間接業務における、作業標準化の為の業務フロー作成は必要?

会社の従業員規模がある程度大きくなった企業にとって、非常に悩ましい問題だともいえるのが「間接業務」です。肥大化した業務の削減に向けて、作業標準化へ挑戦している企業も多いことでしょう。

改革を進めるにあたって「業務フロー」の作成は必須ですが、「本当に作る意味はあるのか」「作ることでどんな効果があるのだろうか」とお考えの方も多いのではないでしょうか?

この記事では、間接業務における、作業標準化のための業務フロー作成の必要性や、具体的な方法を解説いたします。

そもそも、間接業務とは何を意味するのでしょうか?そして、直接業務との違いは何なのでしょうか?

間接業務は、企業の「間接部門」が行う業務を指します。「管理部門」や「バックオフィス」とも呼ばれることが多く、企業の業績へ直接かかわらないのが特徴です。間接部門は、直接部門の業務遂行を支援したり、職場の満足度を高めるために環境整備をしたりします。間接業務はいわば、「縁の下の力持ち」ともいえるでしょう。

対して直接業務は、開発や製造、営業など、企業の業績へ直接影響してくる業務のことです。売上や利益にかかわる具体的な数値目標を設定し、日々上がってくるデータとにらめっこをしながら進めていきます。

間接業務と直接業務は、「目標設定が定性的か・定量的か」という点で大きく異なります。間接部門においては、どうしても「数値入力をミスなく行う」「エクセルの関数を使えるようにする」など、漠然とした目標になりがちです。

なぜ間接業務が肥大化するのか?

現在多くの企業が、間接業務の肥大化について課題を抱えていらっしゃいます。では、どうして必要以上に業務が増えてしまうのでしょうか?

組織が成長しているため

理由の一つとして挙げられるのは、組織が大きくなっていることです。従業員が比較的少ない組織であれば、会計・勤怠・税務手続きなど、法律で定められた最低限の管理だけでも運用していけます。

しかし、従業員が100人・1,000人と増えていくごとに、階層間や社外関係者との調整が増えるため、間接部門の負担が増加していくのです。従業員同士が初対面ということもよくあるので、より詳細なルール策定が必要になります。

 重要性の低い仕事を作り出してしまっているため

理由の二つ目は、間接部門の人自らが、重要性の低い仕事を作り出してしまうことです。

とくに手続きの多い期首や期末、商品・サービスの需要期などは、間接部門へ集中的に業務が降りかかってくることが多いです。しかし一定の期間においては、仕事量が少なくなることもあります。

その際に手持無沙汰になってしまうため、空き時間を活用するために、新しい仕事を作り出してしまうのです。結果的に、間接業務として無駄な仕事が生まれてしまうことになります。

間接部門の作業標準化は必須

間接業務の肥大化を防ぐためには、業務内容を把握し、作業標準化を進めることが欠かせません。

そもそも業務における標準化とは、特定の作業を効率化するために、一定の基準を定めることです。具体的には、作業ルールを定めたり、書類をデータ保存に変えたりします。

間接部門の作業標準化が進んでいないと、業務のやり方にバラつきが発生してしまい、全体の生産性が落ちてしまうでしょう。属人化が進んでいる状況であれば、特定の社員が辞めたとたん、業務が一気にストップしてしまう恐れがあります。

作業標準化は、直接業務だけでなく、間接業務においても重要なのです。「後でいいや」と手を付けないままだと、長期的に大きな損失になる可能性もあります。

 間接業務の作業標準化に向けた業務フロー作成は必要なのか

間接業務の業務フローを作成することは、作業標準化を進めるうえで必須となります。なぜなら、業務の全体像が見えない限り、具体的な手順やルールを定められないからです。

そもそも業務フローとは、会社で行っている業務の流れを可視化できるフロー図のことです。部署間の関係を表す「スイムレーン」や、業務の種類を表す記号、また矢印などを使い、間接業務を「見える化」します。
業務フローを作成する目的は、「関係者間で業務の流れの認識を一致させる」ことにあります。図を見ながら全員が同じ視点で考えることで、議論のズレを防いだり、理解を得やすくしたりできるのです。

もし、業務フローの作成をしないまま作業標準化を進めようとすると、各人がバラバラな認識のまま議論が展開されてしまうため、合意を形成するのは非常に難しいでしょう。

「業務フロー作成」と聞くと、少々ややこしく感じてしまい、ためらってしまう方も多いかもしれません。しかし、作業標準化を効率的に進めるうえで、避けては通れない業務なのです。

間接業務の作業標準化を進めるための4ステップ

間接業務の作業標準化を進めるための4ステップ

ここでは、間接業務の作業標準化をどのように進めればいいのかについて解説しています。業務フロー図の作成方法についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

1.問題となっている間接業務の洗い出し

まず、自社で問題となっている間接業務を一通り洗い出しましょう。何が問題となっているのかが分からない場合は、自社の業務をすべて洗い出してもよいでしょう。

企業によってさまざまな間接業務が発生していますが、代表的なものを挙げるとすれば、以下です。

洗い出した業務について、以下の点をチェックすると問題を発見しやすくなります。

  • 定型型の業務なのか、非定型型の業務なのか
  • どれくらいの頻度で発生するのか
  • 作業時間はどれくらいか

担当者が「働き方改革を実施したい」「間接業務を効率化したい」などと漠然とした意識を抱えているだけでは、具体的な解決は見込めません。骨の折れる作業になるかと思いますが、一つひとつ進めていくことが重要です。

2.業務フロー図の作成

次に、問題となっている間接業務のフローを、紙やデジタルの図で作成しましょう。ここでフローを明確にしておくことで、問題の本質が見えやすくなります。

フロー図を作成する際は、「インプット」「プロセス」「アウトプット」の流れを明確にしましょう。たとえば、稟議書の承認フローであれば、「インプット=稟議書の受領」「プロセス=捺印・押印をする」「アウトプット=次の責任者へ稟議書を渡す」といった流れになります。

また、業務ごとに図形を変形させたり、開始地点や終了地点を色分けしたり、といった工夫ができます。関係者や関係部署なども明確にすることが必要でしょう。

業務フロー図を作成するポイントは、社内のだれもが見ても分かるような内容にすることです。あまり複雑になりすぎないように意識しましょう。

3.原因追究

次に、問題を抱えている間接業務が、なぜ問題となっているのかの原因追及をします。ここが最も重要なステップなので、慎重に行いましょう。

たとえばある担当者が、稟議書の承認業務に非効率さを感じていたとします。この場合、「なぜ稟議書の承認業務が非効率になっているのか」と一段階深掘りしていきましょう。

原因として挙げられるのは以下です。

  • 決裁者が商談で出かけることが多いため、承認までに時間がかかる
  • テレワーク環境になっているため、稟議書の郵送に時間がかかっている
  • そもそも、稟議書の決裁フローがあいまいになっている
  • 決裁者への根回しに時間がかかっている

もし原因を深掘りできていないと、「システム化が重要だ!ワークフローシステムを導入しよう」といった短絡的な判断や、「稟議書を廃止しよう」といった極端な決断になってしまいかねません。

本当の原因を見つけるには、現場の社員との対話が欠かせません。トップ層や管理層だけで判断するのではなく、現場とのコミュニケーションを欠かさずに行いましょう。

4.改善策の検討

最後に、明らかにした原因に基づいて、有効な手立てを考えましょう。今回は利益へ直結しない間接業務を対象としているので、できるだけ費用をかけないことがコツです。

具体的な改善策の案として考えられるのは、以下です。

  • 業務フローの変更
  • 運用ルールの整備
  • 組織体制の変更
  • システムの導入

たとえば、先ほどの「稟議書の承認業務に非効率さを感じている」場合の例で、原因が「テレワーク環境になっているため、稟議書の郵送に時間がかかっている」とするならば、システムの導入が最適解になるかもしれません。

「そもそも、稟議書の決裁フローがあいまいになっている」場合は、新しく運用ルールを策定する必要があります。

いずれにせよ、問題の原因に即した解決策を見出すことが大切です。実施後は実際の効果を測定し、本当に正しい施策であったのかをチェックしましょう。

間接部門の生産性をさらに高めるための方法

間接部門の生産性をさらに高めるための方法

ここでは、間接部門の生産性をさらに高めるには、どのようにすればよいのかについて解説していきます。

定量的な目標・金額を設定する

間接業務は、定量的な目標を決めたり、費用対効果を測定したりすることが難しいといわれていますが、可能な範囲で進めていくことが大切です。

たとえば、業務フローの改善によって承認プロセスの効率化を目指しているのならば、稟議書の作成開始から決済完了までにかかった日数を記録することで、具体的な成果が分かるでしょう。

作業標準化の施策がシステム導入であれば、導入によってどれくらいのコスト削減ができるのかを測定できるでしょう。

計算するには、まずシステムそのものにかかる初期費用や月額費用に加えて、導入や運用にかかる人件費を計算します。人件費については、社内の勤怠管理情報やベンダーの提供情報をもとに作業時間を特定し、給与換算をすることで求められるでしょう。

その後、標準化する前の運用にかかっていた人件費と比較することで、具体的な削減コストを算出できます。

標準化した業務をFAQシステムで管理する

FAQシステムとは、社内の各所から寄せられる「よくある質問」に対し、回答を事前に格納・公開できるシステムのことです。質問者が疑問を自己解決できるとともに、担当者のリソース不足を解消できるのがメリットです。

標準化した業務のマニュアルや変更内容は、社内のだれもが閲覧できるよう、FAQシステムに格納しておくのが望ましいでしょう。メンテナンス性やユーザー導線などが考えて設計されているため、だれもが気軽に利用できるからです。

ほかの共有方法として、ExcelやPowerPointといったOfficeツールが挙げられますが、検索性や情報の正確性にあまり優れません。マニュアル以外のさまざまなファイルが混じっていたり、情報がリアルタイムに更新されているのかが分かりづらかったりするためです。

業務のパフォーマンスを定期的にチェックする

作業標準化に成功した後でも、対象の業務を定期的にチェックすることが欠かせません。なぜなら、業務変更や組織体制の変化などによって、現状の業務フローがそぐわなくなってしまうこともあるからです。

たとえば、人事・総務部門が、組織拡大によって人事部門と総務部門の2つに分割されたとします。この場合、採用管理や組織作りなど、役割分担が不明確になりがちな業務については、業務フローを再度見直さなければなりません。

業務フロー図が現状の業務に合致していないと、マニュアルやルールに対する信用が失われてしまいます。組織の健全性を保つためにも、定期的なチェックは欠かせないでしょう。

間接業務の作業標準化に向けて、業務フローを作成しよう

この記事では、間接業務と直接業務の違いや、業務フローを作成する重要性、作業標準化の方法などについて解説しました。

とくに、組織が大きければ大きいほど合意にかかわる人数も多くなるため、共通の認識で議論していくための業務フロー図が欠かせません。

作業標準化を進める際は、以下のステップで行いましょう。

  1. 問題となっている間接業務の洗い出し
  2. 業務フロー図の作成
  3. 原因追及
  4. 改善策の検討

間接業務は、はっきりと認識しにくい業務のため、どうしても非効率になったり肥大化したりしてしまいがちです。まずは作業標準化の必要性を関係者へ共有し、議論を重ねながら業務改善へ取り組んでいきましょう。