新型コロナウイルスを発端として、日本や世界のさまざまな企業がテレワークへの移行を進めています。しかし勤務形態を変更するにあたり、「電話対応」の業務がボトルネックになりがちです。
そこで今回は、テレワークにおける電話対応の課題や、具体的な解決方法についてご紹介します。
そもそも「テレワーク」とは?
そもそも「テレワーク」とは何を意味するのでしょうか?
テレワークは、「離れたところ=tele」と「働く=work」を組み合わせた造語です。「リモートワーク」や「リモート勤務」などともいわれ、情報通信技術を活用しながら場所にとらわれない働き方をするのが特徴です。
ひとえに「テレワーク」といっても、その形態はさまざま。自宅で働く「在宅勤務」、電車や飛行機などの移動中で行う「モバイルワーク」、事務所以外の仕事場を活用する「サテライトオフィス」、リゾート地で仕事をする「ワーケーション」などがあります。
近年はテレワークに移行する企業が急増している
とくに最近は、新型コロナウイルスの影響で、企業がテレワークへの転換を余儀なくされています。
株式会社パーソル総合研究所が2020年3月に行った調査によると、コロナ影響下におけるテレワーク実施率は、全国平均で24.7%でした。従業員規模が1万人以上の企業においては、実施率が45.0%と高い水準になった一方、100人未満では13.1%となっており、格差が広がっているのが現状です。
社会の環境変化に合わせて、企業の勤務形態も変革していかなければなりません。
テレワークにおける電話対応の課題
企業がテレワークを推進していくにあたって、とくに電話対応の分野で多くの方が課題を抱えているのが実情です。
株式会社シンカが行った、リモートワーク・テレワーク実施企業の総務担当者への調査によると、31.1%の企業が「電話対応に課題を感じている」と回答しています。
その中でも特に多かったのが次のような課題です。
- 少人数が持ち回りで出社し対応しなければならなかった
- 電話での問い合わせ対応ができなくなった
- 電話転送などで、在宅勤務中の特定の社員に負荷がかかってしまった
下記では、企業がテレワークを推進していくうえで、課題になりやすい点を詳しく解説します。
出典:【緊急事態宣言解除後に向けたリモートワーク/テレワーク企業の固定電話対応調査】総務担当者の悩み、リモートワーク/テレワークにおいて「固定電話対応が課題」が31.1%
社員が電話応対のためだけに出社しなければならない
企業がテレワークへ移行する中で、多くの社員が不満を抱えやすいのが「電話応対のためだけに出社しなければならない」ということです。実際に、株式会社シンカが行った同調査において、「固定電話対応のために緊急事態宣言中に出社したことがあるか」との疑問に対し、以下の回答となりました。
- 2回以上出社した:48.1%
- 1回は出社した:5.6%
- 自分は出社していないが、同じ部署の者が出社し対応した:20.9%
- 同じ部署の人は誰も出社していない:25.5%
特定の業務のためだけに出社することは、社員にとってストレスになるだけでなく、業務の非効率さから上層部へ不満を感じてしまう原因にもなるでしょう。サテライトオフィスや自宅などでも、固定電話の発着信に対応できる仕組みを構築することが必須です。
テレワーク中の社員に負担がかかりやすい
オフィス勤務からテレワーク勤務へと切り替えると、社員のほとんどが別々の場所で働くことになるため、取り次ぎの業務がいつもより多く発生してしまいます。
その結果、一部の社員に多大な負担をかけてしまったり、社内や社外でのコミュニケーションミスを起こしてしまったりしがちです。担当者や顧客との意思疎通がうまくいかないことで、「せっかくの商談の機会を逃してしまう」といった事態になりかねません。
社員の満足度を高めたり、コミュニケーションミスによる機会損失を避けたりするためにも、テレワークに適した電話環境の構築が欠かせないのです。
テレワークにおける電話対応の方法
それでは、テレワークの環境下において、電話対応業務をどのように変革していけばよいのでしょうか?以下では、具体的な方法を5つご紹介します。
1.取り次ぎ後、担当者の携帯電話で折り返す
1つ目は、出社中の社員が固定電話で対応し、自宅やコワーキングスペースなどにいる社員へ取り次ぎ、スマホなどで折り返す方法です。別途でシステムやサービスを導入する必要がないので、コストを抑えたい企業におすすめです。
一方で取り次ぎが発生してしまうため、社員数が多ければ多いほど、業務の負担が増してしまいます。コミュニケーションミスも起こりやすいので、あまりよい方法だとは言えないでしょう。
中小企業など、従業員規模が比較的小さい場合であれば機能しやすいといえます。
2.転送電話サービスを活用する
転送電話サービスとは、固定電話にかかってきた番号を、別の番号へ転送して受信できるサービスのことです。転送先をスマホに設定しておくことで、自宅などからも会社宛ての電話を受信できます。
電話転送サービスでは、「平日だけ」や「夜間だけ」など、特定の日時を指定して転送することが可能。「全社員の出勤日のときだけは転送しない」といった使い方もできます。
一方で通常のサービスだと、転送するごとに20~40円ほどの料金がかかってしまうのがデメリット。従業員規模が多ければ多いほど、毎月支払う額が跳ね上がってしまいます。
最近では、定額制で利用できるサービスや、複数の番号に転送できるサービスが登場しているので、そちらの利用を検討してみてもよいでしょう。
3.電話代行サービスを活用する
電話代行サービスとは、電話の対応業務を一括してアウトソーシングできるサービスのことです。見込み客や取引先から電話が来たときに、専用のオペレーターへ転送して対応します。その後、オペレーターから通知がきて折り返しで対応ができる、というものです。
電話代行サービスを利用することで、社員が電話応対にかける時間を削減し、本来の業務に集中できるようになります。
テレワークはもちろん、外勤営業でほとんどの社員がオフィスにいないときや、受電漏れをできるだけ避けたい場合などにもおすすめです。
4.IP-PBXやクラウドPBXを導入する
社内のシステム変更も可能であれば、「IP-PBX」や「クラウドPBX」の導入を検討しましょう。そもそも「PBX」とは、「構内交換機」のことで、通話の内線や外線をコントロールできる機器を指します。
通常のPBXだと、複数の電話機へ電話回線をつなげなければならないため、オフィス外での通話はできませんでした。
一方でIP-PBXは、ネットワーク回線を利用して内線や外線の受け渡しができるため、オフィスから離れた拠点からの通話が可能になるのです。ただ、現在社内でビジネスフォンを使用している場合は、IP電話機へと変える必要があります。
クラウドPBXは、PBXをクラウド上(サービス提供者のサーバー)で利用できるサービスのこと。すべてをインターネット通信で完結させられるので、物理的な設備を導入する必要がありません。
クラウドPBXは、通常のPBXやIP-PBXと比べて、低コストで利用できるのが魅力。また、スマホに専用のアプリをインストールするだけで利用できるので非常に便利です。
5.テレワーク用の電話ツールを導入する
テレワークの業務形態に合わせて、手軽に電話対応の仕組みを構築したい方は、専用の電話ツールの導入が最適です。近年のコロナウイルスの影響もあり、テレワーク環境に適したツールを提供する企業が増えています。
たとえば、スマホから発信しても市外局番で相手に通知がなされるIP電話アプリや、社内の既存PBXを活用しながらスマホ内線化を実現できるサービスなどさまざまです。
電話転送サービスやクラウドPBXで自社の要件を満たせないような場合に、検討してみてもよいでしょう。どれも、比較的安い価格で利用できるのがポイントです。
テレワークで電話対応の仕組みを構築する際のポイント
テレワークに合わせた電話対応の仕組みを構築する際は、従業員の個人携帯を業務用としてそのまま用いる「BYOD」にするのか、社用携帯を支給するのかを決める必要があります。
企業がBYODを選択することで、携帯電話の購入にかかる費用を削減できるのがメリット。一方で、情報漏洩に関する懸念が高まったり、労務管理の手間が増えたりするなどのデメリットがあります。
社用携帯を支給することで、個人用の電話番号が知られないなど、社員のプライバシーを守れるのが魅力です。また、仕事用とプライベート用で機器を分けられるので、テレワークでもメリハリのある業務遂行が可能になります。
どちらもメリット・デメリットの両方があるので、自社の状況と照らし合わせながら検討しましょう。
テレワークでの発着信を可能にする!おすすめのサービス6選をご紹介!
以下では、テレワーク環境においても、社内電話との内線を構築できるサービスをご紹介します。テレワーク用の電話ツールや転送電話サービスなど、さまざまにラインナップしたので、参考にしてみてください。
テレワークCall.app
テレワーク Call.appは、アクロスウェイ株式会社が提供するテレワーク専用の電話ツールです。オフィスにかかってきた電話を、Web上のリストからリアルタイムで確認・社内共有できます。
具体的には、社内電話へ誰も出ないときに、着信情報をWeb上のインバウンドリストに表示します。その後、クリックした担当者へ荷電がなされる仕組みです。誰も出なかった場合は、コールバックリストにコールリクエストが表示され、ワンクリックで顧客へ折り返しができます。
また、社内の既存PBXをそのまま活用できるのがメリット。最短5営業日で導入できる手軽さも魅力です。
【プラン・料金】
- 初期導入費用:44,000円
- 月額利用料:22,000円/1番号付
テレワークcall ダイレクト
テレワーク call ダイレクトは、株式会社NextGenビジネスソリューションズが提供するスマホ内線電話化サービス。社用・個人用のスマホを問わず、社内のPBXを活用しながら内線化を実現できるのが特徴です。
利用を始めるには、専用の「AGEphone Cloud」をインストールするだけ。社内の固定電話をなくして、スマホのみの応対環境を構築することも可能です。
テレワーク call ダイレクトでは、クラウドとオンプレミスの2種類からプランを選択できます。オプション機能を付ければ、内線通話を録音できるのがメリットです。
【プラン・料金】
- オンプレ20:20IDまでの内線収容、2通話までの外線同時接続
- オンプレ50:50IDまでの内線収容、5通話までの外線同時接続
- オンプレ100:100IDまでの内線収容、10通話までの外線同時接続
- SaaS 1ID~:1IDからのご提供となります
※各プランとも料金は要問合せ
03plus
03plusは、株式会社グラントンが提供するスマホ専用のIP電話サービス。社外にいても、代表電話などの社内固定電話番号を使って、相手に荷電できるのが特徴です。
利用を開始するには、専用の「03plus」アプリをダウンロードするだけ。休日や休憩時間を指定して、時間外アナウンスを行ったり、FAXをスマホで送受信したりできます。
また、新規で050番号を取得することが可能。端末10台以上で導入予定の企業であれば、導入から運用までの一貫したサポートを受けられます。
【プラン・料金】
- 月払いプラン:初期費用5,000円、基本料金980円/月、通話料、(10分かけ放題1,000円)
- 年払いプラン:初期費用0円、基本料金11,760円/月、通話料、(10分かけ放題6,000円)
オフィスリンク
オフィスリンクは、株式会社NTTドコモが提供する携帯電話の内線化サービスです。ドコモの携帯電話を社内で導入している場合におすすめです。
導入方法は「お客様PBXタイプ」と「仮想PBXタイプ」の2種類。お客様PBXタイプでは、社内の既存PBXを活用して、電話を転送できるのが特徴です。
一方仮想PBXタイプでは、自社に機器を必要としない「仮想PBX」を用い、ドコモのIP電話網を使って内線化を実現できます。
また、接続不良などのトラブルに備えて準備できる「アクセス回線冗長化サービス」や、発信をオフィスリンクの内線のみに指定できる「外線発信(携帯電話番号発信)規制サービス」といったオプションプランも用意しています。
【プラン・料金】
- お客様PBXタイプ
- 初期費用:1,100円/回線、77,000円/拠点、2,200円/契約
- 月額費用:990円/回線、2,200円/契約、440円/ch、5,500円~33,000円/アクセス回線
- 仮想PBXタイプ
- 初期費用:1,100円/回線、77,000円/拠点、2,200円/契約
- 月額費用:990円/回線、35,200円/契約、440円/ch、440円/内線番号、5,500~33,000円/アクセス回線
URL:https://www.nttdocomo.co.jp/biz/service/officelink/function/pbx/
INNOVERA PBX
INNOVERA PBXは、株式会社プロディライトが提供するクラウドPBXサービス。社内のルーターとIP電話を使用して、社外のスマホアプリを内線化できるのが特徴です。
INNOVERA PBXでは、すべての通話を自動で録音できるのがメリット。データの保存量制限はなく、6か月間保存し続けられるのが魅力です。
また、「年末年始の休暇日」や「平日の18時以降」など、特定の日時を指定して自動応答アナウンスを設定可能。管理画面は非常にわかりやすいので、初めての方でも気軽に操作できるでしょう。
【プラン・料金】
- 要問合せ(無料トライアルあり)
みんなにでんわ転送
「みんなにでんわ転送」は、株式会社ブルーポンドが提供する転送電話サービス。新規で発行された050の電話に着信があると、登録済みの固定電話やスマホなどへ一斉に着信できるのが特徴です。
誰かが通話をしている最中でも、ほかの回線を使って別々に会話することが可能。発信する際は、発行した050の番号でかけられるので、BYODを検討している企業にもおすすめです。
導入実績は、英会話スクール・コールセンター・オンラインショップ・クリニックなどさまざまにあります。低価格で利用できるので、予算が限られている中小企業でも導入しやすいでしょう。
【プラン・料金】
- 初期費用:0円
- 月額料金:1,500円
テレワークにおける電話対応の課題は、サービスの導入で解決しよう
今回は、テレワークにおける電話対応の課題や、具体的な対策方法、おすすめのサービスを中心に解説しました。コロナウイルスによってテレワークへの変革が迫られている一方で、電話対応の業務については、多くの企業でボトルネックとなっているのが現状です。
対策方法として、転送電話サービス・電話代行サービス・IP-PBX/クラウドPBXなどのサービスをご紹介しました。選ぶ際は、「自社の予算に合っているか」「スマホは誰のものを使うのか」などを検討することが大切です。
もし、どのサービスを導入しようかと迷われていらっしゃいましたら、「テレワークCall.app」や「テレワークcall ダイレクト」といったテレワーク用の電話ツールを選んでみてもよいかもしれません。
テレワークにおける電話対応の業務を変革し、円滑なコミュニケーションを実現しましょう。