国内石油需要の減退や、世界で取り組む機構変動問題など、石油業界の経営環境が年々厳しさを増す中、二つの大手石油会社がエネルギー業界でのリーディングカンパニーをめざして経営統合を果たしました。厳しい経営環境を打破し、さらなる事業の高みを目指すためにも、最新のデジタル技術導入にも前向きです。経営統合と同時期に進められたUiPath Studio X導入事例と、企業(以下B社)にもたらした効果や先進的な取り組みを紹介します。
UiPath Studio Xを活用して厳しい経営環境に対抗する
B社は、多様なエネルギーや素材を安定的に供給するエネルギー共創企業です。現在、国内のガソリン需要は減少へ向かっています。国内石油需要の減退や環境問題、原油価格の急騰により、先行き不透明な状態に直面しています。
このような厳しい環境の中で同業企業と経営統合したB社ですが、統合に向けて動いている最中から、それぞれの会社の上方システム部門が連携を取りながらUiPath Studio Xを活用した働き方改革を推進していました。事業の成長は働き方を変える、業務プロセスを変える、新しいビジネスモデルを提案するという切り口から、UiPath Studio Xは、働き方を変える部分で非常に有効なツールになります。このため、経営統合する2社は、同じアプローチの中でUiPath Studio Xを活用していくことになりました。
グローバルに使われているUiPath Studio Xの統合運用管理が決め手
経営統合前のB社は、それぞれの会社の情報システム部門がUiPath Studio Xの導入を決定しましたが、それぞれのアプローチは少し異なります。UiPath Studio Xをはじめ、国内のRPA数社を比較した統合企業に対し、B社は初期段階からコスト面や、機能性、フォロー環境の有無や、グローバルに使われているツールかどうかを判断し、他社の導入事例なども参考にUiPath Studio Xを中心に検討していました。
最終的には統合運用管理が大きな決め手となり、それぞれの会社でUiPath Studio Xが導入されたのです。本格的に導入を始めた2018年からは、両社とも各部署へヒアリングを行い、現場のニーズを拾って困っている業務やニーズを書き出し、RPA化できるかどうかを判断しました。集まったニーズは両社で1000件以上にも及び、そのニーズの中から本当に効果があるのか、コストはどれほどか、必要性を判断しながら導入を進めていきました。
大幅な業務時間の削減に加えてBRP効果も
全社的な取り組みとしてUiPath Studio Xを取り入れた結果、本格導入から1年半という短期間ですでに58000時間もの業務削減を達成したB社ですが、特に効果が顕著だった事業所の事例と、とても先進的な取り組みとして特筆すべきAI-OCRとの連携事例を紹介します。
SAPへの入力作業を自動化
事業所では数年に1回、プラントを止めて全ての装置を総点検します。シャットダウンメンテナンスは、3ヶ月の期間を要し、各担当部門へ指示を行う指図登録は毎日200件程度あります。指示を受ける毎に担当者が都度SAPへの入力作業をしていましたが、UiPath Studio XはExcelに入力されたリストがSAPに自動的に書き込む設定にしたので、Excelの入力だけで業務が完了します。結果、作業時間が削減され、全事業所にこのシステムが導入されました。
AI-OCRとの連携
情報システム部に届くシステム開発依頼書は、ワープロから手書きのものまで統一されていない中、AI-OCRで内容を読み取り管理システムに自動でインプットする方法を実現しました。高精度で文字を認識できるAI-OCRがあってこそ可能になった例といえます。業務時間の大幅な削減のほか、UiPath Studio Xを導入する際のヒアリングの段階で、そもそもこの業務自体が必要かどうか、といったようなビジネスプロセスそのものの見直しができることも大きな効果です。
最後に
最新技術の活用に積極的なB社の導入事例を紹介しました。RPAとAI-OCRの連携活用をはじめ、さらに進化した業務の高度なシステム化を考えています。その一つがチャットボットの活用です。テキストや音声で自動的に人と会話できるチャットボットが、高度な情報処理能力を備えることができれば、事前の教育や説明を行わなくても業務システムを遂行することが可能になります。一方、緊急の課題としては、経営統合後、両者の環境を統合的に管理できるシステムをどう構築するかということです。経営統合という、会社として大きな変革の最中のB社ですが、社内・社会と調和を図りながら、UiPath Studio Xをはじめ、最先端のデジタル技術によって業務の効率化と高度化をはかることによって、今後も業界を牽引してゆく企業として発展してゆくことでしょう。