
デジタルサイネージは、従来の広告手段よりも発信力が高いなどの理由から普及が進んでいる手法です。近年は多様なデジタルサイネージ導入事例も登場しており、今後はさらなる普及も期待できます。この記事では、デジタルサイネージの導入事例をシーン別に解説しながら、導入を成功に導くためのポイントなども解説します。
デジタルサイネージの3つの種類
デジタルサイネージには、大きく分けて以下の3つの種類があります。それぞれどのような特徴を備えているのか、確認しておきましょう。
LED
LEDサイネージは、明るさと視認性に優れており、大型ディスプレイや屋外広告に適しているタイプです。高解像度の映像を遠距離からでも鮮明に表示できるため、繁華街やイベント会場などで多く採用されています。
例えば、大型イベント会場では、来場者がどの位置からでも情報を得られるようにLEDサイネージを設置するケースが増えています。また、耐久性が高く、長時間の使用にも適していることからメンテナンスコストの削減にも貢献するのが強みです。
液晶ディスプレイ
液晶ディスプレイは、屋内での利用に適したデジタルサイネージです。高解像度の映像を細部まで美しく表示できるため、商品紹介や店舗内広告に活用されています。
また、比較的導入・運用コストが低い点も魅力です。小規模な店舗や企業内の案内板としても、広く利用されています。液晶ディスプレイの多くがコンパクトなサイズや薄型デザインのため、スペースの限られた場所でも設置が簡単です。
マルチディスプレイ
複数のディスプレイを組み合わせて、大型の一枚絵や映像を表示する手法がマルチディスプレイです。商業施設や展示会で大迫力の映像を演出する場面で活用されています。
マルチディスプレイは、商品やブランドの世界観をダイナミックかつ視覚的に伝えたい場合に効果的です。また、インタラクティブな要素を取り入れることで、顧客体験を向上させ、ブランド価値をさらに高めることが可能です。
デジタルサイネージ導入のメリット

デジタルサイネージの導入は、以下のようなメリットが期待できることから積極的に採用されています。
映像配信ができる
デジタルサイネージの大きなメリットは、映像コンテンツをリアルタイムで配信できる点です。これにより、情報をより直感的かつ効果的に伝えることができます。
例えば店舗では、季節限定商品やセール情報を映像で動的に伝えることで、顧客の興味を引きつけることができます。また、SNSとの連携を通じて、最新の情報を迅速に共有することも可能です。
張り替えコストがかからない
従来の紙媒体では、新しい情報を伝えるたびにポスターや看板を張り替える必要がありました。一方でデジタルサイネージでは、その必要がありません。これにより、長期的な運用コストを大幅に削減できるため、コスト意識の高い企業にとって魅力的です。
さらに印刷コストなどを抑制し、環境への負荷を軽減するのにも役立ちます。SDGsの達成など、持続可能な取り組みとしても注目されています。
表示内容を柔軟に変更できる
デジタルサイネージは、表示内容を簡単に変更できます。たとえば、飲食店ではランチタイムにメニューを表示し、ディナータイムには別のメニューに切り替えるといった使い方ができます。
この柔軟性を活用すれば、ターゲットに合わせた効果的な情報発信が実現します。平日と土日で表示内容を変えるような使い方です。また災害の発生時など、緊急時には重要な情報を即座に表示できるため、安全対策としても利用価値が高い強みを備えます。
デジタルサイネージの主な活用方法
デジタルサイネージの活用方法には、以下のようなものが挙げられます。
広告の配信
企業が自社商品やサービスを効果的にアピールする手段として、デジタルサイネージは非常に有効です。駅構内やショッピングモールで流れる広告は、顧客の目を引くデザインと映像効果で購買意欲を高めます。
また、ターゲット層や時間帯に応じて広告内容を変更できるため、よりパーソナライズされたマーケティングが可能です。
販売促進
デジタルサイネージを利用することで、店舗内での販売促進活動を強化できます。例えば、店舗入り口に設置して、人気商品や特売情報をリアルタイムで告知し、顧客を引きつけます。さらに、限定セールやポイントアップキャンペーンなど、緊急性の高い情報を迅速に発信する手段としても活躍しています。
施設のインフォメーション
商業施設や公共施設でのインフォメーションとしても、デジタルサイネージは活躍しています。施設内の案内図やイベント情報を表示することで、利用者の利便性を向上させます。
また多言語対応が可能なため、外国人観光客が多い場所でも役立ちます。施設全体の満足度を向上させる上で非常に有効です。
デジタルアート
デジタルサイネージを単なる情報表示ツールではなく、芸術作品の展示として活用するケースもあります。特に、空港や美術館では、来場者に特別な体験を提供するための手段として注目されています。インタラクティブな要素を取り入れることで、観客との双方向の交流を実現し、アートの新しい楽しみ方を提案しています。
デジタルサイネージの導入事例(商業施設)

ここでは、デジタルサイネージを商業施設で導入している事例を紹介します。
タワーレコード株式会社
タワーレコードでは、デジタルサイネージを店舗内に導入し、最新アルバムのプロモーションやイベント情報を効果的に配信しています。
このおかげで顧客が店内で興味を持ちやすくなり、購買行動を促進する効果を得られているとのことです。また、アーティストのライブ映像やインタビューを流すことで、来店客に特別な体験を提供することにも貢献しています。
参考:https://jp.sharp/business/case/display/display_detail_93.html
株式会社そごう・西武
そごう・西武では、百貨店のエントランスや各階の案内板にデジタルサイネージを活用しています。設置場所に応じて、ディスプレイの形状やサイズ、演出方法を変えているのが特徴です。
これにより、顧客が目的のフロアや商品をスムーズに見つけることができ、施設全体の利便性向上に寄与しているということです。また、季節ごとの装飾やイベント情報を映像で演出し、顧客に魅力的で販売促進効果の高い空間を提供しています。
デジタルサイネージの導入事例(公共空間)
近年は病院や行政の施設といった公共空間でも、デジタルサイネージが積極的に用いられています。
埼玉県立がんセンター
埼玉県立がんセンターでは、デジタルサイネージを利用して、患者や訪問者に医療情報や施設案内を提供しています。
サイネージによる案内を強化し、来訪者が施設内で迷うことなくスムーズに移動できるようになりました。また、健康に関する啓発映像を流すことで、患者や家族の健康意識を高める取り組みも推進しています。
福岡県篠栗町
篠栗町では、地域住民への情報発信にデジタルサイネージを活用しています。町内の観光スポットやイベント情報をリアルタイムで配信し、地域活性化に貢献しているということです。
さらに、防災情報や緊急時の避難誘導にも活用されています。もしもの時に頼りになる、地域の安全性向上に役立つ施策です。
参考:https://www.ricoh.co.jp/products/line-up/digital-signage/case/2207-sasaguri
デジタルサイネージの導入事例(屋外)
デジタルサイネージは室内空間だけでなく、屋外においても積極的に導入が進んでいます。
駿河台開発特定目的会社
駿河台開発では、建物の外壁に大型LEDディスプレイを設置し、周辺地域への広告配信を行っています。これにより、企業やイベントの認知度を、地域に向けて効果的に行うことが実現しました。
また、周辺環境に調和するデザインを採用したり、デジタルアートを実践したりすることで、地域社会との調和を図っています。
参考:https://jp.sharp/business/case/display/display_detail_103.html
品川リフラクトリーズ株式会社
品川リフラクトリーズでは、屋外に設置したデジタルサイネージで、社員向けの安全啓蒙、そして訪問者向けのウェルカムメッセージの配信を進めています。社内外で異なる配信内容を使い分けることで、ディスプレイの有効活用が実現しました。
参考:https://www.ricoh.co.jp/products/line-up/digital-signage/case/2302-shinagawa
デジタルサイネージ導入を成功させるには?

デジタルサイネージの導入を進める上では、以下の3つのポイントも踏まえて手続きを進めていくことが大切です。
■導入目的を明確にする
デジタルサイネージを導入する際は、まず目的を明確にすることが重要です。たとえば、広告目的なのか、案内表示としての利用なのかを事前に決めることで、設置場所やコンテンツ内容を最適化できます。また、目的に応じたKPIを設定することで、効果を具体的に測定しやすくなります。
■設置場所を丁寧に検討する
適切な設置場所を選定することが、デジタルサイネージの効果を最大化する鍵となります。視認性や通行人の流れを考慮し、最も目立つ場所に設置することで効果を発揮します。
さらに、設置場所の周囲環境や照明条件も考慮し、最適なディスプレイを選ぶことが重要です。
■コストパフォーマンスを計算する
初期投資だけでなく、運用コストやコンテンツ制作費も考慮して、総合的なコストパフォーマンスを計算しましょう。これにより、長期的な利益を最大化できます。必要に応じてレンタルやリースを活用することで、初期コストを抑える選択肢もあります。
■改善活動に取り組む
導入後も継続的に改善活動を行うことで、より効果的な運用が可能になります。たとえば、データ分析を活用して表示内容を最適化することで、顧客満足度を高めることができます。また、利用者のフィードバックを収集し、コンテンツや運用方法を改善することで、さらに高い成果を目指すことができます。
まとめ
この記事では、デジタルサイネージの導入事例を中心に活用のメリットについて解説しました。すでに多様な業界で導入が進んでいるデジタルサイネージは、的確な導入ゴールなどを設定することで、強力な効果を発揮します。ここで紹介している事例以外にも、様々なシーンでデジタルサイネージは用いられています。自社の課題などを踏まえて、積極的な活用を目指しましょう。