損害保険会社におけるRPA導入

どのような業種の企業においても、大きな課題となるのがコスト削減です。しかし、ただやみくもに節約するだけでは企業の成長にとってプラスとは言えません。近年注目されているUiPathによるRPA導入は、いくつもの企業の貴重な戦力となり成功へと導いています。今回は、大手損害保険業A社の導入事例を見ていきましょう。

ニーズの変化に対応するための業務改善プロセス

A社ではサービスクオリティの向上や、及び度重なる災害への迅速な対応を可能にすべく、業務効率改善の一つの手法として業務のデジタル化を推し進めています。「年間100万時間以上の創出と、紙の年間使用量1000トン以上の削減」といった具体的な数値を提示し、実現に向けてさまざまな施策を打ち出しました。

業務プロセスへの新しいアプローチ

損害保険業界は、契約書や保険証券といった書類ベースでの事務手続きが主流であることが多く、顧客・代理店・本社間での紙のやり取りは複雑なものでした。さらに、損害保険の主要な対象である自動車は自動運転など進化を続けており、完全自動化が進めば運転者の過失による事故件数の減少することが考えられます。このようなニーズの変化に対応し、新たな商機を獲得するためにはこれまでの業務プロセスを刷新することが必要と捉え、人の手と紙による記録への依存から、効率化が可能な領域をすべて洗い出しデジタルシフトの可能を探っていきました。

RPAの導入で業務を自動化

業務の中から契約事務と保険金支払事務のデジタルシフトを決定したA社は、UiPathによるRPAの導入を進めました。RPAは適用可能な業務の幅が広いうえに即効性も高く、また従来の紙ベースの業務プロセスに比べてコストダウンにもつながり、近年脚光を浴びています。そのため、A社の損害サービス部門におけるデジタル化の取り組みは、損害保険業界では革新的な導入事例として関心が寄せられています。

大規模災害時でもスピード対応が可能に

大規模災害時の補償

A社が先駆けて損害サービス部門へのUiPathによるRPA導入を決定した理由は、単純にコスト削減のためだけではありません。働き方改革といった社会情勢など、さまざまな視点から業務プロセスを捉えたうえでの決断でした。

自然災害への業務対応に対する課題

自動化への大きな引き金となったのは、近年頻発している大規模な自然災害への対応でした。A社における従来の事故受付フローは、顧客からの電話やWebからの連絡を手作業でシステム入力するスタイルでした。しかし、大災害発生後は通常の何倍もの連絡が短期間に集中し、一時的に稼働力が不足することが大きな課題でした。従来の自然災害における保険金の支払対象は多くとも2万件程度の規模でしたが、近年の大規模災害では支払対象件数が12万件達し、迅速な対応が不可能な状態に陥ってしまったといいます。

UiPathによる自動化の効果

A社では、UiPathを事故登録システムの入力工程に導入して自動化したことで、迅速な対応が可能になりました。それをきっかけに事故受付システムにも、そして最終的には保険金支払い業務にもUiPathを適用し、受付から支払いまでの業務システムすべてが自動化されました。同時にワークフローシステムも見直されてデジタル化やペーパーレス化が促進され、現在は災害対応時の業務工程に必要なスタッフを10分の1まで減らしても可能となっています。

顧客満足度向上につながるサービスへの取り組み

A社では自然災害対策プロジェクトの発足や災害対応バックアップセンターの整備など、特に大規模な自然災害への対応に力を注いでいます。加えて、UiPathによるRPA導入のメリットを活かした企業戦略を展開しています。

災害対応バックアップセンターの設置

顧客対応の迅速化

災害時の初動対応をスピーディに進めることが顧客の安心と信頼につながるとの分析結果から、A社は災害対応バックアップセンターに専門性の高いスタッフを配置し業務を集約しています。災害発生時にその都度対応体制を構築する従来のスタイルよりも、対応拠点を一元化することで格段に業務がスムーズになります。さらにUiPathとワークフローシステムによる業務のデジタル化によって、大規模災害の際の顧客対応の迅速化と効率化を図っています。

UiPath導入と企業目標達成に向けて

UiPathの導入によって、受付や登録などの災害対応に関する業務は、約40%の工数削減に成功しました。そして、それらを担当していたスタッフを顧客へのサービスやサポート業務に再配置することによって、A社が目標として掲げる顧客満足度のさらなる向上を目指しています。

最後に

RPAの導入事例として今回紹介したA社は、損害サービス部門などだけではなく経理部門においてもUiPathを導入し、そちらでも業務時間の削減拡大という成果を上げています。そして現在は、業務内容の精査や効率化で終わるのではなく、その成果をどのように新しい価値創造へとつなげていくかについて、新たな模索がスタートしています。変化し続ける人とロボットの関係性をどのように受け止めて進化していくのか、今後の方向性に期待が持たれています。

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