デジタルサイネージは、ITの普及に伴い街中でも導入が進み、さまざまなシーンで活躍している様子がうかがえます。デジタルサイネージは従来の看板とは異なり、どのような違いがあるのでしょうか。

また、デジタルサイネージを導入したにも関わらず、今ひとつ効果を感じられないということもあるかもしれません。この記事では、デジタルサイネージによる具体的な導入効果や、効果が感じられない場合に見直したい、活用のポイントを解説します。

デジタルサイネージとは

デジタルサイネージは、専用のディスプレイを使って情報を表示するデジタル媒体です。仕組みとしてはPCモニターなどと似たような媒体ですが、街中に設置されているデジタルサイネージは、通常のPCモニターよりも輝度が高かったり、薄型に作られていたり、強度に優れていたりと、多様な違いが見られます。

デジタルサイネージは店舗やオフィス、公共スペースなどの空間に設置して運用します。従来の看板広告のように、静止画や文字情報などを表示できるのはもちろん、デジタルディスプレイのため映像コンテンツの配信も可能です。

近年は技術革新や普及の拡大によって、導入に伴うコスト削減も以前より進んでおり、今までの広告スペースを差し替えるだけでの運用も可能なことから、さらに多くの導入が期待されています。

デジタルサイネージ導入の目的

デジタルサイネージの導入には、主に以下の4つの目的が挙げられます。複数の目的を達成する上でも、非常に効果的です。

情報発信

デジタルサイネージは、店舗や施設に訪れる人々に対して、タイムリーな情報を提供する手段として効果的です。新製品の案内コンテンツを配信したり、セールやキャンペーンといったイベント情報、クーポンの配布などを、簡単かつ高い発信力を持って実現できます。

上記のような情報発信のための人的負担を削減できる点は、デジタルサイネージの強みの一つです。

集客促進

デジタルサイネージは、従来の看板広告よりも集客効果が高いと言われています。鮮やかなディスプレイや動きのある映像によって、関心度の低い通行人の目を引き、足を止めさせる効果が高いためです。

看板の設置は不特定多数の人間に向けて注目を集めるために行うケースが多いですが、デジタルサイネージはこのような看板設置の効果を、さらに高められる手法です。

広告収入の獲得

デジタルサイネージの設置は、自社で運用するだけでなく、他の事業者のために広告スペースを提供し、広告収入を獲得するための手段としても知られています。広告機会を探している事業者向けに運用を促すことで、新しい収入源を確保し、コア事業の安定経営に繋げることが可能になるでしょう。

空間演出

デジタルサイネージを演出の手段として運用するケースも、広く見られるようになってきました。LEDの高画質なディスプレイが比較的安価に導入できるようになったため、店舗やオフィスを魅力的に演出することで、顧客体験を高めることができます。

デジタルサイネージ導入の主な効果・メリット

デジタルサイネージの導入は、具体的にどんな効果を現場や事業者にもたらしてくれるのでしょうか。運用イメージを固めていく上では、以下のメリットを知っておくと良いでしょう。

リアルタイムの情報発信ができる

デジタルサイネージは、クラウド経由でコンテンツの変更や更新がいつでも行えます。リアルタイムでの情報発信に対応しており、鮮度重視のコンテンツを配信したり、訪問者の動向に応じてコンテンツを柔軟に切り替えたりしたいという場合、非常に便利です。

あるいは緊急時の情報発信など、公共性に配慮した運用を行えるプラットフォームとしても注目されます。

差し替えや修正が容易

従来のポスターや看板とは異なり、デジタルサイネージはコンテンツの差し替えが非常に簡単です。

広告の誤植や事情により表現や描写を変える必要が出た場合、修正データを流し込むだけで、簡単にアップデートができます。紙の広告ではこのような変更ができないため、機会損失のリスクを最小限に抑えられます。

視認性が高い

デジタルサイネージは優れた輝度や画質を有したディスプレイを採用するため、鮮やかな映像や文字が高い視認性を持っています。夜間はもちろん、日中でも明るく鮮明な表示が可能なので屋外における広告効果をより高めることができるでしょう。

また、広告のディテールを正しく伝えられるため、細部までこだわったコンテンツで集客を高めたいなどのニーズにも、優れた効果を発揮します。

曜日や時間帯に合わせた柔軟な運用ができる

リアルタイムの情報発信が可能な強みを応用したのが、曜日や時間帯に合わせや使い方です。平日はビジネスパーソン向け、休日はファミリー向けといった具合に、訪問者や通行人の行動パターンの変化を踏まえ、デジタルサイネージを運用できます。

デジタルサイネージを設置している場所の利用者に関するデータを集めることで、より情報発信の効果を高いレベルに改善していくことができるでしょう。

デジタルサイネージの主な導入シーン

デジタルサイネージの導入シーンは多様で、例えば以下のようなものが挙げられます。

飲食・小売店

デジタルサイネージは、メニューやキャンペーンの告知、特売情報の表示に活用されています。来店者にリアルタイムで最新の情報を提供し、購買意欲を高めることができます。

トレンド性の高いメニューや商品のために毎回広告を作成・印刷する負担から解放され、それでいて集客力も底上げできることから、高い費用対効果を達成できるでしょう。

オフィス

ビジネスパーソンの集まるオフィスでは、社員への情報共有や来訪者向けの案内、施設内のサイネージとして利用されます。例えば、社内ニュースや会議室の予約状況の表示などです。

デジタルサイネージの導入によって、社員の利便性向上や訪問者の満足度向上・ストレス削減に寄与します。

その他ビル・住宅

商業ビルやマンションでも、案内板や広告媒体としてデジタルサイネージが導入されています。マンションのエントランスでは、居住者へのお知らせや天気予報、近隣情報などを提供し、利便性の向上が期待できます。

デジタルサイネージは効果がない?

せっかく導入したデジタルサイネージは、場合によっては期待していたような効果が発揮されないケースも見られます。

デジタルサイネージが効果を発揮しない大きな要因は、運用設計の有無にあるケースが一般的です。なんとなくディスプレイを設置し、行き当たりばったりに運用してしまうと、導入コストを回収できるような成果を得るのは難しいでしょう。

重要なのは、明確なゴール設定と効果測定、そして継続的な改善です。デジタルサイネージはどこに設置するのが良いのか、どんなコンテンツが良いのかなど、効果測定を行いながら内容のブラッシュアップを行いましょう。これにより、デジタルサイネージの本来の導入効果を期待できます。

デジタルサイネージ導入の効果を最大化する活用ポイント

デジタルサイネージの導入は、上手くその強みや特徴を活かすことにより、高い効果を発揮できる施策です。以下の3つの活用ポイントを踏まえ、運用のアプローチを検討してみましょう。

静止画と動画を使い分ける

デジタルサイネージの強みは、静止画と動画の両方を使える点です。これは紙の広告では不可能な独自性であるため、積極的に活かしていくべきでしょう。

動きがあり、ダイナミックな表現ができることで、多くの人の注目を集められます。また、動的なコンテンツによって新しい情報をユーザーに伝えられるため、この点も踏まえた新しいコンテンツ企画を考えましょう。

更新頻度を確保する

デジタルサイネージのコンテンツは、ある程度の更新頻度を確保するのがおすすめです。同じ内容のコンテンツがずっと表示されているというのは、どれだけ派手な内容であっても紙の広告と同じようなマンネリや個性の喪失に直面する恐れがあります。

デジタルサイネージ特有の視覚的な新鮮さを保つためにも、内容にアップデートや新しい企画を加えることで、刺激を与えましょう。

動線を意識して運用する

デジタルサイネージも、通常の看板広告と同様にユーザーの動線を意識することが大切です。人流のルートはどうなっているか、どのような目線の動きがあるのかをリサーチの上、それにフィットするデジタルサイネージの設置や、コンテンツの企画を考えましょう。

動線を踏まえたデジタルサイネージ運用ができれば、ストレスを最小限に抑えて情報発信を行ったり、ユニークな伝え方で印象的な体験を与えることができます。

まとめ

この記事では、デジタルサイネージの導入効果や、それを最大限高めるための活用ポイントについて解説しました。

デジタルサイネージは、情報発信、集客、広告収入の獲得、空間演出といった幅広い目的で導入が進んでいます。柔軟な運用が可能ですが、一方で正しく運用ができないと、期待していたようなコストパフォーマンスが得られないこともあります。

効果を最大化するためには、目的に応じたデジタルサイネージの設置や、コンテンツの管理が必要です。内容の定期的な更新や運用環境の検討、そして効果測定を行い、継続的な改善に努めましょう。

【デジタルサイネージガイド #01】デジタルサイネージ3つの導入メリット