業務の効率化や人手不足の解消を目的としてRPAを導入する企業は多くあります。しかし、具体的に何ができるのか疑問を持つ方も少なくないはずです。本記事ではRPAによってできることやどんな作業に向いているのかを紹介します。また、実際の活用事例を部門別と業種別にまとめたので、導入を検討する際の参考にしてみてください。
RPAに向いている業務とは
RPAでできることは、判断を伴わず、業務ルールが定まっているPCで完結できる作業です。例えば、社内の以下のような業務はRPAに向いているといえます。
データ収集、入力、検証
社内ネットワークからデータを収集し、基幹システムに入力することが可能です。サイトを指定すればWebサイトなどからも情報収集が可能で、運賃サイトからの交通費計算等にも使用できます。
入力したデータの集計やルールに基づいた検証など、フローを指定することで使い方は多岐にわたります。
システム間連携
幾つかのシステムやアプリケーションを連携させて処理を行うことも可能です。例えば繁忙期の発注書をすべてシステムに登録したり、文書の読み取るソフトと連携して手書きのアンケートを読み取ったりといった連続して行う作業にも向いています。
資料作成
従来は人間が長時間かけて作っていた資料も、情報元を指定しておけば自動で作成が可能です。作成するだけではなく、決まった送信先に自動で送付することもできるため、定例の社内会議用の資料を作成して参加者に送付するまでを実行できるのです。
同じような繰り返しを行う業務の場合、人間が対応するとミスを起こしやすくなる可能性がありますが、RPAの場合その心配が必要ありません。
【部門別】RPA活用事例
RPAは社内の多くの部署で活用可能で、全社的に展開することも可能です。まずは各部署でどのような活用方法があるのか、具体例を用いて確認してみましょう。
マーケティング
マーケティング部署では、自社製品の口コミ収集や他社製品の調査なども同じ作業の繰り返しであるため、RPAで対応できます。
そのほかにも、分析のためのレポート作成に活用されることもあります。レポートの作成手順自体は単純ではあるものの、作成自体にはそれなりの時間と手間が必要です。しかし、レポートを作成すること自体が目標になってしまっては意味がありません。レポートを作成することでどうしていくのか、という点を考える時間を作るためにレポートの作成を自動化し、そこからの分析に人間の力を活用することができるようになります。
経理
経理部署は書類仕事が多くなりがちな部署であるだけに、RPAの活躍する領域は多いと言えるでしょう。例えばPL(損益計算書)やB/S(貸借対照表)といった会社にとって重要な書類の作成、月末月初の支払いは請求の管理などは企業が大きくなるほど処理する量も多くなってしまいます。
RPAを活用すれば、書類の自動送信や入金作業も自動化できます。機械で処理するため設定さえ誤っていなければエラーも起こらず、人手が不足するような時期でも滞りなく業務を遂行できます。
人事
人事部署では、労働時間の管理や従業員情報の管理に活用されています。
従業員の多い会社などでは、ひとりひとりの出退勤データを把握するのは困難ですが、導入による自動化によって残業時間の多い従業員を自動でピックアップできます。そうすることで、人事部は対応を促す連絡や評価表の作成などを簡易的に行うことができ、本来の業務に専念することが可能です。
また、履歴書を読み取ってデータ化することも容易になるため、採用活動もスムーズに行えることでしょう。
コールセンター
コールセンター部署では、通話明細の作成や問い合わせ数、内容の集計などを自動化できます。複数のツールをまたがって入力する必要がある場合、複数間での整合性のチェックにも利用可能です。
このような資料の作成や集計、チェックは、RPAが得意とする業務になります。
【業種別】RPA活用事例
RPAの活用方法は業種によっても異なります。実際にどのように利用されているのか、業種別にみていきましょう。
金融業
金融業ではローンを融資する際の申告書を点検する業務を自動化した事例があります。従来は担当者が直接目視でチェックしていたものを自動化することで、作業時間の短縮につながりました。このほかにも多くの書類作成やチェックが必要な金融業では、テンプレート的な業務をRPA化することで結果として約2,500時間の業務時間削減につながりました。
この
不動産業
大手賃貸住宅仲介会社では、それまで手作業で行っていた空室情報の入力を自動化した事例があります。いくつかの手順を踏んで登録する作業のうち約半分がRPAの導入に向いている作業と判断され、RPAと人間の分担作業を開始しました。
その結果、1店舗につき約8時間かかっていた作業が半分以下の時間にまで短縮され、ヒューマンエラーも減ったため生産性の向上にもつながったのです。
運送業
物流関係の企業では、運送に関連する出荷依頼メールの仕分けを自動化しました。毎日数百通も届くメールを自動的に処理することで、現場の業務担当者達が24時間365日体制で行っていた業務が必要なくなり、結果として年間約3,000時間以上もの業務が削減できました。
自治体
ある自治体では、手書きの書類をデータ入力する作業を自動化した事例があります。行政は元々紙文書、さらに手書き文書が多く、処理には多くの時間がかかっていました。その紙文書をデジタル化することも含めた改革を行うことで、RPA化した業務では平均約85%と非常に大きな作業削減効果が出ています。
手作業が多い、紙文書が多い業種などで導入すると、より大きな効果が見込めるでしょう。
最後に
RPAでできることは主に定型作業や単純業務のシステム化を行うため、ルーティンワークの多い分野・部門で活用されています。
少子化問題による労働力不足や働き方改革の推進を考慮すると、今後は尚更導入の有効性が高まるはずです。早い段階で自社内で活用できそうなポイントと照らし合わせながら、導入を検討してみてください。