最近よく耳にするようになった働き方改革、特に詳しく内容を知らなくても、聞いたことはある方は多いのではないでしょうか。
しかし、「正確な意味はわからない」「そもそも働き方改革って何?」という方もいるはずです。
働き方改革とは簡単に説明すると職場をより良くしようという働きかけのことです。一方、業務改善とは、業務の効率を向上させるために、プロセスや手順を見直す取り組みです。本記事では、働き方改革、業務改革とはそもそも何なのか、その違いについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
働き方改革と業務改善の違い
まずは働き方改革とは何かという基礎知識や、業務改善との違いについて詳しく解説していきたいと思います。
働き方改革とは
働き方改革は、働く人がより働きやすい環境を作ることを目指す取り組みのことです。例えば、長時間労働の見直しや有給休暇の取得、在宅ワークやフレックスタイム制の導入など、さまざまな施策があります。
この改革の目的は、会社が従業員の働き方を見直し、働きやすさを実現することです。例えば、育児や介護などの事情があっても働きやすくすることで、従業員のモチベーションを高め、仕事と私生活の両立を目指します。
業務改善とは
業務改善とは仕事のやり方を見直し、効率的にできるようにすることです。
例えば、時間がかかる作業を短くしたり、ムダを減らしたりすることを指します。これにより、仕事が早く終わったり、ミスが減り、仕事を効率的に行うことができます。
業務改善を導入した主な目的には、以下があげられます。
- 生産性の向上
- コストの削減
- 品質の向上
それぞれ詳しく解説します。
生産性の向上
業務改善の主な目的の一つは、生産性を向上させることです。ここで重要なのが3M(ムダ・ムリ・ムラ)の排除です。
業務の中のムダな作業をなくし、無理のない業務を行うことで、効率よく作業を進めることができます。3Mを見直すことで、生産性をより高めることが可能になりました。
コスト削減
コスト削減も業務改善の一部です。業務の無駄を減らし、効率よく作業を進めることで、コストを削減することができます。必要のない作業を減らしたり、印刷用紙など資源の使い方を見直すことで、経費を抑えることができます。
例えば、仕事を効率化するためにソフトを導入したり、ツールを使用することで、手作業の時間を減らし、人件費や材料費のコストを下げるなどがあげられます。
質の向上
業務改善を通じて、業務の品質を向上させることも働き方改革のねらいのひとつです。主な案として業務のマニュアル化などがあげられます。
日頃の業務をマニュアル化することで以下のようなメリットがあります。
- 業務を効率化できる
- 引き継ぎがスムーズになる
- 個人による仕事のムラを防げる
ムラのない業務をすることができるため、ミスの削減や安定した業務が可能になります。その結果、顧客満足度の向上や、企業の信頼性の向上にもつなげることが可能です。
働き方改革と業務改善の違い
働き方改革と業務改善は、どちらも働き手がより良く働けるようにするための取り組みですが、目的に違いがあります。主な違いを以下の表にまとめました。
項目 | 働き方改革 | 業務改善 |
---|---|---|
目的 | 働く人の環境を良くすること | 仕事のやり方、効率を良くすること |
対象 | 労働環境、労働時間、働き方など | 業務プロセス、業務手順、IT活用など |
効果 | 従業員のモチベーション向上、離職率低下、ワークライフバランスの実現 | 生産性向上、コスト削減、品質向上 |
具体例 | テレワーク導入、フレックスタイム制導入、有給休暇取得促進 | 業務マニュアル作成、ITツール導入、RPA導入 |
働き方改革は、主に労働環境や労働時間の短縮や働き方など、「働く人の環境を良くすること」を目的としており、従業員のモチベーションをあげ、働きやすい環境を作り出すことをいいます。一方、業務改善は、仕事のやり方を見直し、効率化や無駄業務の削減を行うことです。
具体的には、業務の効率化やITの導入などを通じて、「仕事のやり方を良くすること」を目的としています。業務の効率を高め、従業員の負担を減らすことで、企業全体の生産性の向上を目指せます。
働き方改革は「環境を良くすること」、業務改善は「仕事のやり方、効率を良くすること」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
働き方改革が導入された理由
続いて、働き方改革が導入された理由を解説します。主な理由として、以下のような背景があげられます。
- 長時間労働の見直し
- 労働力不足
長時間の労働
今まで法律上は、どれだけ働いても残業時間の上限がありませんでした。そのため、労働による睡眠不足やストレスが増加し、健康に悪影響を与えるケースが発生していました。こうした背景から、長時間労働改善への声があがるようになり、具体的な見直しが必要とされました。その後、厚生労働省は下記のように見直しの内容を発表をしています。
労働力不足
働き方改革が実施された理由のひとつに労働力不足があげられます。現在日本は少子高齢化が進んでおり、働く人は日々現象傾向にあります。
これにより働き手が不足し、業務がまわらなくなったり、在籍している従業員に負担がかかる状況が発生しています。こうした背景から労働力不足を改善するため、労働環境を見直すことが必要とされてきました。
このような状況を受け、働き方改革では柔軟な働き方をすることで、労働力不足を補う取り組みが行われています。
例えば、在宅ワークやフレックスタイム制度の導入、短時間労働制度の導入など、働き手の働きやすい環境を整えることで、育児や介護などの理由で働くことが難しかった人も働きやすくなりました。
働き方改革は、さまざまな働き方をすることで労働力不足を補い、より多くの人が働きやすい社会を目指す取り組みです。
働き方改革のメリット
働き方改革には、働く人や企業にとってさまざまなメリットがあります。その中からデジタルトランスフォーメーションの推進と、離職率の低下について紹介します。
離職率の低下
働き方改革により、働く環境が働きやすくなることで、労働に対するストレスが減少し、離職率は下がります。
例えば、有給休暇の取得がしやすくなったり、福利厚生がしっかりしていたり、在宅勤務やフレックスタイムが導入されることで、従業員は自分に合わせた働き方が可能になります。
従業員が無理なく働くことができるため、会社に対しての不満が減少し、結果として離職率が低下します。企業にとっても、新たな人材確保や育成のコスト削減につながるメリットがあります。
働き方改革の具体例
次に、働き方改革が実際の職場でどのように取り組まれているか、具体的な例を2つ解説します。
在宅ワークの導入
在宅ワークは、会社に出社せず、自宅で仕事をする働き方です。通勤時間がなくなり、働く時間を調整することができるため、仕事と私生活のバランスが取りやすくなります。近年では、新型コロナウイルスの感染対策として在宅ワークを推奨したことで、導入する企業が増加しました。
フレックスタイム制度の活用
フレックスタイム制度とは、仕事の始業と終業の時間を自分で決めることができる働き方です。必ず勤務していなければいけない時以外は、勤務時間を自由に調整することができるため、従業員の自由度が増し、モチベーションをあげることにもつながります。
働き方改革と業務改善の今後の課題は効率化
働き方改革や業務改善には多くのメリットがありますが、今後も解決すべき課題が残されています。その一つが業務効率化です。
業務効率化は、より少ない労力で、限られた時間を活用し、成果を上げることを目指す取り組みのことです。今後の課題として、業務の無駄を徹底的に排除し、3M(ムダ・ムリ・ムラ)の見直しを継続的に行うことが大切です。
また、近年は教育現場で教師の働き方改革の一環として、ChatGPTのようなAI技術を活用する動きがみられます。日課表をAIに読み込ませ、どのように過ごすと効率が良いのかを提案してもらうというシステムです。
例えば、放課後の時間の使い方や、帰りの会の開始時間や所要時間の提案をAIが行います。これにより、学校での無駄な時間を減らし、効率的に業務を行うことができます。しかし、効率化を進める中で、教師の満足度や仕事の質を保つことも大切です。業務効率化は、バランスよく進めることが今後の課題となります。
まとめ
働き方改革と業務改善について紹介してきました。ひとことで働き方改革といっても方法は企業によってさまざまですが、働き手がより良く働ける環境を目指しています。
働き方改革とは、簡単に言うと「働く人の環境をより良くするための取り組み」であり、在宅ワークや、フレックスタイム制度など自分に合った働き方を選べるようにする取り組みです。
業務改善は、無駄な手順を省いたり、ツールを使って作業を簡単にすることで、時間やコストを節約しつつ「仕事のやり方を見直し、効率を上げること」を目的としています。どちらも、働きやすい職場づくりのために欠かせない取り組みです。今後も働き方改革や業務改善が進んでいき、今より働きやすい環境が広がっていくことでしょう。