近年さまざまな業種でRPAの導入が進んでいますが、適切に管理することも非常に重要です。では、どのように運用ルールを策定し、管理すれば安定的な運用が可能になるのでしょうか。
現在、RPAを導入したばかりでまだ対策ができていない状況であれば、まず運用ルールの策定からはじめてみることをお勧めいたします。
この記事では、RPA管理のための運用ルールの重要性とその策定方法についてわかりやすくご紹介します。
運用ルールの重要性
運用ルールがきちんと整備されていない場合、どのような問題が生じる恐れがあるのでしょうか。具体的な問題からルールの重要性を確認していきます。
作成者がつかめずトラブルが起きた際の対処ができない
運用ルールが明確化されていないと、だれが自動化ツールを作ったのか、作成者がつかめないことも考えられます。作成者が不明であれば、稼働停止や誤作動といったトラブルが起きても適切な対処ができません。その一方で事前にルールが策定されていれば、作成者に対して稼働状態の確認や修正なども素早く相談できます。
どこでどのRPAが作用しているか把握できておらずコストがかさむ
利便性に甘んじて安易にロボットをたくさん作成してしまうと、稼働状況が把握しづらくなり管理コストが膨大になってしまう可能性があります。管理コストを抑えたいのであれば、RPAごとの費用対効果を調べ、作成の必要性についての判断が必要です。
誤った作業を続けてしまい自社の損失につながりかねない
RPAの管理が曖昧になってしまうと、誤った稼働によって大きな損失につながる恐れがあります。無許可で顧客データを書き換えたり、指示なく在庫数を変更したりといった問題を起こさないためにもルールの策定、見直しが必要です。
運用ルールの策定方法
RPAの効果を最大化するためには、運用ルールの策定が必要になります。どのようにルールを策定すればよいのか、参考例をご紹介します。
ロボット開発の申請
まずはロボットを作成するにあたって、申請方法を決めておきましょう。申請時には、情報共有フォーマットを作成し、誰がどのようなツールを作成したのかをシェアできると非常に便利です。
開発スキルの明確化
ロボット開発の際に社員の開発スキルを明確化しておけば、得意分野や専門知識に応じて適切な役割を任せられるでしょう。また、スキルシートは推進チーム結成時にも大いに役立ちます。
運用管理者の教育と選定
社内でロボットを安定的に稼働させるには、運用管理者の教育と選定が必要です。推進チームのリーダーや勉強に熱心な方には、勉強会に参加してもらって意見交換の場を設けましょう。お互いに知識を深められることにつながります。
運用している時にトラブルが起こった場合の対応方法
万が一RPAの運用中にトラブルが発生した場合は、再稼働までの手順や対応方法を決めておきましょう。これにより、誤作動による被害の拡大を防げます。
またこの他にも、全体が管理できる次のようなドキュメントが整っていると、運用しやすくなります。
・開発管理中のRPAの一覧
・エラー情報
・各種バージョン情報
・各種ロボットのワークフローの概要図
RPAを上手く運用していくには
運用ルールを策定したうえで、社内で上手く運用していくにはどうすればよいのでしょうか。具体的な運用のポイントについて説明します。
導入フェーズごとのマニュアル化
効率的に運用する際は、導入前・導入中・導入後の各フェーズで確認するべき点を、マニュアル化しておくことが重要なポイントです。
たとえば、導入前ならワークフローの範囲設定、導入中なら運用コストや操作エラーの有無、導入後ならメンテナンス性の高さに注意を払う必要があります。
社内ガイドラインを設定する
開発者にRPAの開発を自由に依頼すると、トラブル発生時に出口の見えない状態となってしまうでしょう。そのため、社内で利用する際はガイドラインを設定し、事前に開発権限の範囲を設定しておくことが大切です。
部署・業務分担を明確にする
ツールの使い方によっては、大規模な障害やトラブルが発生してしまうこともあり得ます。また、再稼働に必要な操作方法がわからず、一時停止するようなことが起きるかもしれません。
そのようなリスクに備えて、不測の事態に対応可能な部署や相談可能な業務負担の範囲を明確にしておきましょう。
小さくゴールを設定しながら稼働させる
「ロボットの安定的な稼働」をゴールに設定すると、そこまでの道のりが非常に長くなり、最後まで高い集中力を維持することが難しくなってしまいます。また、ゴールに到達するまでは達成感を得られず、軌道修正も困難を極めます。
一方でゴールを小さく設定すれば、ロボットが安定稼働するまでの進捗が明確化されます。達成感を得ながら最小限の修正回数で、パフォーマンスの高いRPAを開発することが可能です。
最後に
RPAは、単に導入するだけでなく、運用ルールの整備化によって効果に大きく影響が出ます。もし導入を検討しているのであれば、最大限の効果が発揮できるよう、適切な管理や運用方法について準備を整えましょう。