社内の業務効率化を目指してRPAを導入したものの、運用で深刻化する「保守負担」の実態があります。
折角の導入も運用面での負担が増えてしまえば、運用が追い付かず放置してしまったり、サービスの解約を検討してしまう可能性も出てきます。
今回は課題となっている「保守コストがなぜ増大するのか?」の解説とその解決策に関して、解説いたします。

1. 導入:RPA運用で深刻化する「保守コスト」の課題

RPA(Robotic Process Automation)は、定型業務を効率化するツールとして多くの企業で導入が進んできました。しかし、導入から数年が経過した現在、運用担当者からは「RPAの保守コストがかかりすぎる」という声が増えています。

特に近年は、SaaSアプリケーションの利用が拡大し、サービス側のUI変更が頻繁に行われるようになっています。利用者にとっては些細なデザイン変更でも、RPAにとっては致命的な障害となり、シナリオが動かなくなるケースが後を絶ちません。

その結果、

  • シナリオ修正のために担当者が常に対応を迫られる
  • RPAメンテナンスのために数人月レベルの工数が発生する
  • 本来は効率化のために導入したのに、逆に「保守要員」が増えている

といった問題が発生しています。まさに「RPA運用の壁」が、多くの企業の悩みになっているのです。

2. なぜRPAの保守コストが増大するのか?

画像認識型RPAの限界

UiPathでは、特許技術のオブジェクト認識と呼ばれるシステム認識力が高く、変更などに比較的強いとされる画面認識方式が採用していますが、国内で広く使われてきたRPAツールの多くは「画像認識方式」を採用しています。これは、画面上のボタンやラベルの位置・画像をもとに操作を自動化する仕組みです。

しかしこの方式では、以下のような小さな変更にも弱いという課題があります。

  • レイアウト変更により操作対象が認識できなくなる(場合によっては、操作項目の位置が少しずれただけでもエラーが発生)
  • ラベル名が「送信」から「送信する」に変わると動作停止

つまり「人間なら気づかない程度の画面変更でも、RPAは止まってしまう」という脆弱性があるのです。

さらに、SaaSサービスでは頻繁にシステム変更が行われ「システム変更の案内」がポップアップ表示される場合なども同様に自動操作が止まってしまいます。

結果として、RPA運用担当者は日々「エラー対応」や「シナリオ修正」に追われ、RPAのメンテナンスコストが膨らんでいく状況に陥ります。

3. 解決策:UiPathの「自動修復機能(ヒーリングエージェント)」

こうした課題に対して、UiPathでは「ヒーリングエージェント(Healing Agent)」と呼ばれる自動修復機能を提供しています。これは、従来のRPA運用で発生していた「小さな変更でシナリオが止まる」という問題をAIで補う仕組みです。

ヒーリングエージェントの特徴

1. エラーが発生するとエラー原因をAIが自動判定・修正再実行

  • エラー原因をAIが検知
  • エラー原因に合わせた対応操作を実行

ラベル名の変更や画面レイアウトの変更の場合も自動判断し、操作対象を再認識し再実行

2. エラーが出ても処理を継続実行

従来ならエラーでシナリオが停止 → ヒーリングエージェントは処理を続行し、業務を止めない

3. 修復内容をシナリオに反映

  • シナリオ修正が必要となる修復が発生した場合、修正案が提示されるのでその内容をシナリオに反映させることも可能

これにより、従来発生していた「RPA運用が止まる」「エラー対応に追われる」といった課題を大幅に削減でき、RPA保守コストの最小化につながります。

4. 他RPAツールとの比較:画像認識型 vs UiPath

ここで「画像認識型RPA」と「UiPath(オブジェクト認識+自動修復)」を比較してみましょう。

 

観点

 

画像認識型RPA

UiPath
(ヒーリングエージェント
搭載)
業務対象範囲 比較的小規模で狭い 広い範囲が可能
UI変更対応 弱い:画面変更でシナリオ停止 強い:AIが自動修復
メンテナンス工数 年間数人月レベル 大幅削減
運用安定性 低い(頻繁に修復必要) 高い(継続実行可能)
導入負荷 低い 初期設定に手直し必要な場合あり


※既存シナリオがそのまま使えないケースもあるが、一度手直しすれば長期的な保守コスト削減効果が期待できる。

5. RPA市場環境と「UiPath乗り換え」の意義

現在のRPA市場は「新規導入」よりも「乗り換え需要」が拡大しています。

市場環境のポイント

  • RPAは成熟期に入り、従来型でのRPA需要は減少傾向
  • 従来RPAではやっていなかった新たな範囲での利用検討は拡大方向(但し、利用RPAツールによっては実現できないものもある)
  • 一方で「既存RPAの運用負担」に不満を持つユーザーが増加
  • 特に WinActorなどの画像認識型ツール利用者 からの乗り換えニーズが顕在化

UiPathは「利用可能範囲の広さ」と「自動修復機能」を武器に、こうした「運用で困っているユーザー」の受け皿として強い存在感を発揮しています。

6. UiPathのライセンス体系とSPSでの支援

2025年11月以降、UiPathのライセンス体系は「付加機能プラットフォームライセンスの購入が必須」に変わり、新規導入時の初期投資額が以前よりも大幅に増加します。

  • 従来:必要なライセンスだけ購入可能
  • 今後:RPA案件管理ツール(AutomationHub)やBIツール(Insights)などの付加機能プラットフォームライセンスも必須購入 → 初期費用が上がる

弊社サン・プラニング・システムズでは、「BPOサービス(簡単ロボットプラン)」を提供し、従来の料金体系に近い形でスモールスタートを可能にしています。これにより、「RPA保守に困っているが、いきなり大規模投資は難しい」 という企業でも、負担を抑えてUiPath乗り換えを実現することが可能です。

7. UiPath導入で得られるメリット

UiPathへの乗り換えにより、企業は以下のメリットを享受できます。

  • 短期的メリット
    • 保守コストの削減
    • シナリオ修復の負担軽減
    • 業務ダウンタイムの抑制
  • 中長期的メリット
    • 生成AIやAIエージェントとの連携が容易になり、さらなる業務自動化が可能
    • 組織全体の自動化基盤として長期的に活用できる
  • 投資対効果
    • RPA保守工数の削減による人件費削減
    • 継続的なシステム安定稼働による業務効率化

8. まとめ:RPA運用の悩みを解決する「UiPath乗り換え」

RPA導入から数年が経過した今、最大の課題は「保守コストと運用負担」です。特に、画像認識型RPAを利用している企業では、SaaSのUI変更に追随できず、担当者が疲弊しているケースも少なくありません。

UiPathの自動修復機能(ヒーリングエージェント)は、こうした課題を解決する強力な手段です。さらにSPSの支援サービスを通じて、従来に近いコスト感でスモールスタートが可能です。

「RPA保守の負担を減らしたい」「今のRPAに限界を感じている」「UiPath乗り換えを検討したい」 という方は、ぜひお気軽にご相談ください。