーションを取る必要がある業務はオフィスで行う方法があります。

企業評価が高まる

働き方改革を積極的に推進している企業は、人材に対して良い企業の印象を与えられます。より多くの優秀な人材が集まることが期待できるでしょう。また、自由度が高い働き方は、特別な事情でオフィスワークができない優秀な人材の注目を集めることができます。

例えば、子育てや介護を理由にオフィスワークができず、就職を諦めている方は少なくありません。オフィスワークとリモートワークを選択できる環境を整えれば、このような人材も集まりやすくなります。

経費を削減できる

リモートワークが定着すれば、オフィスのスペースを減らすことができます。その結果、賃料だけではなく通勤にかかる交通費、備品購入費などの削減が可能です。オフィスが多ければ多いほどに、ハイブリッドワークによる経費削減の効果が高まります。

ハイブリッドワークのデメリット

ハイブリッドワークはメリットが多い手法ですが、次のようなデメリットもあります。

勤怠管理が複雑になる

ハイブリッドワークを導入すると、リモートワークにおける勤務状況や勤務時間などの把握が難しくなります。オフィスワークとリモートワークそれぞれの勤務状況や勤務時間を把握し、適切に管理することは難しいため、ミスも増える可能性があります。

従業員間のコミュニケーションの頻度が減る

リモートワークを選択する従業員が多い場合、従業員間のコミュニケーションの頻度が減少し、業務上の意思疎通や各種連絡に支障をきたす恐れがあります。

ハイブリッドワークを導入する際の課題

ハイブリッドワークを導入する際の課題

ハイブリッドワークを導入する際は、デメリットを踏まえて課題を抽出し、適切に対策しなければなりません。まずは、ハイブリッドワークを導入する際の課題について詳しく見ていきましょう。

現状のままでは意思疎通のレベルの低下を防ぐことができない

ハイブリッドワークの導入によって従業員間のコミュニケーションの頻度が低下し、意思疎通のレベルが低下する恐れがあります。コミュニケーションの頻度を減らしすぎないようにする、情報共有や諸連絡の方法を取り決めておく、定例オンライン会議を行うなどして、課題解決に努めることが大切です。

勤怠管理が複雑化して業務負担が増える

ハイブリッドワークでは、従業員がさまざまな場所で働くことで勤怠管理が複雑化します。その結果、バックオフィス業務の負担が大きく増加するでしょう。また、勤務時間を正確に把握できない場合、給与計算に支障をきたします。もし、実際よりも給与が少なく振り込まれてしまえば、従業員の企業に対する不信感が高まるでしょう。

緊急会議に対応できない

ハイブリッドワークでは、全ての従業員がオフィスにいるわけではないため、緊急会議に対応できない場合があります。そのため、緊急会議の際の対応についてルールを定めておくことが大切です。

組織のビジョンがうまく共有されない

オフィスは単なる働く場所ではなく、従業員間のコミュニケーションの円滑化や組織のビジョンの共有などの役割があります。そのため、リモートワークとオフィスワークの従業員に分かれると、組織のビジョンがうまく共有されなくなり、目標達成に向けて同じ目線を持つことが困難になるでしょう。

ハイブリッドワークを成功させるためのポイント

ハイブリッドワークを成功させるためのポイント

それでは、ハイブリッドワークを導入する際の課題を踏まえ、どのようなポイントを押さえれば成功できるのか詳しくご紹介します。

社内規定を見直す

働きやすい環境を整えるために、社内規定を見直しましょう。リモートワークの際のルール、緊急会議への参加に関する取り決めなど、トラブルを未然に防ぐことができる社内規定に変更することが重要です。勤務時間の算定方法や業務報告の規定、交通費の支払い規定、在宅勤務手当の支給条件の既定など、さまざまな項目の見直しが必要です。

効率化ツールを積極的に導入する

オンライン会議ツールや勤怠管理ツールなど、さまざまな効率化ツールを積極的に導入しましょう。リモートワークでもオフィスワークと変わらないレベルの業務を行えるように、ネット環境の構築やノートPCなども必要です。

セキュリティ性の向上

ハイブリッドワークでさまざまな場所が職場になると、情報漏えいのリスクが高まります。そのため、情報漏えいのリスクを抑えるためのセキュリティシステムの導入や、社外でPCを使用するときの規則の制定などの対策が必要です。

コワーキングスペースやシェアオフィスの提供

在宅だけではなくコワーキングやシェアオフィスでも働けるように定めることで、ハイブリッドワークのメリットを実感しやすくなります。従業員が自由にコワーキングオフィスやシェアオフィスを利用できるように運営者と契約を交わしましょう。

担当者不在時の対応を決めておく

オフィスワークが必要な緊急の業務が入った際、担当者不在で対応できない場合があります。案件ごとに複数人が担当につき、メインの担当者が対応できないときはサブの担当者がカバーする体制を整えましょう。

ハイブリッドワークの導入事例3選

ハイブリッドワークの導入事例からは、メリットとデメリット、成功のポイントが見えてくるでしょう。ここでは、大手企業や自治体のハイブリッドワークの導入事例を3つご紹介します。

マイクロソフト

マイクロソフトは、一時完全にリモートワークへ移行しましたが、その後はリモートワークとオフィスワークの掛け合わせの体制を構築しました。ハイブリッドワークは勤務時間や働く場所に囚われない柔軟な働き方を実現する方法です。今後、あらゆる組織で求められることを予測し、率先してハイブリッドワークに取り組んでいます。

マイクロソフトのハイブリッドワークの特徴は、オフィスワークも大切にしつつ、リモートワークを選択できる環境を提供していることです。例えば、勤務時間のうち半分まで在宅勤務を許可することで、従業員間のコミュニケーションや組織のビジョンの共有など、オフィスワークのメリットを得ることに成功しています。

さらに、柔軟性の高いオフィス空間や会議室のテクノロジー化など、従業員それぞれのニーズに対応した環境の構築に注力しています。

パソナ

人材派遣事業を展開するパソナグループは、地方である淡路島と首都圏、自宅などを行き来できるハイブリッドワークを導入しました。カフェや自宅、海辺など、場所を問わず働けるため、従業員の満足度も高いとのことです。さらに、2020年10月にはハイブリッドワークライフ協会を設立し、ハイブリッドワーク拠点の整備や情報発信などを行い、これらを通じて雇用創出に取り組むなど、ハイブリッドワークの推進に尽力しています。

福井県

福井県は、働き方改革の一環としてハイブリッドワークを導入しています。オンライン会議ツール、チャットツールで業務の進捗報告や従業員間のコミュニケーションを図り、ハイブリッドワークの課題を解消しているようです。

まとめ

ハイブリッドワークを導入する際は、課題解決の方法を策定したうえで取り組む必要があります。IT機器による業務効率化、コミュニケーションの円滑化、業務負担の軽減などを実現する他、ハイブリッドワークに対応した社内規定を追加・変更することが重要です。オフィスワークが当たり前だった日本では、ハイブリッドワークの導入が思うように進まないこともあるでしょう。

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