RPAを業務に活用するためには、自社に適したシナリオの設計を行う必要があります。導入する業務の選定や設計、開発は簡単なことではありませんが、これを行わずにRPAの導入はできません。そこで重要になるのが、精通した人材をいかに確保するかという点です。この記事では、社内における人材の役割と確保について解説します。
RPA推進に必須の「RPA人材」
RPAを導入することによって、これまで人が手作業で行っていた見積書や請求書といった各種文書、リストの作成といった業務を自動化できます。推進することで、ヒューマンエラーをなくして確実性を上げるとともに、コストの軽減にもつながります。また、業務効率化やコア業務への注力を進める上で大きな効果をもたらすといえるでしょう。
導入の課題
導入を進める上で重要な課題となるのが、人材不足です。RPA自体が比較的新しい取り組みであることもあって、理解が進んでいない企業は少なくありません。また導入しようにも、どこから始めれば良いかわからない、開発ができる人材がいないといった問題に直面するケースもあります。
設計や開発は外部への委託もできますが、どの業務を自動化するのかといった選定は社内の人間でなければできません。また、設計や開発を外部委託した場合、現場との意思疎通がうまくいかずに期待通りならなかったというリスクもあります。
導入するためには、仕組みを理解した社内の人材が必須だといえるでしょう。
RPA人材の担う役割
実際に導入するためのステップは、主に次の4段階です。
- 自動化する業務の選定
- シナリオ設計
- シナリオ通りにRPAを動かすための開発
- システム保守、改修業務
複数の業務を一人の人材が担うケースもあれば、それぞれ別の人材が担うケース、一部を外注するケースなどがあります。しかし、実際に操作することになるのは現場の人間です。そのため業務に精通した社内の人材がすべての工程を担当できるのが理想となります。
RPA人材確保の4つの方法
人材を確保する方法は、主に社内育成、キャリア採用、派遣、アウトソーシングの4種類です。それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介します。
社内育成
社内で適任と思われる人物をRPA人材として育てるケースです。社内育成のメリットは、実際の業務内容を理解した上で設計や開発に携われることです。開発スキルを一から身に着けるためにはある程度の時間が必要ですが、RPAツールを提供している会社の研修制度などを活用すれば、人材を育成して導入を目指すことも十分可能です。
外部からキャリア採用
専門のスキルを持った人材を外部から採用する方法です。即戦力を確保しやすいものの、長期雇用することになるため、導入が終わった後の配置については検討する必要があります。
派遣社員やフリーランスの雇用
派遣社員やフリーランスを導入時のみ雇用する方法です。その際は設計や開発など、必要な部分にのみ専門的なスキルを有する人材が活用できます。一方、現場とのミスマッチが起こるリスクや、契約終了後の引継ぎといった問題点もあります。
アウトソーシング
導入時のサポートを行う専門のアウトソーシング会社に依頼する方法です。開発や設計、保守のほか、人材育成サポートを行ってくれるケースもあります。ただし、これも実務とのミスマッチのリスクがあります。自社に適した提案をしてもらえる会社を選ぶ必要があるでしょう。
社内で効率よく人材育成をするには
RPAをスムーズに導入するためには、どのツールを選択するのかということと、いかにして人材を確保するのかが大切です。ツールに精通した人材を社内で育成し、現場とRPAの両方に精通した人物が開発にあたることが、導入成功のカギになるでしょう。知識を得る場を幅広く活用することで想定よりもコストを抑えて社内の人材教育ができる場合もあります。
セミナーの受講
座学だけでなく、ツールを触りながら実地で学べるセミナーや研修会に参加することで、RPAに関するスキルを大幅に伸ばせます。
eラーニング
時間や場所を選ばず、いつでも都合の良いタイミングで受講できるeラーニングは、仕事をしながら学ぶ上でも便利です。また、わからなかった部分も繰り返し受講できます。
オンラインフォーラム
勉強する中で生まれた疑問点や発見を気軽に発信できるフォーラムを作ることで、知識を互いに高め合うことができます。社内フォーラムを作る方法もありますが、同じツールを使っている人同士が広くつながれる場があれば、より効率よく知恵を集約できます。
UiPathアカデミー
UiPath社のツールを導入するのであれば、無料で利用できるUiPathアカデミーがおすすめです。こちらではRPAツール「UiPath」についてのeラーニングと公式集合研修を提供しています。
世界中のユーザーと情報交換ができるUiPathフォーラムや、スキルを客観的に測れる認定資格、60日間無料でRPAツールを利用できる「Community Edition」と学習に役立つサービスも揃っています。気になる方は、社内の人材育成に活用しましょう。
最後に
業務の効率化に便利なRPAですが、単純に導入だけしても効果が上がらない場合も想定されます。実際に使う現場の人間が開発に携わり、使い勝手の良いシナリオ設計や開発を行うことが理想です。一見遠回りに感じられても、社内の人材を育成して開発を行う方が、より自社に適した形で業務の自動化を行えます。