IT業における労働生産性向上のための取り組み

近年、多くの企業で将来的な少子高齢化による労働人口の減少の懸念や働き方の見直しといった理由から、生産性向上と業務効率化が重視されています。特にグループを展開するような大手企業では、人事や経理といった間接業務を本社などに集約する動きも強まっています。
IT・ソフトウェアサービス業を展開するA社では、グループ全体の業務効率を向上させるためRPAを導入しました。大幅なコスト削減を達成したA社の導入事例と取り組みを紹介します。

BPOサービスの拡大を推進する方策の検討

A社は10万人規模の大手企業のグループ会社で、グループ内の経理や総務といった業務を担当しています。発足した当初はあくまでもグループ会社での事務業務を行う形でしたが、翌年からはそれまでとは異なる価値を提供するという意味合いから、AIなどの技術を用いたサービスを展開しています。A社のグループ会社全体では、販売費および一般管理費を削減していくことを目標として掲げています。そのためA社では、RPAを活用する以前から様々な工夫を通じて業務効率化を実現してきました。様々な工夫や業務の運用力、専門知識はA社の大きな強みとなり、それらを活かしたBPO戦略も行っています。

A社の経営課題は、実はそのBPO戦略の拡大にありました。一部分野で展開していたサービスをより広く運用するためにはどうするか、その課題において導入を検討したのがRPAです。RPAの存在が大きく浸透し多くの製品が展開されたタイミングと、A社が課題解決の方法を模索し始めた時期が重なったことが導入の大きな要因となったのです。
RPAはロボットを活用して間接業務を自動化するためのツールであることから、業務効率化の一翼を担います。このRPAの構築や運用管理に関するノウハウをBPO事業に生かしていくための検討が進み始めました。

段階的な運用によるRPAの導入と専門チーム発足

段階的な運用と専門チーム発足

A社でRPAに最初に目を付けたのは経理部門。経理や財務といった部署では、一年を通して業務量が一定ではありません。日々の業務としては入出金の管理などですが、繁忙期となる決算期には多忙を極めるのが経理部門の特徴です。そうした業務のピークを調整するため、必要業務をピックアップしてトライアルを開始しました。経理や人事といった間接業務の中でも特に同じ業務を繰り返し行うものに焦点を絞ることで導入の効果も分かりやすくなり、実際の運用結果を受けてRPAの本格導入が決定しました。
スムーズな導入が実現した要因には、まずこのトライアルを行ったという点、そして専用チームの発足が挙げられます。
RPAの本格導入決定後にはIT部門ではRPAの導入を推進するためのチームができ、全社的な導入促進の動きを開始しましたす。社内で開催されるイベント等でツール自体や自社での導入事例を紹介することによる認知、導入希望部署のヒアリングや実際の運用ビジョンの構築をチームが行うことで、本当に必要なのか、どのように運用していくかを明確にしたうえでの導入が可能となったのです。

心理的負担の軽減と業務効率化の両立

業務負担の軽減

RPAツールにも複数のツールがありますが、A社では目標に掲げる販管費の削減という目標との親和性が高いと判断すれば、新しいRPAツールの導入も行いました。業務やツールの特性に合わせた使い方をすることで、より業務効率を高めることに注力しているのです。A社における導入の効果は高く、初年度だけでも述べ15万時間にも及ぶ業務時間の削減に成功しました。
業務時間という定量的な効果はもちろんのこと、担当者の心理的負担といった定性的な部分でも効果がみられています。例えば、複数人での確認が必要とされるミスの許されない業務において、RPAを導入することによって正確かつ迅速な対応が可能となります。業務フローが自動化されることによって作業時間の短縮はもちろんのこと、従来行っていた確認作業も不要となり、担当者の心理的な負担の軽減にもつながりました。

また、一人に依存する業務は当該社員の異動や休暇取得に大きな影響を与えることがあります。RPAを導入し業務の可視化と標準化を推進することで、一人にしかできない業務を作り出さない環境の構築にも成功しました。

最後に

RPA導入により多くの自動化業務を進めてきたA社の導入事例をご紹介しました。
A社の今後の課題としては、グループ会社全体でどのようにRPAを活用していくかが鍵となってきています。一つの部署や業務に特化したロボットではなく、全社的に活用できるロボットを開発することで、多くのグループ会社、部署に浸透させていく必要性があるのです。
闇雲に導入するのではなく、本当にRPA化が必要なのか、作業自体が不要ではないのかなど業務自体の見直しも必要な視点です。RPA導入は業務改善の手段であって目的ではない、といった点を踏まえた上での今後の展開が期待されます。

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