企業としての成長を促し、さまざまな問題を解決してくれる社内DX。社内DXはこれからの企業にとって欠かせない取り組みだと言えますが、正しい方法で取り組まなければ効果は得られません。

本記事では、社内DXの取り組みが必要な理由や進めていく上での課題となりうる点に触れながら、社内DXの具体的な進め方について紹介していきます。

社内DXが必要な理由

社内DXは、企業活動に良い影響を与え、企業が抱えるさまざまな問題を解決してくれます。以下では、企業が社内DXに取り組むべき4つの理由について解説します。

会社経営に与える影響が大きい

企業が競合他社との厳しい競争を生き抜くためには安定した経営と成長が必要不可欠です。

社内DXを進めていくと、業務効率が大幅に向上します。より生産性のある業務に取り組める機会や時間が増えるため、従業員一人あたりの生産性を大きく向上させることも可能です。

この社内DXが与える会社経営への影響は、在籍している従業員の数が多い企業であればあるほどより大きくなります。

働き方改革や従業員の満足度向上につながる

社内DXで次に期待できるのが、働き方改革や従業員の企業に対する満足度の向上です。例えば、社内DXのためのツールを導入し、業務プロセスや環境がオンライン化されていくと、時短勤務やテレワークなどの新しい働き方にもスムーズに対応できるようになります。

社内DXによって業務効率が改善すると、残業や休日出勤などの対応も減りますが、これも大きなメリットの一つです。

また、生産性を向上させることで会社の売上が上がると、従業員の給与にも反映され、従業員の満足度も向上していきます。

人手不足問題の解消につながる

超高齢化社会と言われる日本では、どの業界も人手不足の状態が続いています。今後もこの状態が大幅に改善される可能性は低いと考えられますが、社内DXはそんな人手不足問題に対しても効果を発揮します。

これまで人手不足を解消するには新しい人員を確保するしかなかったため、人手不足で頭を抱えるケースが多くなっていました。社内DXを促進する場合、人手を増やすことで問題を解決するのではなく、作業効率を向上させることで人手が足りない状態を解決・解消していきます。

業務効率が向上すれば、新しい人員を確保する必要がなくなるので、人手不足に悩まされることもなくなります。

BCP(事業継続計画)対策につながる

地震や豪雨などの大規模な自然災害や事故が発生したときでも事業を継続させられる体制を整える取り組みであるBCP(事業継続計画)対策ですが、社内DXはBCP対策にとっても必要不可欠な取り組みです。

新型コロナウイルスによる企業活動への影響も記憶に新しいですが、社内DXを進めることで場所に縛られずに働ける環境を整えることで、不測の事態にも適切に対応できるようになります。

事業の継続は取引先との関係性にも大きく影響しますが、社内DXによって外的要因の影響を受けづらい環境を構築することができれば、取引先とも良好な関係を続けられるようになるでしょう。

社内DXの進め方

社内DXをスムーズに進めるためには、具体的な進め方や取り組みの流れを把握しておくことが必要です。以下では、社内DXを進めていく上での5つのステップを解説していきます。

1. 企画

社内DXを進めていく上で最も重要になるのが、最初のステップである「企画」です。このステップでは、以下のような対応を行っていきます。

  • 社内DXの目的
  • 改善点の洗い出し
  • 対象業務や対象範囲の洗い出し
  • 対象業務の優先順位付け

これらが明確になっていないと社内DXを正しく進めることができず、失敗する可能性が高くなるので、丁寧かつ正確に進めるようにしましょう。

2. 組織体制の構築

企画が完了し、社内DXを進めるための道筋が決まったら、取り組みを進めるための組織体制を構築していきます。

社内DXは全社的に進めていく大規模な取り組みですが、スムーズに進めていくためには舵取り役となるチームの存在が必須です。

DXを推進するには、

  • プロジェクトマネージャー
  • デザイナー
  • エンジニアリングマネージャー/アーキテクト
  • データサイエンティスト
  • 先端技術エンジニア
  • UI/UXデザイナー
  • エンジニア/プログラマ

などの人材が必要になるので、不足している場合は採用も検討するようにしましょう。

また、社内DXの推進を担う人材の育成も重要になるため、育成するための体制の構築も同時に進めるようにしましょう。

3. 業務プロセスのデジタル化

体制が整ったら、いよいよ社内DXの取り組みを本格的に進めていきます。

まず行うのが、業務プロセスのデジタル化です。既存の業務でデジタル化できるものがあればどんどんデジタル化を進め、効率的に業務を進めていけるようにしましょう。

DXへの取り組みへの需要が高まってきていることもあり、近年業務プロセスのデジタル化に活用できるツールが非常に充実してきています。DXにつながるツールを積極的に活用することが重要です。

4. 業務環境のオンライン化・クラウド化

社内DXによる働き方改革には、労働環境のオンライン化・クラウド化が欠かせません。

テレワークを実現するためのツールの導入や、業務に必要なファイルやマニュアルに時間や場所を選ばずにアクセスできる環境を整えるなど、業務環境をオンライン化していきましょう。

業務環境のオンライン化に活用できるツールも非常に充実しているので、それらを積極的に活用するようにしてください。

5. 定期的な結果の分析・改善

社内DXを成功させる上で重要になるのが、結果の分析と改善、新しい施策のサイクルです。どれだけ優れた企業であっても、すぐに社内DXを遂行することはできません。

分析と改善、新しい施策の実施というサイクルを回し続けることで精度が高まり、より効果が出やすくなるので、このサイクルを回しながら社内DXへの取り組みを洗練させていくことが大切です。

社内DXを進めるにあたっての課題

良い影響を与え、企業が抱える問題解決にも一役買ってくれる社内DXですが、進めるにあたっての課題もあります。

これらの課題は社内DXの取り組みを阻害したり、停滞させてしまったりする可能性があるため、把握と対策も考えておくことが重要です。

以下では、社内DXを進めるにあたって注意するべき3つの課題について解説していきます。

コストの試算と予算確保

ツールの導入や人材の確保にはそれなりのコストがかかりますが、この点は社内DXを進めていく上での課題の一つです。

社内DXを進めるためにはツールの導入が必要不可欠です。また、人材が足りていない場合は新しく採用しなくてはいけません。

予算不足などで計画を頓挫させないためにも、企画の段階でどれくらいのコストがかかるのか試算し、予算を確保しておくようにしましょう。

人材不足

社内DXを進めるには、DXに明るい人材が必要不可欠です。

社内DXは正しい方法で進めないと失敗するため、最低でもプロジェクトマネージャーなど重要なポジションにはDXのことを理解している人材を配置する必要があります。

ただ、DXに明るい人材はどこの業界からも引く手あまたな状態が続いているため、獲得にはかなりの時間がかかります。

既存の従業員の中からの登用が難しい場合は、なるべく早いタイミングで募集を行い、取り組みをスムーズに進められる体制を整えておくようにしましょう。

DXに対する理解不足

社内DXに失敗する要因として、経営層のDXに対する理解が不足している場合もあります。社内DXの重要性や難しさを理解していないため、少ない予算や少ない人員で取り組みを進めるように指示し、その結果失敗してしまうわけです。

また現場との認識の乖離も、社内DXが失敗する大きな要素の一つです。社内DXは既存の業務のあり方ややり方を大きく変える取り組みであるため、一時的に業務時間や対応時間が増えてしまう可能性があります。そのため、現場の不満が爆発し、取り組みを断念せざるを得ない状況になることも少なくありません。

このような状況を避けるには、社内DXの重要性や得られる効果をしっかりと説明し、理解してもらった上で取り組みを進める必要があります。

まとめ

本記事では、社内DXの進め方を5つのステップで解説してきました。社内DXは企業にさまざまなメリットをもたらしてくれる魅力的な取り組みです。また、今後の時代の流れを考慮すると、優先度の高い取り組みともいえるでしょう。

ただ、社内DXにはさまざまな課題がありますし、正しい進め方で進めなくてはいけません。今回紹介した内容を参考に、必要な準備を進め、適切な進め方で取り組みを進めていくことをおすすめします。