自社が効率的に「BPM (Business Process Management)」を実施するために必須なのがBPMツール(BPMS)です。しかし、初心者向けや上級者向け、クラウド型やオンプレミス型、などさまざまなものがあるので、自社の実情に合わせて選定することが重要といえます。
この記事では、三つのポイントでBPMツールの選び方を解説いたします。BPMの取り組みについてお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
BPMツール(BPMS)の選び方
BPMツールを提供するベンダーは様々です。そして、その特徴や費用は大きく異なってきます。以下では、自社がどのような観点で選定していけばいいのかについて解説していきます。
業務フロー図をノーコードやローコードで描くことができるか
プログラミング技術を持っていないBPMツール利用者が、まず確認しなければならない重要なポイントは、ノーコードやローコードで業務フロー図を描けるかということです。なぜなら、BPMは活動の性質上、ツール導入後に現場で業務プロセスをこまめに変更することが頻繁にあるからです。その際に、ベンダーへシステム操作をいちいち依頼していては、PDCAがスピード感をもって回せません。
併せてノーコードとローコードについて説明します。ノーコードでは、プログラミングの技術を一切使う必要がありません。テンプレートを組み合わせるだけで開発をすることができます。一方のローコードは、少ないプログラミングコードで開発する手法のことです。ノーコードは、誰でも操作できるのが魅力ではありますが、機能性はローコードよりも劣る傾向にあります。そういった点をと共に、利用者のスキルや、自社で求める要件を考慮しつつ選択しましょう。
選ぶのはクラウド型かオンプレミス型か
BPMツールは、大きく「クラウド型」と「オンプレミス型」に分けられます。
クラウド型にあるメリットは、比較的抑えた初期費用で導入できることや、運用開始までの期間が短いという点があります。一方のオンプレミス型は、初期費用の高さや導入期間が長くなりがちであることが気になりますが、カスタマイズ性に優れているというメリットとがあります。併せて、セキュリティについてですが、自社サーバー内で管理するオンプレミス型の方が優れているともいえますが、厳重に管理しているデータセンターでのクラウドベンダーであれば、データ漏えいの心配が少なく安心して利用できます。
予算内に導入費用や運用費用が収まるか
自社の予算内にBPMツールの導入・運用費用が収まるかを確認することは大切です。一般的には、初期費用やランニングコストは、利用するユーザー数によって変わってきます。その他に、CPU単位でかかる初期費用だけでなく、サポート費用がかかることもあります。料金の内訳をよく確認しておきましょう。クラウド型のBPMツールの中には、無料トライアルのサービスや、少ないユーザー数で安価な料金から利用できるものもあります。予算を抑えたい場合には積極的な検討をしてみてください。
おすすめのBPMツール(BPMS)四選
ここでは、BPMの実施におすすめである、四つのBPMツールをご紹介いたします。
intra-mart
intra-martは、BPM専用のツールで、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマートが提供しています。本製品の大きな特徴は、ローコード開発ができるという点です。使い方を覚えてしまえば、システムやプログラミングの知識がない部門や部署の担当者でも、スムーズに業務フロー図が作成できます。
また、プロセス状況の分析機能が搭載されています。KPIと比較した現在のパフォーマンスを表示したり、今後の予測を行ったりできます。さらなるポイントは「BPM実践ワークショップ研修」や、各種支援コンサルティングサービスなどのサポート体制の充実です。ベンダーと協力しながら内製に向けた教育を進めることが可能といえます。
料金・価格:要問合せ(無料トライアルあり)
公式ページ:https://www.intra-mart.jp/products/im-bpm.html
Questetra BPM Suite
Questetra BPM Suiteは、クラウド型のBPMツールで、株式会社クエステトラが提供しています。特徴は工程アイコンをドラッグ&ドロップするだけのノーコードで業務フロー図の作成が行えます。設計時は、「ヒューマン工程」は作業を受け渡しながら進める、「自動処理工程」はシステムで自動実行するという2パターンの採用が可能です。
また、メリットとして「非ブロック構造」「ループフロー」といった複雑なフローにも対応しているため、設計を自社の業務に合わせたものにしやすいという点が挙げられます。業務の標準化や効率化、業務管理コストを下げることなどを目指している企業におすすめできるツールです。
料金・価格:1ユーザーあたり960円/月~(無料トライアルあり)
公式ページ:https://questetra.com/ja/
BP Director
BP Directorは、オンプレミス/クラウド型のBPMソフトウェアで、アシストマイクロ株式会社が提供しています。本製品は、通常のワークフロー以外に、「タイムライン機能」を使い、ガントチャート形式で業務プロセスを管理できる点が大きな特徴といえます。各業務の期日を厳格に管理する必要があるときや、部門内で同時並行の業務が進められる場合などに役立ちます。
また、経費の精算や社内稟議にある申請・処理業務においては、承認者や差し戻し内容などの履歴が詳細に残されます。特に業務の透明性をよくすることや不祥事の防止に向けて、ガバナンスを強くしたいと考える企業におすすめです。さらに挙げられる強みとして、他システムとの連携性に優れているという点があります。自社に既存している人事情報システムや販売管理システムなどのシステムと連携させて、より高度な自動化を実現させることができます。
料金・価格:要問合せ
公式ページ:https://www.assistmicro.co.jp/service/bpdirector
DataSpider BPM
DataSpider BPMは、BPMツールです。株式会社セゾン情報システムズが提供しています。GUI (グラフィック・ユーザー・インターフェース)を用いた「ワークフロー定義」や仕事の発生量・作業時間などの監視が可能な「モニタリング」、プロセスの履歴の詳細な記録が可能な「ログ管理」など、BPMに必要不可欠である機能の利用ができます。
また、同社のEAI製品「DataSpider Servista」との連携機能を搭載。業務フロー図の作成時と同様、GUIによるノーコードで連携を実現できます。顧客管理システムや販売管理システムといった業務システムとの連携が容易にでき、より最適化されたプロセスの構築が可能となります。
経営と現場、IT担当者の三者の視点から業務課題を解決できるBPMツールです。
料金・価格:基本パッケージ(CPU単位)1,500,000円、ユーザーパック(50単位~)1,000,000円~
公式ページ:https://www.hulft.com/software/bpm
BPMツール(BPMS)の導入で失敗しないポイント
BPMツールの導入で失敗しないために重要なのは、自社が主体的にBPMへ取り組むための仕組みを整えることです。。
例として、BPMツールを使う際に社内の役職者や現場担当者が、BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)を用いて業務フロー図を描いたり、モニタリング結果に応じて自らプロセスを変更したりする必要があります。もし、自社がBPMの進め方やシステムの使い方に習熟していないと、活動全般をベンダーへ依存する形になってしまい、費用や改善にかかる時間が大幅に増加してしまうのです。
上記で挙げたような状況にならないようにするには、まず自社のリソースだけでBPMSを使いこなしてPDCAを回せるようにする必要があります。具体的には、以下のような対策があります。
- 社内でBPMの専任チームを設ける
- ベンダーと協力して利用者への教育を実施する
- パッケージの標準機能だけで運用を開始する
BPMは、スピード感を持って継続的に取り組むことが肝要です。そのためにも、できるだけベンダーへ依存しないような仕組みづくりを整えましょう。
BPMツール(BPMS)は自社に合ったものを選定しましょう
本記事では、BPMツールをどう選ぶか、BPMの導入におすすめのツール、導入時に失敗を避けるためのポイントをご紹介いたしました。また、ツールを比較する大切な観点を以下にまとめました。
- 業務フロー図をノーコード/ローコードで描くことができるか
- クラウド型、オンプレミス型の比較検討
- 予算内に導入・運用費用が収められるか
特にBPMやITに関する知識がない場合におすすめなのは、クラウド型のノーコード製品です。自社の予算や課題に合わせたBPMツールの導入を行い、スピード感のあるBPMを進めてみましょう。