駅や商業施設など、街中でデジタルサイネージを見かけることが多くなりました。しかし、仕組みはどうなっており、具体的にどのような用途で使えるのかわからないという方もいるでしょう。

そこで当記事では、デジタルサイネージの仕組みやメリット、活用シーン例について解説します。設置に必要なものやその費用についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

デジタルサイネージとは?

デジタルサイネージとは、デジタル画面で情報を伝える電子看板のことです。サイネージ(signage)は英語で看板や標識の意味があり、それにデジタルを合わせた言葉になっています。

デジタルサイネージは紙の看板と異なり、映像やアニメーションの使用が可能で、リアルタイムでの情報更新が容易である点が特徴です。しかし、初期費用やメンテナンス費用がかかること、電力消費量が高い点には注意が必要です。

近年、手頃な価格でディスプレイやシステム環境が手に入るようになったことから、利用者が増加しています。駅や商業施設などはもちろん、個人経営の飲食店でも見るようになりました。

実際、株式会社富士キメラ総研の調査によると、デジタルサイネージ市場規模は2015年頃1,054億円でしたが、2022年度は1,992億円となっています。2027年度はさらに成長し、3,294億円の市場規模になると予測されています。

(出典:『デジタルサイネージ市場総調査 2015』『デジタルサイネージ市場総調査 2023』

デジタルサイネージ配信の仕組みは大きく分けて3つ

続いてデジタルサイネージ配信の仕組みについてお伝えします。仕組みには、大きく分けて下記3つがあります。

・スタンドアロン型

・ネットワーク型

・インタラクティブ型

スタンドアロン型

スタンドアロン型はインターネット接続が不要で、オフライン環境でも運用できる仕組みです。セキュリティリスクが低いというメリットがありますが、遠隔地からの内容更新が難しいというデメリットも存在します。

インターネットに接続しないことを疑問に感じるかもしれませんが、複数のメリットがあります。
費用が安く済むことや、ネット環境やシステム料金が不要で比較的安価に運用できる点などです。また、ネットワークから切り離されているため、遅延障害やウイルスの心配がないことも挙げられます。

ただし設定が手動になるため、複数台運用する場合や、配信内容を頻繁に変更したい場合は少々不向きです。従って、更新頻度が少ない個人店や小規模ビジネスにおすすめの仕組みと言えます。

ネットワーク型

ネットワーク型はその名の通り、インターネット経由で表示する方式です。表示したいデータをネット上にアップロードしておき、デジタルサイネージと繋げます。

ネット上で配信設定ができるため、遠くに居ても、頻繁に内容を変更する場合でも、手間なく運用できます。また、天気やニュースなどリアルタイム情報を配信できる点もメリットです。

ネットワーク型は厳密に言うとさらに2種類に分けられます。

・自前で専用サーバーを持つ「オンプレミス型」

・外部サーバーを利用する「クラウド型」

配信方法の違いによるもので、自由度高く運用したい場合はオンプレミス型、簡単に早く運用を開始したい場合はクラウド型がおすすめです。

ただしどちらの場合もネット接続が必要なため、多少の専門知識が必要です。セキュリティ対策にも気を配る必要があります。複数台で配信するなど、大規模ビジネスをされている方にメリットのある配信手法と言えます。

インタラクティブ型

インタラクティブ型は、デジタルサイネージを見た利用者とコミュニケーションが取れる方式です。利用者の行動や発言によって、表示内容が変化します。例えば画面をタッチして表示言語を変えられる、会話によって欲しい情報を案内するなどです。

通常のデジタルサイネージは、企業側が考えるお客様の欲しい情報を掲載します。しかしインタラクティブ型はお客様に情報を見つけてもらうため、本当に欲しい情報を提供しやすい特徴があります。

ただしコミュニケーションに対応できるコンテンツ量が必要なため、制作の手間は必要です。提供したい情報が多くある場合や、海外観光客向け接客対応として活用したい場合は非常におすすめの仕組みです。

デジタルサイネージ導入のメリット

続いてデジタルサイネージを導入するメリットについてお伝えします。具体的には下記の4つです。

視認性が高く目立つため、人の目に留まりやすい

デジタルサイネージは液晶やLEDパネルを使用するため光っています。そのため人の目に留まりやすく、夜でも目立つことがメリットです。加えてデジタルサイネージは映像を流すことが可能です。人は動く物を自然と目で追ってしまう脳の習性があるため、注意を引きやすいです。これらの特徴から、企業のメッセージがより効果的に届きやすいというメリットがあります。

1画面で多くの情報を表示できるため、場所を取らない

デジタルサイネージは複数の画像をスライドで表示させたり、動画を流したりすることが可能です。そのため限られたスペースしかなくても、多くの情報を表示できます。

例えば5つの情報を紙ポスターで表示する場合、それぞれにスペースが必要です。しかしデジタルサイネージならパネル1枚分のスペースで完結できます。また、動画は文字と比較すると、同じ時間で大量の情報量を伝えられると言われています。デジタルサイネージを使うと、これを省スペースで表現できるのです。

このように空間を圧迫せず、かつ伝えたいことを余すことなく伝えられるメリットがあります。

時間帯や客層によって内容を変更できるため、最適な配信が可能

デジタルサイネージは、時間帯によって表示を切り替えることが簡単です。そのため、伝えたい内容を伝えたい時に発信できるメリットがあります。具体的には以下のようなシーンが考えられます。

このようにターゲットへ的確に訴求できるため、顧客満足度の向上にもつながります。

印刷や貼り替えの手間が無く、コスト削減に繋がる

デジタルサイネージをインターネットに繋げば、PCから簡単に表示内容を変更できます。これにより紙媒体のように貼り替える必要がなく、時間と労力の削減が可能です。

特に複数箇所に掲示する場合や、それぞれが距離的に離れている場合、紙媒体では相当なコストが発生します。人件費も無視できません。一方デジタルサイネージであれば、オフィスからデータの切り替えをするだけでも変更できる仕組みもあります。

さらに紙の印刷代や保管場所の確保も不要です。以上のことから、コスト削減に繋がるメリットがあります。

デジタルサイネージでできること・活用例

次に、デジタルサイネージがどのような場面で活用できるか、その例についてお伝えします。主に下記5つのシーンで活用できます。

・広告
・案内/ナビゲーション
・商品販促/集客
・順番待ち表示
・空間演出

広告

駅や商業施設の通行人に対し、商品やサービスを認知させる活用方法です。最近はスーパーやコンビニなどの店内広告も増えています。動きや音をつけ、場所や時間で客層に合わせたコンテンツを出すことで消費者の頭に残りやすい広告活動が可能です。

案内・ナビゲーション

観光地や商業施設などで、来訪者の道案内や施設案内板として活用する方法です。多言語対応にすることで、幅広い層の人に役立ちます。デジタルサイネージによって多くの案内が実現できれば、案内スタッフの人件費削減にも繋がる活用方法です。

商品販促・集客

セール情報や注力商品を表示することで、販促・集客に活用する方法です。タイムセール告知や、朝に売りたい商品を午前中のみ表示しておくなどが可能となります。使用イメージが持てると売上が見込める商品などは、説明動画を流すケースもあります。

順番待ち表示

病院や飲食店などで、順番待ち情報を表示する活用方法です。視覚的に順番を表示することで、顧客の待ち時間に対するストレスを軽減します。運営側としてもスムーズにご案内できるようになります。

空間演出

商業施設やイベント会場などで、テーマに沿った映像や音楽を流すことで空間演出する活用例です。複数台のサイネージを連動させることで、より一層の雰囲気を演出できます。顧客体験やブランド価値向上に貢献します。

まとめ

デジタルサイネージは情報を効果的に伝えられるだけでなく、様々なシーンで活用できる優秀な媒体です。配信の仕組みには以下の3種類があります。

・スタンドアロン型
・ネットワーク型
・インタラクティブ型

導入を検討中の方は、それぞれの仕組みを理解した上で、目的やビジネス規模に合わせて選択し、効果的にデジタルサイネージを活用しましょう。