オフィスから離れた自宅などでの勤務を可能にするテレワークと、従来型のオフィスワークを併用するハイブリッドワークは、多くの企業で導入が進められています。

ハイブリッドワークの導入によって成果を挙げるためには、オフィスとテレワーク環境の両方を最適化することが求められます。ハイブリッドワークの導入後は、オフィスはどのようにその役割をシフトしていくのでしょうか。

今回は、ハイブリッドワーク導入後に求められるオフィス環境の概要や、その整備の進め方について、ご紹介していきます。

ハイブリッドワークは、従来型のオフィスワークとテレワークを掛け合わせた働き方の総称です。働き方改革の推進が行われたことで、企業は従業員に対して多様な就業形態を認めるように変化しつつあります。

働き方改革のアプローチは企業によって様々で、サテライトオフィスを設置して多拠点型のリモートワークを推進する会社や、フルリモートでオフィスを持たない組織体制へと移行する企業も出てきています。

ただ、上記のような取り組みをいきなり実施することは難易度が高く、何かと解消すべき課題も多いものです。そこで人気の取り組みの一つとなっているのがハイブリッドワークで、既存のオフィスワークの仕組みを維持しつつも、テレワークを部分的に導入するという、合理的な選択肢を実現しています。

既存のオフィス環境へ少し変更を加えるだけで移行ができるため、実現しやすいのが特徴です。

ハイブリッドワークの導入で期待できるメリット

ハイブリッドワークの導入は、多くのメリットが期待できます。主な導入の利点は、以下の4つです。

多様な働き方を推進できる

1つ目のメリットは、多様な働き方の推進です。ハイブリッドワークは出社の必要がない業務のリモート化を促進するものであるため、部署によってはフルリモートも可能となりますが、オフィスで働くことも好みに応じて選んでもらうことができます。

家の都合でリモートワークが良い人はもちろん、オフィスで働きたいという人にとっても有益な選択肢を与えられるため、誰もが自分に合った働き方で、有意義な時間を送ることができます。

優秀な人材の定着率を高められる

ハイブリッドワークは、自主性のある優秀な人材の確保、及び会社への定着を促す上でも役に立つ施策です。働き方を自由に選べるということは、従業員の主体性にある程度任せるという仕組みです。

働き手の不満を最小限に抑えられるので、居心地の良い環境として長く勤めてもらえます。勤続年数が伸びれば伸びるほど、慢性的な人材不足に陥るリスクが小さくなりますし、人材獲得にコストを割く必要もなくなります。単に社員にとって喜ばしい制度であるだけでなく、会社にとってもメリットの大きな取り組みです。

オフィス運営のコストを削減できる

対象アプリケーションの画面を解析し、操作項目をUIオブジェクトとして認識して操作を行う方式
画面を画像として捉え、画像で操作項目を認識して操作を行う方式
画面内相対位置や矢印キーなどで操作項目の操作を行う方式

スマートな経営を実現できる

オフィスに最低限の機能だけを付与し、リモートありきの働き方を実現できれば、余計なコストのかからない企業であることはもちろん、従業員にとって居心地の良い会社として、伸び伸びと働ける環境が提供されます。

余計な出費を抑え、定着率の高い会社は、持続可能性の面でも期待が持てる組織です。ハイブリッドワークの実現によって、スマートな経営を実現できるでしょう。

ハイブリッドワーク導入後におけるオフィスの役割

テレワーク制度の導入、及び環境整備に注目が集まりやすいハイブリッドワークですが、そのメリットを最大限活かすためにはオフィス環境の整備にも力を入れる必要があります。

ハイブリッドワーク導入後、オフィスはどのような役割を担うことになるのか、確認しておきましょう。

物理的な共用ツール利用の場

まず、テレワークとオフィスワークの併用を実践する場合、テレワーク環境ではソフトウェアはクラウド経由で共通のものが利用できるものの、複合機などのハードウェアの利用についてはオフィスに限定されています。

そのため、3Dプリンタや複合機、GPUサーバーなどを利用する必要がある場合は、これらのツール活用のためにオフィス勤務を余儀なくされるでしょう。

ラップトップのように、コンパクトなものであれば貸与も可能ですが、大型あるいは高価な機器などについては、オフィス出社が求められます。

対面コミュニケーションの場

ハイブリッドワーク環境におけるオフィスは、対面コミュニケーションの場として非常に重要な役割を果たします。

定例会の開催や、プロジェクトのフィードバック、企画会議など、様々なコミュニケーションが今やオンラインに移行していますが、やはり直接顔を合わせて会議をすることも刺激を与えるという意味では重要です。

複数人でプロジェクトに携わることの多い現場では、テレワークだけでなく、オフィスで顔をつき合わせて作業をしたり、ミーティングに取り組む必要性も出てくるでしょう。

研修や教育の場

研修や教育の場としても、オフィス環境は役に立ちます。事業についての詳しい説明や、新入社員向けのワークショップにおいては、オンラインで行うよりも対面で行った方が感覚を養いやすいものです。

リアルタイムでフィードバックを得られたり、対面業務の練習も行えるので、ぶっつけ本番でオフラインのプレゼンをしなければならない、などのリスクを心配しなくても良くなります。

集中して業務に取り組める場

自宅でテレワークに長い間従事していると、どうしても集中ができなくなってくる、という人は少なくありません。プライベート空間で働くというのはどうにも居心地が悪いものですが、業務遂行に特化したオフィス空間を活用することで、集中して働けるのが強みです。

特にこれまで長い間オフィスに通勤してきた人の場合、オフィスに行かなければ働く気が起きない、というケースもあるほどなので、場所の効果というものは侮れません。

オフィスを集中して業務に取り組みたい人向けに開放することで、自宅でもオフィスでも高いパフォーマンスを発揮できるような会社へと生まれ変われます。

企業文化を育むための場

近年はリモートワークの普及により、オフィスを持たないフルリモートの会社も登場しています。しかし実態がない以上、こういったチームでは組織への帰属意識が養いづらく、帰って人材の流出を促してしまう可能性も考えられます。

ある程度オフィス利用を促すことで、社員に「自分はこの会社で働いているんだ」という実感を覚えてもらい、社員同士での交流を促進できます。この会社にはどんな人がいて、何を目指しているのかを明らかにし、一層の帰属意識と高いパフォーマンスを期待できます。

ハイブリッドワークにおけるオフィス環境の整え方

それでは、ハイブリッドワーク導入後でも活躍するオフィス環境とはどのようなものなのでしょうか。具体的にどんな環境整備に力を入れるべきなのか、簡単にまとめました。

フリーアドレスの導入

まず必要なのが、デスクのフリーアドレス化です。従来のように一人1デスクでは、必要以上にデスクを用意することとなり、特定の座席に社員が固定されてしまうため、オフィスの有効活用を妨げてしまう要因になりかねません。

座るべき場所を指定せず、好みに合わせた席選びを可能とすることで、一人で働いたり、同僚と協業したりと、多様なワークスタイルを実現できます。

ミーティングルームの拡充

ハイブリッドワーク環境では、オフィスには対面でのコミュニケーションを求めて出社する社員が多くなります。

そのため、個人用のデスクよりもミーティングルームのような広々としたスペースづくりを優先し、複数のグループがいつでも会議を行えるよう、レイアウトを変更するのが良いでしょう。

フリーアドレスを採用し、それによって浮いたデスクスペースを活用して、会議スペースへと作り替えてしまいましょう。

オフィスの省スペース化

ある程度余裕を持ったレイアウトが実現するとはいえ、今まで以上に空きスペースができるということは多くの企業に共通する変化です。キャパシティを多少減らしてもオフィス機能を維持することはできるため、契約している階数を減らす、または今よりも小さく、賃料のやすいオフィスへ引っ越すなどして、省スペース化を実現しましょう。

賃貸料金を抑えた分で、貸与向けラップトップの購入費用などに充てることができます。上手く予算をやりくりして、満足のいく仕組みづくりを進めてください。

サステナブルな設備の導入

ハイブリッドワークを前提とした、ニューノーマルな会社作りをさらに進めていきたい場合、ペーパーレス化の実現や、省エネシステムの導入など、サステナブルな設備の拡充に努めることも必要です。

SDGsの達成は多くの企業が抱えており、どれだけ積極的な企業となれるかによって、世間の注目度や人材獲得の難易度も低くなってきます。企業として利潤を追求するだけでなく、地球環境にも貢献できる会社作りを目指しましょう。

失敗しないニューノーマルなオフィス環境整備のポイント

ハイブリッドワークを採用したニューノーマルなオフィス環境は、何度も改善を繰り返すことで、最適な環境へとアップデートが可能です。オフィスづくりに失敗しないためのポイントについて、最後にご紹介します。

テレワーク環境の拡充に努める

オフィス環境の拡充、及びニューノーマルなオフィスづくりの前提となるのは、やはりテレワーク環境の整備です。テレワーク環境でも従来どおりの業務が遂行できる状態でなければ、以前のようにオフィスでの就業を求める社員が増えてしまうため、ハイブリッドワークの強みを活かせません。

テレワークでも困ることがないよう、まずはこちらの設備投資に力を入れ、そこからオフィス環境の刷新へ移行していきましょう。

ペーパーレス化などのDX推進と合わせて実施する

テレワークとオフィスワークの併用には、業務のデジタル化、ペーパーレス化といった取り組みが不可欠です。紙ベースでの情報共有などが不可能になるため、嫌でもオンラインを通じてコミュニケーションを取らなければならないためです。

デジタル技術の導入による一連の業務改革はDXとも呼ばれ、こちらも働き方改革の一翼を担う取り組みとして注目されています。ハイブリッドワークの推進は、DXの文脈で求められることもあります。

それぞれを別個に考えるのではなく、一つの課題として取り組んでいくことが重要です。

あらかじめ利用ルールを策定する

ハイブリッドワーク環境下では、オフィスの利用ケースが大いに限られてくるため、どのように利用すれば良いかが社員に共有されていないと、適切なオフィスワークを推進できません。

オフィスワークとテレワークを並行して進める場合には、それぞれの運用要件を定義づけておき、いつオフィスを利用するのか、どのように施設を利用すれば良いのかのルール作りを進めておきましょう。

まとめ

ハイブリッドワークはテレワークの導入はもちろん、従来型のオフィスワークが通用しなくなるため、新しい形式の利用環境を整備しなければなりません。

自社が必要としているオフィスの役割とはなんなのか、それを果たすためにはどのような設備が必要なのか、テレワーク導入とともに検討してみることで、効率的なオフィス環境の整備と、ハイブリッドワークの実施が実現するでしょう。

ハイブリッドワーク 導入検討における3つのポイント