OrchestratorでRobots管理

業務効率化と生産性向上のためRPAを導入すると、業務内容に応じて作業を行うロボットの数は増えていきます。しかしその数が多くなればなるほど管理は煩雑になってきます。それをおろそかにしていると、大きな問題に発展する可能性も少なくありません。
そのような事態を防ぐために、複数のロボットを活用する環境ではロボットを一括で管理するツールが不可欠となってきます。
UiPath社のOrchestratorによるロボットの管理についてみていきましょう。

ロボット管理のための環境分割

Orchestratorの管理は大まかに「テナント」「フォルダ」「グループ」で分割されます。ユーザーが持つ権限によってアクセスできる範囲が違い、その中でも作成可能なユーザー、閲覧のみ可能なユーザーなどの制限が可能です。

まず「テナント」を作成し、その中に「フォルダ」、更に「グループ」と登録していきます。Orchestrator全体の管理権限を持つのはホスト管理者のみで、テナント管理者は1つのテナントのみ管理することができます。そのため、各部署ごとにテナントを設定し、それぞれのテナント内でチームごとにフォルダを作成すると管理しやすいでしょう。その他のユーザーは管理者によって許可されたフォルダ内で、許可された行動にだけ権限が付与されます。

フォルダ内で稼働するロボットのまとまりを「ロボットグループ」と呼びます。ここにロボットを登録することで、グループごとにプロセスを分けてインストールできるようになります。フォルダの中にロボットグループを作成し、同じフォルダ内であってもプロセスを分けられます。

Orchestratorでロボット管理を行う際の流れ

管理の流れ

テナントやフォルダの設定が完了した後、実際に管理するまでの流れを説明します。

1.まず前述したロボットグループを作成します。このとき、プロジェクト名など分かりやすい名前をつけることでその後の管理を行いやすくなるでしょう。

2.作成したグループに含めたいロボットを選択します。一度に複数のロボットを指定することも可能です。

3.端末からOrchestratorに接続します。プロセスの登録やログの収集など、稼働状況をグループごとに行うことができるようになります。

4.StudioXなどのロボット開発ツールとアクセスを行うと「パブリッシュ先」にOrchestratorが表示されるようになります。そこで新しい作業を作成するとOrchestratorに追加されます。この時点ではまだインストールできません。

5.「プロセス」ページで、作成した作業の追加を行います。この時に、どのロボットグループにインストールするかを選択可能です。

6.5.で選択したロボットを起動し、追加した作業のインストールを完了させれば実行できるようになります。ロボットの稼働状況や作業のログはダッシュボードで確認できます。

ロボット管理の一括化で得られるもう1つのメリット

一括管理のメリット

ロボット管理の一括化で得られるメリットには、複数のロボットの稼働状況などを総括的に把握できる以外にも、現在不要となっている作業を実行し続ける「野良ロボット」を防ぐことができるというものがあります。

野良ロボットとは、管理者が異動や退職などで手を離れたり、既に終了したプロジェクトのロボットの削除を失念するなどして、把握・管理できていないまま動作しているロボットのことです。野良ロボットの動作によって、システムに不要な負荷をかけてしまう可能性があります。これにより処理速度が低下し、全体的な業務効率の低下が発生してしまうのです。また、野良ロボットによって必要なデータが勝手に上書きされてしまったり、場合によっては削除されてしまったりというトラブルも起こり得ます。顧客情報の流出など、企業経営に影響を及ぼす可能性さえあるのです。

現段階では野良ロボットによる被害の事例はまだ多くはありません。しかし、DXの推進や労働人口現象に伴う業務効率化の推進やRPA導入増加に伴い、野良ロボットによる被害リスク顕在化の可能性があります。
RPAの導入が進み、増えてきたロボットをそれぞれ別個に管理しているとこの野良ロボットが発生しやすくなります。これを防ぐためにも、Orchestratorのグループ機能をうまく活用し、ロボットを一元管理することが望ましいです。

最後に

この記事では、Orchestratorでのロボット管理を行う手順とそのメリットについて説明しました。
RPAを導入したとしても、作成したロボットの数が増えると稼働状況の把握が難しくなるなど、管理が煩雑になります。「野良ロボット」の発生も大きな問題に発展する危険があります。それを防ぐためにも、RPA化が進むほどにロボットの一括管理は必須といえます。

導入前には、あらかじめ部署やチーム単位で管理対象の範囲をまとめておくとスムーズでしょう。

【無料プレゼント】RPAを検討中の方はぜひ入手してください

【無料】UiPathについての資料請求・見積請求・お問い合わせ

製品比較の際にUiPathの詳細資料も一緒にいかがでしょうか