チャットボットのメリットはどのようなものでしょうか?そして、導入がうまくいく企業とはどのようなタイプでしょうか? チャットボットのメリットとして、問い合わせにまつわるあらゆる合理化が挙げられます。また、デメリットとしては癖のある日本語に対応できなかったり、並列の質問に並列で答えられなかったりといった部分があります。
チャットボットは、自動応答のツールです。2016年頃から、企業のホームページやサービスページに訪問すると、ブラウザの右下にbotが出てきて質問を受け付けようとする小さなボックスが登場することがあります。それがチャットボットです。チャットボットのあるホームページとないホームページ。お問い合わせをどのように受け付けるかは企業の方針次第ですが、チャットボットは多くの場合で大活躍してくれます。
今回は、チャットボット導入にあたってのメリットとデメリットをお届けしようと思います。
チャットボット導入のメリット
潜在顧客との接点が増える
チャットボットを導入すると、まず潜在顧客との接点が増えます。営業という観点からみてみると、見込み客の方と接点を増やすのはとても前向きなことです。「このサービスはうちの会社に向いているのだろうか?」とホームページの読者が思案してるときに、ブラウザ右下のチャットボットに何気なく問いかけた結果、思うとおりの答えが返ってきたら、それだけでお問い合わせにつながりますし、チャットボット導入の効果はあると考えられます。
24時間働き続けてくれる
また、マネジャークラスのビジネスパーソンに多い行動様式として、昼間は自身の業務に追われ、夜ひとりになったとき、さまざまな検索ワードでホームページにたどり着き、サービス導入を思案することがあります。
そんな夜中の検索で、お問い合わせに答えてくれるチャットボットがあれば、それだけで24時間体制のお問い合わせ対応が可能です。これはオペレーターで実施するととてつもなくコスト(人件費)がかかるので、チャットボット導入は合理的な判断でもあります。
既存顧客へのストレスのない対応
また、サービス導入後も既存のお客様からお問い合わせを受けることが多々あります。携帯電話会社だったら「改姓したときの手続きは?」「ポイントサービスが使えるネットショップは?」といった問い合わせがやってきます。既存顧客にストレスを与えないよう対応できるので、定型のお問い合わせによっては大きなサポートとなってくれます。
問い合わせコスト・工数の減少
さらに、お問い合わせコストや工数が大幅に下がります。従来はオペレーターが対応し、調べ物をして答えていたものが、チャットボットで自動応答すれば、その分だけ問い合わせコストは減ります。オペレーターを配備するコストも下がり、ひとりのオペレーターが複雑な問い合わせだけに専念できるので、人に対しての生産性も上昇します。
応答までのスピードが早い
チャットボットは、応答までのスピードが早く、あっという間に答えられます。AI搭載型とAI非搭載型がありますが、いずれにせよ裏ではプログラムが動いていますので、ほとんど瞬間的にお客様からのお問い合わせに答えられます。
つまり、普段コールセンターに電話をかけて「お待ちください」といわれて保留音を聞かされるあの時間がなくなるのです。これはお問い合わせを行うユーザーにとっても非常にノンストレスであり、サービスのチャーン(解約)を予防する働きがあります。
チャットボット導入のデメリット
一方、チャットボットの導入には、若干のデメリットも存在します。
パッケージのカスタマイズが必要
まず、チャットボットの中身はプログラムの集合体ですが、ティーチングが必要です。つまり、チャットボットに自社の想定される問答パターンを覚え込ませる必要があるのです。よって、チャットボット導入を決めた日にすぐさま運用をスタートできるわけではなく、このティーチングの工程が必須となります。その分だけ、導入スケジュールを組む必要が生じます。
複雑な質問・抽象的な質問には答えられない
さらに、チャットボットは複雑な質問には答えられません。体言止めを多用する特殊な文章だったり、問い合わせの文そのものに癖が強かったりすると、うまく日本語を解析できなくて処理できないのです。
また、AIがあるとはいえ、「勝手に壊れた」などの抽象的なワードには対応できません。お客様からの問い合わせの文章そのものが複雑だったり、内容の難易度が高かかったり、また抽象度が高い場合は、チャットボットは対応できなくなってしまいます。
チャットボット導入がうまくいく企業のポイント
では、チャットボット導入がうまくいく企業とは、どのような製品やサービスを持つ会社でしょうか。それは、製品やサービスの種類によって問い合わせの内容も変化するので、サービスにもよりけりですが、以下のように共通する特徴があります。
接客要素がない応答
まず、お問い合わせの中でも接客要素がない場合はチャットボットが向いています。ひとりひとりにきめ細かいケアが必要ない問い合わせや、経営判断として接客要素をなくしてチャットボットで大量の問い合わせをさばくと決めたケースなどです。
個別対応要素がない応答
同様に、個別対応の要素がない場合も、チャットボットが向いています。一人に向けてあたたかいメッセージを投げかけることもサービスには大切ですが、「改姓したいです」という問い合わせに対して「ご結婚ですか?おめでとうございます」とは聞けない時代です。個別対応しなくて良いケースもありますので、その場合はチャットボットでの対応が一番合理的です。
大量にお問い合わせが来る製品・サービスの場合
また、大量にお問い合わせが来る製品やサービスもあると思います。たとえば、PayPayというキャッシュレス決済サービスの場合、「クレジットカードはYahoo!カードと他のクレジットカードでポイント還元率は異なりますか?」などの質問がそれこそ大量にやってきます。朝も昼も夜もやってくるその質問に、オペレーターが応答していてはかなりの負担となりますので、チャットボットに想定問答をしっかり教え込んで対応するのが一番です。
まとめ:チャットボットのメリット/デメリット、導入が上手くいく企業のポイントを解説
チャットボットのメリットとデメリットについてみてきました。チャットボットはメリットが多い応答アプリではありますが、どの業界・業種でも完全にフィットするとは言いがたい部分があります。
ただし、チャットだから応答の品質が落ちる、ということはないのでご安心ください。サイトやサービスの品質を落とさない対応が可能です。現に、数多くのwebサイトでチャットボットが使われていますし、シャネルやルイヴィトンといったハイブランド・ハイメゾンのWebサイトでも利用されています。サービスの品質は、AIで落ちるわけではないのです。
チャットボットは、24時間365日体制で、お客様への応答を通じて市場に貢献しています。メリットは大きく、デメリットをよく理解してから導入すれば、うまく導入から運用までハンドリングできることでしょう。何より、人件費をカットし、優秀で貴重な人材を適材適所に配置できるという隠れたメリットは見逃せません。
また、AIは驚くべきスピードで進化していますので、現状のチャットボットのデメリットだと思われる部分も、克服される可能性は十分あります。チャットボットは技術的なポテンシャルに満ちた存在でもあるのです。