クラウドをDXに活用するメリットとは?

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現は最近とくに、日本企業の抱える差し迫った課題として知られるようになりました。DX実現は、デジタルの導入推進によって可能となりますが、その中でも人気なのがクラウドサービスの活用です。本記事では、DXの推進においてなぜクラウドの活用が注目を集めているのか、さらにクラウドの導入によって実現できるメリットや仕組みについて、具体的に解説していきます。

DXの概要について

DXは、Digital Transformationの略称です。デジタル技術を活用し、日常生活やビジネスでの生産性を向上させる取り組みを指しています。元々は一般の生活におけるデジタル変革も含んでいる言葉として使われていましたが、最近はデジタルを活用して主にビジネス面で生産性を向上したり、変革することを指す言葉として定着しつつあります。

経済産業省の発表によれば、日本の企業でのDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進まない状態で2025年を迎えると、同年、日本全体では年間の経済損失が12兆円にも及ぶと言われます。これは「2025年の崖」と呼ばれており、そのような未来を避けるためには企業のデジタル化を進めることが不可欠・急務であるため、DXに注目が集まっているのです。

テクノロジーを活用して従来型の業務形態を脱し、少人数でも遂行できるよう業務を自動化・効率化していくこと、そしてデータやAI等を活用して高度な分析を行ったり競争での優位性を獲得することが、ビジネスでのDX(デジタル・トランスフォーメーション)が目指すゴールだと言えるでしょう。

DXにおいてクラウドの活用が重視される理由

クラウドをDXに活用するメリットとは?

DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、基本的にはデジタル技術を活用し、生産性などの向上させる取り組みなので、生産性の向上を実現させるためには多くのアプローチ方法があります。そのようなDX施策の中で、特に人気があるのがクラウドサービスの活用というアプローチです。

クラウドサービスとは、近年普及しつつあるサービス利用の方法のひとつで、オンライン上の環境を使うものです。これまでは、自社サーバーまたはPCにインストールし利用していく、オンプレミス型と呼ばれるサービス利用が大きく普及していました。しかし昨今では特別な理由がなければ、クラウドサービスの導入を選択し、活用する企業がとても増えてきています。

利点1:速やかな導入ができる

DX(デジタル・トランスフォーメーション)においてクラウドの活用が重視される理由の一つは、導入が速やかに行えるという特徴が、高評価を得ていると言えます。従来のオンプレミス型システムであれば、企業内でシステムをインストールし構築していくといった負担を見込む必要があるため、実際に運用開始できるようになるまで、数週間から数ヶ月ほど期間がかかることもよくありました。

ところがクラウドサービスを活用する場合は、導入を決定してからの日数を短縮できます。最短では即日システムが利用可能になることもあり、実装までの期間やスピードがとても早いという特徴があります。速やかにDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するためには「システムそのもの」を素早く導入すること、そして運用しながら蓄積するノウハウで成果を上げることが重要です。クラウドを活用すれば導入までの時間を短縮し、さらに大きな成果を得るため、改善に向けた効果の測定を開始していけるようになります。

利点2:情報共有能力が高い

オンライン上の環境で運用されるクラウドサービスの特徴としては、優れた情報共有能力や、社内の資産としてデータが蓄積しやすいという点が上げられますし、高い評価を得ています。従来のようにオフラインでの環境利用を前提としたシステムの場合にはデータ共有に手間が生じて、情報共有が企業全体でなされずに特定の担当者のみに集約したり、業務が属人化するケースも珍しくはありませんでした。

一方、クラウドサービスを使用するなら、データベースはオンライン上に存在しています。クラウドを利用することによりデータは自動的にオンラインを通じ、社内全体で共有されるため、情報を共有するための手間や負担が減り、共有漏れの発生を心配する必要がなくなると言えます。

さらに、社内での資料フィードバックなどをオンライン上にてリアルタイムで行えるようになったり、プロジェクトの制作において複数人で協力したり、コラボレーションすることが、非対面で行えるという点も評価されている点です。

DXにクラウドサービスを活用する事のメリット

DX(デジタル・トランスフォーメーション)において企業がクラウドサービスを活用すると、期待できるメリットには以下のようなものがあります。

その1:少ない導入コスト

クラウドサービスは、導入へのスピードが速いだけではなく、導入時の費用負担が小さいのもポイントです。多くのクラウドサービスの支払いは月額/年額課金制が採用されていて、サービスを利用している間のライセンス料はかかりますが、ほぼ導入時の初期費用などが生じません。充分に資本力がない個人のスタートアップや中小企業においても、デジタル化へのありがたいきっかけとなるでしょう。

その2:維持・管理の負担が不要となる

クラウドサービスを使用する場合には、維持・管理コストもライセンス料金に含んでいるため、保守のための担当などを自前で用意する必要がないというのもメリットです。サーバー管理、アップデートなどの業務はサービスベンダーが行うため、利用者はサブスクリプション料金を支払っていれば、それ以外にあたるコストを支払う必要がありません。

その3:常に最新システムで利用できる

使用するクラウドサービスはベンダーが自動でアップデートを施していきますので、利用者側でシステムを定期的に回収しなければならないという負担もかかりません。

そして、ユーザーから集められ続けるフィードバック、さらに新技術の登場に伴って、大手クラウドサービスは次々に改善を加えており、更なる進化を遂げていきます。従来通りにライセンス料金を支払っていると、それだけで最新の次世代テクノロジーが利用できるようになる可能性も多いため、これを利用しない手は無い、とも言えるでしょう。

クラウドサービスの代表格である「AWS」とは

クラウドサービスの代表格である「AWS」とは

BtoBに向けたクラウドサービスの中で最も人気の高いサービス、そのひとつがAWS(Amazon Web Services)です。AWSとは、Amazonが提供している世界最大級のクラウドサービスのひとつであり、企業が必要としているほぼ全てのシステムを賄うことができるサービスです。料金体系は、従量課金制が基本となっていて、使用した分だけを支払うという方式を採用しているため、使用するなかで自社のシステム利用頻度と費用の負担が合わないようなケースを回避することができます。近年においては、日本企業の多くで採用されているほかにも政府機関でも採用が進む等、信頼性も高評価を受けているサービスと言えます。

他のクラウドより「AWS」が優れているポイント

他のクラウドより「AWS」が優れているポイント

AWS(Amazon Web Services)が、他のクラウドサービスより遥かにポピュラーな存在と見なされるようになった理由として、以下のようなポイントが考えられます。

ポイント1:インフラ構築に最適なサービスが提供されている

他サービスと比較した時、AWS(Amazon Web Services)はインフラの構築に強いサービスと言えます。クラウドサービスのなかでもインフラ構築向けの、いわゆるIaaSに関連したサービスが豊富に取り揃えられているため、自社システムの開発環境を「丸ごと仮想化したい」というニーズに確実に応えることができます。

ポイント2:高い安全性

AWS(Amazon Web Services)というクラウドサービスは全世界、190もの国や地域で使用されるクラウドサービスであるため、高レベルでのセキュリティ対策を実現しているという特徴があり、評価されている点です。例えば日本国のセキュリティ規格「ISO 27001」をはじめとし、世界各国でのセキュリティ基準をクリアしているサービスであるため、サイバー攻撃などの被害を被るリスクが極めて低いところが強みと言えます。

ポイント3:海外展開にも対応

AWS(Amazon Web Services)はグローバル展開が進んでいるクラウドサービスです。そのため日本から海外へとシステム展開していきたいケースでも、AWSを使用することは有効になります。AWSはサーバーを地域ごとに別個に設けているので、リージョンを必要に応じて変更しながらサービス利用をして行くことができるのは、国内の拠点と海外向け拠点との連携を強化したり、それぞれの拠点間におけるパフォーマンス・ギャップを解消したいような場合などにも有効なサービスだと言えるでしょう。

まとめ

本記事では、クラウドサービスの活用がDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する上で、どのように役立つかについて解説してきました。クラウドサービスを導入することはいまや、DX実現と同義的な表現として使用されるシーンが増えており、重要性が増しています。

そして、BtoB向けに圧倒的人気を誇っているクラウドサービスは、AWSであるとお伝えしてきました。世界各国において導入されている実績があり、日本国内でも高い信頼性を獲得してきたAWSは、日本企業がDXを推進していくために鍵を握るサービスと言っても過言では無いでしょう。