LEDビジョンとは?液晶モニターとの違いや導入メリット・活用事例まで徹底解説

近年、イベント会場や商業施設、駅の構内などで目にする機会が増えたLEDビジョン。高精細で迫力ある映像を演出できるため、広告や案内、空間演出などさまざまな用途で導入が進んでいます。

しかし、実際に導入を検討するとなると、

  • 「費用はどれくらいかかるの?」
  • 「設置工事やメンテナンスが大変そう」
  • 「そもそも設置できるの?」

といった不安や疑問を持つ方も少なくありません。そこで本記事では、LEDビジョンを導入するメリットや注意点、導入までの流れ、費用の目安などをわかりやすく解説します。

デジタルサイネージの3つの導入メリット

LEDビジョンを導入するメリット

LEDビジョンは視認性や設置の自由度、コストパフォーマンスなどさまざまな面で優れており、導入によって得られるメリットは大きいといえます。特に期待されるメリットは以下の3点です。

高輝度で遠くからでも視認性が高い

LEDビジョンの最大の特長は圧倒的な明るさと視認性です。屋内はもちろんのこと、日中の直射日光下でもはっきりと映像を表示できるため、大型イベントや商業施設、交通機関など特に人通りの多い場所での利用に適しています。

また、遠くからでも文字や映像が鮮明に見えるため、屋外看板や大型の掲示板に比べて情報伝達力が格段にアップします。

自由なサイズ設計が可能

LEDビジョンは発光ダイオードのチップを組み合わせて構成されているため、サイズや形状の自由度が非常に高いという特長もあります。

液晶モニターは製品によって画面の大きさが決められていますが、LEDビジョンの場合はフルHDや4Kといった規格にとらわれず、空間に合わせて横長や縦長、曲面など自由にレイアウトできます。

たとえば、駅の構内や大型ショッピングモールなどでは、柱を巻き込んだ円筒形のビジョンを設計したり、屋外では壁一面を使った超大型ビジョンなども実現可能です。

屋外でも使える耐候性・耐久性

屋外用のLEDビジョンは防塵・防水性能を備えた仕様のものが多く、風雨や直射日光といった過酷な環境下でも耐えられる構造となっています。また、製品によっては-20℃〜50℃といった幅広い温度帯での動作が可能なものもあり、寒冷地や猛暑の地域でも安定した運用が可能。

長期間の連続稼働を前提に設計されているため、メンテナンス性にも優れています。

LEDビジョンの導入で失敗しないためのポイント

LEDビジョンは液晶モニターに比べると高額であるため、導入にあたってはコストばかりに目が行きがちです。しかし、安さだけを基準で選んでしまうと必要な要件やスペックが満たされず、本来想定していた運用ができないおそれも。

そこで、LEDビジョンの導入を失敗しないために注意すべき3つのポイントをご紹介します。

設置場所に応じた最適な「ピッチサイズ」選び

LEDビジョンを構成している発光ダイオードのチップ一つひとつの間隔のことをピッチサイズといいます。

一般的にピッチが小さい(間隔が狭い)ほど密度が高まるため高精細な映像を表示できますが、その分コストも上がります。また、ピッチの間隔は単に狭ければ良いというわけではなく、LEDビジョンまでの視聴距離に応じて適切なピッチは異なります。

ピッチサイズの一般的な選び方の基準としては、LEDビジョンまでの視認距離1mあたりピッチサイズ1mm程度が目安となります。たとえば、ショッピングモールや駅の構内などにLEDビジョンを設置する場合、視認距離は2〜3m程度が多いと想定されるため、ピッチサイズは1.8~3mmが理想的といえるでしょう。また、屋内でも大規模なイベントやショールームへ導入する場合には、遠くからでも多くの人の目に入りやすいよう3〜4mm程度のピッチサイズもおすすめです。

一方、屋外広告やスタジアムの大型ビジョンとして導入する場合には、10mm以上のピッチサイズでも十分きれいに感じられます。

  • 屋内・近距離:8~3.9mm程度
  • 屋外・遠距離:8mm〜10mm以上

設置場所や利用シーンに合ったピッチサイズを選ばないと、「思ったより画質が粗い」「コストが無駄に高い」といったトラブルの原因になるため注意しましょう。

設置場所に適した輝度・耐久性

LEDビジョンの輝度(明るさ)は、表示環境によって適正値が異なります。たとえば、強い直射日光が差し込む屋外でスマートフォンを開いた時、画面が暗く見づらいと感じたことはないでしょうか。輝度が低いLEDビジョンを選んでしまうと、これと同様のことが起こる可能性があります。

LEDビジョンの導入にあたっては、設置場所や使用環境などに合わせて適切な輝度の製品を選ぶことが大切です。

  • 屋内用:600cd/㎡程度

特に屋外での設置にあたっては耐候性や耐久性はもちろんのこと、省エネ性能や寿命も重要なチェックポイントとなります。

サポート体制・保証の有無

LEDビジョンは精密機器の集合体でもあるため、たとえ耐久性に優れた屋外用の製品であっても故障や不具合が発生するリスクがあります。修理や交換には高額なコストを要するため、LEDビジョンの導入にあたっては保守契約や保証制度の有無を必ず確認しておきましょう。

迅速な復旧と運用への影響を最小限に留めるためにも、保証期間はもちろんのこと以下のポイントを押さえておく必要があります。

  • リモート監視や定期点検などの保守サービスが利用できるか
  • 交換用モジュールのストックがあるか
  • 不具合や問題が発生した際に迅速に対応してもらえるか

LEDビジョン導入の流れと期間の目安

LEDビジョンの導入は設置環境の確認や工事の準備など、いくつかのステップを経て行われます。導入までの一般的な流れと大まかな期間について解説します。

1ヶ月目:ヒアリング・現地調査

はじめに、LEDビジョンの導入目的や設置場所、用途などについてヒアリングが行われます。ヒアリングの段階では主に「屋外用か屋内用か」「表示サイズはどの程度か」「配信するコンテンツの種類」など、必要な要件を整理します。

その後、設置を検討している現場に足を運び、スペースの広さや壁面・床の構造、電源の有無などをチェックし、設置の可否や最適な構成をあらためて検討します。

2〜3ヶ月目:設計・見積もり

ヒアリングと現地調査の結果をもとに、導入するLEDビジョンの仕様やピッチサイズ、設置方法、工事内容を反映した見積書を作成します。

LEDビジョンの導入パターンはさまざまで、同じサイズであっても設置場所や設置方法、ピッチサイズによって導入コストは大きく変わってくるため、予算なども考慮し見積もりの段階で複数回の調整が入ることもあります。

見積書の内容に問題がなければ導入可否を最終判断し、正式な契約に進みます。

3〜4ヶ月目:LEDモジュールの組み立て・製造

正式な要件が決定し契約が完了したら、設計に基づきLEDビジョン本体の調達・組み立てが始まります。

特に屋外に設置する超大型のLEDビジョンの組み立てにあたっては、強風などで倒壊しないよう緻密な構造計算に基づいた筐体が必要なため、ノウハウが豊富で信頼性の高い専門業者を選ぶことが重要です。

また、LEDモジュールだけでなく制御システムや周辺機器もこの段階で調達しておきます。

5〜6ヶ月目:設置工事・テスト

LEDモジュールが完成した後は、実際に現場に製品が搬入され設置工事が行われます。

設置場所や設置環境によっても工事内容は異なりますが、架台やフレームを設置した後にLEDモジュールの本体および電源の設置や各種ケーブルの配線が行われます。

また、一連の作業が完了した後は全てのパネルが正常に点灯するかをテストし、ドット抜けや色ムラがないかを確認します。

LEDビジョン導入にかかる費用の目安

LEDビジョンの導入にあたって、多くの方が気になるのは費用・コストの問題ではないでしょうか。一口にLEDビジョンといってもさまざまなサイズ、形状があるため費用もまちまちですが、本体価格と設置工事にかかる費用を含めると数百万円以上を要するケースも少なくありません。

また、導入にあたっては初期のコストだけでなく維持にかかるランニングコストも考慮しておく必要があります。そこで、LEDビジョンの導入にかかる費用の相場とその内訳を解説します。

 

LEDビジョン本体の価格相場

LEDビジョン本体の価格は屋内用・屋外用の仕様によっても異なります。

たとえば、1㎡あたりの価格帯としては屋内用のLEDビジョン(3.9ピッチ)で20万円から、屋外用は50万円以上が相場となっています。仮に100インチ(2.756㎡)のLEDビジョンを導入する場合で換算すると、屋内用で60万円、屋外用で140万円程度の費用がかかる計算になります。

ピッチサイズによっても価格は異なるため、高精細でさらに大型のLEDビジョンを選択した場合には数百万円のコストがかかる可能性も考えられるでしょう。

また、LEDビジョンに映像を映すためには、本体だけでなくLEDコントローラーやSTBといった周辺機器も必要であり、これらの購入費用として別途10万円以上のコストがかかります。

  • 屋内用:20万円〜
  • 屋外用:50万円〜
  • 周辺機器(LEDコントローラー・STBなど):10万円〜

設置工事や電気工事などの費用

LEDビジョンの設置にあたっては、本体を取り付けるための架台の組み立てや取付作業、電気工事などの作業が必須であり、これらの作業だけでも20〜50万円程度の費用がかかります。

また、ビルの壁面やスタジアムのビジョンなど大型のLEDビジョンともなると足場の設置やクレーンの手配なども必要となるため、工事費だけで数百万円の費用がかかるケースも。取り付ける場所や作業環境によっても工事内容は異なるため、まずは現地調査を依頼し正確な見積もりをとってもらいましょう。

  • 足場の設置が不要な小型のLEDビジョン(デジタルサイネージ・屋内イベント用など):20〜50万円程度
  • 大型のLEDビジョン(ビルの壁面・スタジアムのビジョンなど):数百万円以上

維持・保守コスト

導入後も安定して運用するためには定期点検や清掃、故障時の交換対応なども考慮しておく必要があり、保守コストが発生します。

保守契約にかかる費用は専門業者によってもまちまちですが、1年あたりおよそ数十万程度が相場となっています。また、LEDビジョンに不具合が発生した際にはLEDモジュールの交換が必要となりますが、モジュール1枚あたりの価格としては数万円から10万円程度が相場です。

  • 保守契約費:年間10万円〜30万円程度
  • モジュール交換費:1枚あたり2〜10万円程度

導入コストを抑えるならリースやレンタルという選択肢も

LEDビジョンの用途はさまざまで、中には「数日間のイベントでのみ使用したい」というケースも多いでしょう。このように使用頻度が極端に少なく、できるだけ導入コストを抑えたい場合にはリースやレンタルも有効な選択肢といえます。

レンタルの場合、150インチを超える大型のLEDビジョンも1日あたり数十万円程度で利用でき、維持費や保守コストがかかる心配もありません。

また、リースであれば月々の負担を平準化でき、会計処理として資産計上を避けたい企業にもメリットがあります。

  • リース契約:数十万〜数百万円/月

LEDビジョンの導入でよくある質問

最後に、LEDビジョンの導入にあってよくある質問とその回答をご紹介します。

Q1. LEDビジョンの寿命はどれくらい?

A.一般的には約50,000時間〜100,000時間が目安です。

1日8時間の使用であれば、およそ10年以上使用可能です。ただし、輝度の劣化やモジュール単位の不具合が起きることもあるため、定期的なメンテナンスや部品交換が推奨されます。

Q2. コンテンツ(映像や画像)はどうやって表示する?

A.専用のコントローラーやPCから映像を出力して表示します。

HDMIやLANケーブルで接続し、専用ソフトまたはUSBメモリなどを使ってスケジュール配信も可能です。最近ではクラウド配信に対応している機種もあり、複数拠点のLEDビジョンを一括で管理・更新することもできます。

Q3. トラブルが起きたときの対応は?

A.保守契約を結んでおけば、定期点検やリモート監視、オンサイト修理などの対応が受けられます。保証期間は1〜3年程度のケースが多いですが、オプションで延長保証に加入できるケースもあります。

万が一に備え、導入前には保守契約の内容やサポート体制を必ず確認しましょう。

Q4. 電気代は高くなる?

A.LEDは省電力化が進んでいますが、使用頻度や輝度設定によって電気代は異なります。

屋外用は輝度が高いため、屋内用に比べると電気代が高額になりがちです。屋外用150インチ程度のサイズであれば、ひと月あたりの電気代は3〜4万円程度が目安です。

Q5. 設置するには建築確認や申請が必要?

A. 屋外で大型ビジョンを設置する場合、「屋外広告物条例」や「建築基準法」などの規制を受けるケースがあります。自治体への申請や構造安全確認が必要になる場合もあるため、事前に施工業者へ確認・相談しておきましょう。

LEDビジョン導入のご相談はフューチャーインまでお気軽に

LEDビジョンは視認性や設置の自由度、運用効率といった面で優れた情報発信ツールです。高輝度で耐久性も高いため、商業施設やイベント会場といった屋内はもちろん、屋外への導入にも適しています。

一方で、LEDビジョンは液晶モニターのように簡単に設置できるものではないため、設置場所に適した仕様選定や信頼できる施工業者との連携が導入成功のカギを握ります。

導入にあたってはコスト面ばかりに目がいきがちですが、初期費用だけにとらわれず導入後の運用や保守・サポートまでを見据えた総合的な判断が大切です。

フューチャーインではオンライン会議や学校で使用する中規模のLEDビジョンから、展示会やイベントで使用する大型のLEDビジョンまで幅広い製品をラインナップしています。「自社に合ったLEDビジョンの仕様や導入方法が分からない」「導入にあたっての費用感を知りたい」という企業様は、まずは気軽にご相談ください。

【デジタルサイネージガイド #01】デジタルサイネージ3つの導入メリット