ハイブリッド会議のメリットを活かすには?準備と運用のポイントをご紹介

新しい働き方の模索が進む中で、社内におけるコミュニケーションのあり方にも大きな変化が現れるようになりました。代表的なものとして、オンライン会議が挙げられます。オフラインでのコミュニケーションに限定されていたことが、インターネットを介して行えるようになり、業務の汎用性が高まっています。

そんなオンライン会議と、従来型のオフライン会議を掛け合わせた手法として、ハイブリッド会議と呼ばれる形態も登場しています。混合型の会議を実施することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

今回は、ハイブリッド会議の実践で得られるメリットや、メリットを最大限活かすための運用方法について、ノウハウとともにご紹介します。

ハイブリッド会議について

ハイブリッド会議は、従来のオフラインミーティングと、リモートワークの普及とともに台頭しているオンライン会議を組み合わせて実施される会議形式のことを指します。

オンラインを介してコミュニケーションを取る点ではオンライン会議の一形態と言えますが、これに加えてオフラインでのコミュニケーションも発生することから、完全なオンライン会議とは言えないのがハイブリッド会議です。

オフラインでの会話があるかないかによって、会議やコミュニケーションのあり方は大きく変わってきます。オンライン会議をすでに実践している場合でも、ハイブリッド会議を実施する前にはその特徴を知っておくことが大切です。

ハイブリッド会議について

ハイブリッド会議のメリット

ハイブリッド会議は、オンライン組とオフライン組にわかれて会議を実施する形態で、それぞれにメリットが発生します。オンライン組のメリットと、オフライン組のメリットについて、理解しておきましょう。

オンライン組のメリット

まずハイブリッド会議におけるオンライン組のメリットですが、会議が行われている場所に遠隔から参加できるため、移動のコストが発生しない点が魅力です。遠隔地であっても、本社や自宅から気軽に参加できますし、出張の負担が発生せず、本人の体力や会社の交通費を圧迫することも回避できます。

これまでは移動の負担から不参加を余儀なくなされていた場合でも、オンラインによってコミュニケーションを取れるため、これまでに得られなかった新規顧客開拓やビジネスチャンスの機会も訪れるでしょう。

オフライン組のメリット

ハイブリッド会議は、オフラインで現場に参加している人にとってもメリットがあります。まず、オンラインでは得られない、非対面でのコミュニケーションができるため、感覚的に情報共有を行いやすいのが強みです。

オンライン会議ではどうしても微妙なニュアンスを伝えるのが難しく、意思伝達が上手くいかずに煩わしい思いを抱える人も少なくありません。オフラインでの参加が認められるハイブリッド会議であれば、このような問題も解消できます。

また、オンライン組とオフライン組で都合の良い参加形態に分かれるため、会議スペースを必要以上に圧迫する心配もありません。広々とした空間をゆとりを持って利用できるので、ストレスフリーで参加しやすい会議へとシフトできます。

オンラインにせよオフラインにせよ、参加者が希望する形式で会議への参加が認められるので、風通しがよく働きやすい職場環境を実現する上でも役に立つ仕組みなのが、ハイブリッド会議です。

ハイブリッド会議の懸念点

ハイブリッド会議の懸念点

上記のように、ハイブリッド会議には魅力的なメリットが複数並んでいる一方で、実施に当たっては懸念点も存在します。

回線が安定しないリスクがある

ハイブリッド会議はインターネット回線を必要とするため、ネット環境が不安定な場所では満足のいく通信品質を維持できない可能性があります。

特に直接人が参加しづらい地方や過疎地域では、都会ほどネット回線が行き届いていない場合もあるため、ハイブリッド会議を実践する前に通信環境の見直しが必要です。

回線が安定していないと、映像や音声に遅延が

生じたり、通信が頻繁に途切れるなどして、まともに会議を進行できなくなる可能性もあります。会議の進行を阻害しない上でも、回線環境の整備は欠かせません。

発言力がオフライン組に集中しやすい

2つ目の懸念点は、誰に発言力が集中してしまうか、という問題です。オンラインとオフラインで同じ会議に参加するとなると、コミュニケーションの面でオンライン組にタイムラグが発生します。そのため、オフライン組のようにテンポ良く話すことが難しくなるリスクを抱えています。

話をリアルタイムで進めやすいオフライン組だけで意見交換を行なってしまい、オンライン組の発言が矮小化されてしまわないための仕組みづくりが必要です。

オフラインの会話にオンライン組が参加できない

また、オフライン組は感覚的なコミュニケーションが取りやすいため、オフライン組だけで話し込んでしまいやすい懸念もあります。

ハイブリッド会議はあくまでオンライン組とオフライン組が同等の関係でコミュニケーションをとることを前提としているため、オフライン組に会話の機会が偏ってしまうのは良いとは言えません。

オンライン組が積極的に会話へ参加できるよう、運用ルールを定めておくことが求められます。

ハイブリッド会議を最大限活用する為の運用方法

ハイブリッド会議を実施する上では、あらかじめどのような運用方法があるのかを知っておくことで、適切な手法を選べるようになります。主なハイブリッド会議の方法について、3つご紹介します。

オンライン組は個別参加、オフライン組は1台のPCで実践する方法

1つ目の方法は、オンライン組が各自個別にWeb会議ツールを使って会議に参加し、オフライン組も会議室でPCを立ち上げ、Web会議ツールを起動しながら会議を実施する方法です。

オンライン会議においては一人一台のPCとカメラが定番でしたが、ハイブリッド会議においては一つのカメラにオフライン参加者全員が映るという新鮮な景色になります。

オンライン組はオンライン会議と同様の手順で会議に参加できるため、負担が少なく、オフライン組もPCを一台起動させるだけで参加者を簡単に招待できるので、利便性が高く人気の手法です。

オフライン組が距離を取って個別のPCから参加する方法

2つ目の方法は、オフライン組が1つの会議室に集まり、個別にPCを立ち上げ、オンライン組と同じような環境で会議を行うというものです。

オンライン会議と同じような感覚で参加が可能ながら、オフラインのようなペースでコミュニケーションができるため、機材とスペースに十分な余裕がある場合は実践してみると良いでしょう。

個別に部屋と機材を与える方法

3つ目の方法は、参加者一人一人に部屋と機材を与えるやり方です。こちらは完全オフラインでも会議の実施は可能ですが、ソーシャルディスタンスや部屋のスペースの都合上個室を与えて会議を行うための方法となっています。

どちらかというとオンライン会議に近い方法で会議を行うため、オフラインの予定だったが、やむなくオンライン会議を行わないといけない、という場合に選ばれる傾向にあります。

あるいはメインの会議室では複数人がオフラインで集合し、都合により会議室へ入室できない参加者のみ、別室からオンラインで参加、という形式もあります。

ハイブリッド会議に必要な準備

ハイブリッド会議に必要な準備

ハイブリッド会議においては、以下の準備を事前に完了しておくことが前提となります。順に見ていきましょう。

安定したネットワーク回線

まず必要になるのが、安定したネットワーク回線です。近年のインターネット利用は光回線が前提となりつつあるため、新規契約の際には光回線の導入をおすすめします。

コンセントに挿すだけでWi-Fiが使えるような機器もありますが、安定性に欠けるため、コスト面でも光回線と大差はないため、光回線が使えない場所でない限りは非推奨です。

会議用のPC・カメラ・マイク

オンライン会議と同様、会議用のPCとカメラ、そしてマイクを用意しましょう。最近のラップトップPCの多くはカメラとマイクが付属しているので、一台購入すれば事足りるケースがほとんどです。

Web会議ツール

ZoomやGoogle Meetsなど、Web会議に使えるツールを忘れずにインストールしておきましょう。一人一つのアカウントをもち、機器にインストールしておくことがベターなので、あらかじめ用意しておく必要があります。

ハイブリッド会議実践のポイント

ハイブリッド会議実践のポイント

ハイブリッド会議を実践し、成功に導くためには、運用のためのポイントも押さえておくことが大切です。ハイブリッド会議の実践におけるポイントをご紹介します。

コミュニケーションルールを見直す

まず、ハイブリッド会議を実施する際にはあらかじめコミュニケーションルールを見直しておく必要があります。

オフライン組だけで話が進んでしまうことを防ぐため、進行・司会役は定期的にオンライン組にも話題を振るなど、全員で話し合える仕組みづくりが必要です。また、発言の際には挙手制にして、話が混ざってしまわないようにするといった、スムーズで快適なコミュニケーションを実現する仕組みも整えておきましょう。

参加人数に制限を設ける

ハイブリッド会議は場所を問わず何人も参加できるのが強みですが、とはいえ参加人数が増えすぎると、会議の進行に支障をきたしてしまいます。

会議室に収まる程度の人数に限定するなど、何らかの目安を設けながら、あまり大規模に会議を行わないことがスムーズな進行のポイントです。

大型のスクリーンを導入する

オンライン会議とは異なり、オフライン組は顔を合わせてのコミュニケーションとなるため、オンライン組と情報資料の共有プロセスが変わってしまうこともあります。

オフラインの会議室では大型のスクリーンを用意し、そこでプレゼンを行い、オンライン組には音声とプレゼン資料だけ共有し、自身のPCの画面から資料を確認してもらうなど、情報共有の仕組みにも工夫が求められます。

まとめ

オンライン会議とオフライン会議の併用が進む中、ハイブリッド会議という混合型の会議も多くの企業で採用される傾向が強まっています。

漠然とハイブリッド会議を実施してしまうと、オフライン組だけにコミュニケーションが偏るといった不便も出てきてしまうため、ハイブリッド会議に特化した仕組みづくりが大切です。

誰でも会議へ積極的に参加できる環境を整備し、意思疎通と情報共有を円滑にしていきましょう。

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