RPAを導入すれば大幅な業務の効率化が期待できるため、注目している人や企業も多いです。しかし、その特徴を正確に理解していないと重大エラーにつながるリスクもあります。
エラーを防ぐためには、導入後もメンテナンスとセキュリティ対策を続けていくことが非常に重要です。この記事ではRPAを運用していくうえで考えられるリスクとその対策について解説します。
RPAの導入後に起こりうるエラーとは
RPAの導入後はロボットを管理し、正しく運用していく必要があります。ここでは、典型的なエラーパターンを挙げてみます。
ロボットの誤作動
RPAはAIと違って学習したり状況を判断したりすることができません。そのため、業務プロセスが変わるたびに指示を変更する必要があります。
設定のミスやデータの誤りがあると、メールを誤送信したり、間違ったデータやファイルのアップロードを繰り返したりと、間違った処理をいつまでも続けてしまいます。個人情報や企業の重要データ流出に繋がりかねないので、十分に注意するようにしてください。
外部からの不正アクセス
設定のミスなどによる、外部からの不正なアクセスには十分な注意が必要です。不正アクセスを許してしまうと、個人情報流出やデータ改ざんに遭う危険があります。ロボットの設定を誤ったことで、アクセス権がないリソースが予期せず不正に使用される可能性も視野に入れるべきです。
管理者がいない野良ロボットの発生
ロボット担当者の異動や退職によって、ロボットが管理しきれなくなるケースは珍しくありません。この管理されなくなったロボットのことを「野良ロボット」といいます。放置したままの野良ロボットは、停止しない限り業務プロセスを実行し続けます。社内での仕組みを強化し、そもそも野良ロボットが発生しないようにするべきです。
RPA運用におけるセキュリティ対策の重要性
RPAを運用するためには、セキュリティ対策が非常に重要です。セキュリティ不備によるリスクは、どれも業務をするうえで致命傷になりかねません。以下のようなリスクを把握し、備えておく必要があります。
ロボットが乗っ取られるリスク
不正アクセスによって、ロボットが第三者に乗っ取られる可能性は常に想定しておかなければなりません。
不正アクセスは、外部からとは限りません。社員がアクセス権限を不正に利用するケースも考えられます。そのため外部からのアクセス対策だけでなく、社内での権限管理も重要です。
ロボットに権限を与えるリスク
ロボットにパスワードを教えて社内データへのアクセス権やアプリ使用権限を与えないと、プロセスの自動化は期待できません。しかし、それは諸刃の剣でもあります。もし不正アクセスがあれば、ロボットの保持する情報が筒抜けになってしまう可能性があり危険です。
管理者不在の「野良ロボット」が業務に悪影響を与えるリスク
前述したように、「野良ロボット」の発生は珍しいことではありません。
放置されている野良ロボットは、業務プロセスに変更があったとしても以前の業務プロセスを継続してしまうため、間違ったデータを上書きしてしまったり情報漏えいなど業務上のリスクが上昇します。
RPAを安全に運用するための方法
前述したリスクを避けてRPAを安全に運用していくために、ポイントをおさえて管理する必要があります。
通信・パスワードの暗号化
ロボットにパスワードを教えたとしても、その通信やパスワード自体を暗号化すれば、セキュリティは大幅にアップします。仮に不正なアクセスがあったとしても、暗号化を読み解くすべがないと相手は盗んだ情報を見ることはできないため、情報の漏えいを阻止できます。万が一に備えて、必ず暗号化するようにしておきましょう。
メンテナンスとバックアップ
RPAの運用には、メンテナンスとバックアップが必要不可欠です。エラーをそのまま放置しておくと大損害に繋がる可能性がありますし、システムダウンしてしまうとデータが全て消えてしまうことすらありえます。
こうした突然のシステム障害によるデータの消滅やエラーによる損害を防ぐためにも、日ごろからメンテナンスとバックアップをこまめに実施するようにしてください。
統合ログ管理ツール利用
複数のログをまとめて管理するためのツールとして「統合ログ管理」があります。ログを取得するためにロジックを組み込んだりする必要はありますが、このツールを利用すれば、セキュリティポリシー通りに業務代行ロボットを管理できるようになります。導入時から一元管理できていれば、迅速にトラブルの状態を確認できるため、有効な手段と言えます。
最後に
便利なRPAもメンテナンスやセキュリティ対策を怠ると、様々なリスクを引き起こす可能性があります。導入時からIT部門とよく連携し、適切なセキュリティ対策を講じたうえで運用していくことをおすすめします。