【AWSマネージドサービスとは?】特徴・利用メリットなどを解説

現在はオンプレミスのシステムを運用していて、今後クラウド利用のシステムへの移行を考えていたり、すでにクラウドのシステム運用に移行をした方には、クラウドサーバーを利用しての「運用」について、検討したり悩んだりした方も多いのではないでしょうか。ここではAWSの「マネージドサービス」を中心に、クラウドサーバーを利用時における「管理」について詳しく解説していきます。

「マネージドクラウド」と「マネージドサービス」の違い

マネージドクラウドとマネージドサービスの違い

「マネージドサービス」と同じように使われる言葉で、「マネージドクラウド」という言葉があり、混同されがちです。では、マネージドクラウドとマネージドサービスとはどのように違うのでしょうか。

実は、マネージドサービスもマネージドクラウドもそれほど変わりはありません。一般的なマネージドクラウドというサービスのことをマネージドサービスと呼んでいて、AWSの場合では、マネージドクラウドのことを「マネージドサービス」というサービス名称として固有名詞をつけています。

結論としては、マネージドクラウド=マネージドサービスであって、クラウドを管理するためのマネジメントサービスの一つです。しかし、AWSを含む、他の企業が提供しているマネージドクラウド・マネージドサービスには違いがあるので、その違いが企業の特性サービスとして反映されていたりします。

マネージドサービスの需要が増加している理由

マネージドサービスの需要が増えてきていますが、なぜ普及が広がっているのでしょうか。需要が増えている理由や重要性について2つにまとめたので解説します。

①オンプレミスとクラウドの違い

システムを開発したり構築するときには、どのように構築するか決める必要があります。一般的にオンプレミス」で構築するのか「クラウド」で構築するかどうかです。

「オンプレミス」とは、自社内にサーバーを設置して、自社サーバーでシステム運用管理を行うことを意味し、カスタマイズ性が優れているため、メリットとして自社の作りたいシステム構築に制限がないことが挙げられます。

「クラウド」は、クラウド運用会社が提供しているサーバーを借りてクラウド上のサーバーを利用してシステム構築を行います。特徴としてはコストが安く済みますが、カスタマイズの部分では制限があります。ただし、災害やトラブルが起きたとき場合では、クラウドの方が復旧などが早いというメリットがあります。

②マネージドサービスの利用がクラウドシステムには不可欠

オンプレミスの場合では、自社でサーバーの管理を行い、自社の権限のもと自社が責任もってサーバー運用を行います。クラウドの場合ではユーザーに代わってサーバー管理が必要となるので、それがマネージドサービスです。

オンプレミスの場合とは違って、マネージドサービスはクラウド上のサーバーを管理するものなので、クラウドを利用している場合に必要不可欠なサービスなのです。

マネージドサービスを利用した場合のメリットとは

マネージドサービスを利用した場合のメリットとは

それでは次に、マネージドサービスを利用した場合に生じるメリットについて紹介します。大切なことなのでしっかりと確認しておきましょう。

①システム運用に関する負担が軽減する

マネージドサービスを利用するうえでもっとも大きいメリットといえば、「システム運用に関する負担軽減」が挙げられます

サーバーの管理やシステム運用の管理などといった通常業務とは違う管理を行うことによって、会社のコア業務とは別の部分で業務が分散させてしまうことになってしまい、コア業務ではないところの負荷が増してしまいます。特に、中小企業の場合ではシステム運用などを兼務している担当者が多く負担も担っているため、コア業務とは別のところでの負担が軽減できれば、負担の多かった担当者にとっても会社にとっても負担軽減の効果が期待できます。

マネージドサービスを利用しサーバーの管理負担が軽減されることで、セキュリティやバックアップ、監視機能などさまざまな点でシステム運営が楽になるでしょう。

②サービス向上やユーザー満足度向上に集中できる

これまで説明してきたように、コア業務とは別のところで負担が軽減されるため、サービス向上やユーザー満足度を向上するための業務などに集中する余力が生じます。ノンコア業務による負担が大きくなると、コア業務に対するリソースが不足する事態が生じたり、競争力が低下するなどと本来やらなければいけないコア業務がおろそかになってしまうことがあります。「リソース不足だから仕方がない」「ほかにやらなければならないことだ」とコア業務をおろそかにしてしまうと、会社全体の売上や利益にも悪い影響を与えたり、そこからスタッフの意識低下にも繋がる恐れもあるため、ノンコア業務への負担を軽減することはとても重要なことだと考えられます。

マネージドサービスを利用した場合のデメリットとは

マネージドサービスを利用した場合のデメリットとは

マネージドサービスを利用する上でのメリットについていろいろと紹介してきましたが、デメリットについても確認しておきましょう。

①コントロールできる範囲が狭まる可能性がある

自社で運用するサーバーとは異なって、マネージドサービスはクラウド上でサーバー提供会社に管理してもらうことがメリットでもありますが、運用管理してもらう利点がある反面、コントロールできる範囲が狭まるというデメリットも考えられます。オンプレミスで自社サーバーを利用してシステム構築する場合では、自社ですべてのコントロールを行うことができるため、手間をデメリットに感じることもありますが、自社でじぶんたちの希望通りにさまざまなカスタマイズができることがオンプレミスのメリットです。

そうすると、クラウドサーバーを利用してマネージドサービスを利用した場合、管理を自社で行わないため、手間がかからないメリットがある代わりに、コントロールできる部分が制限されるのでそちらにデメリットを感じる方もいるでしょう。

②自社の専門技術の向上意識の低下からプロパイダーへの依存度が高まる

マネージドサービスを利用することによって、サーバー提供会社への依存度が高まるということもデメリットとして挙げられます。例えば、サーバーを乗り換えたとすると、これまでの運用管理体制とは異なる可能性があるため、乗り換えすることに抵抗を感じるかもしれないので、自社スタッフの知識や技術向上の意識低下を生むことも考えられます。

マネージドサービスでシステム運用管理を他社に任せることで負担を軽減できるメリットがある一方で、プロバイダーにたいして依存してしまいすぎないように注意することが必要です。

クラウドサーバー提供大手『AWS』によるマネージドサービスの特徴

クラウドサーバー提供大手『AWS』によるマネージドサービスの特徴

これまでマネージドサービスそのものについて説明してきましたが、マネージドサービスというものがどのようなものであるかご理解いただけましたか?それでは、次に、クラウドサーバー提供大手である『AWS』のマネージドサービスについて紹介します。

特徴を大きくわけて8つにまとめたので、ひとつずつ解説していきます。

①クラウドへの移行促進

オンプレミスからクラウドへ移行する場合には、まずクラウド移行へのワークロードを作成して、自社のサービスやシステム運用の移行が失敗しないように準備しておくことが大切です。クラウドサーバー提供大手であるAWSのサービスでは、ワークロードのクラウド移行を支援しています。AWSが持つ実績や経験からサポートしてくれるため、スムーズにクラウド移行ができるでしょう。

②ITIL準拠の運用プロセスやフローを実現

AWSのマネージドサービスを利用することによって、AWSが持つ豊富な経験から支援が受けられるので、ITILなどの国際標準規格に準拠した運用プロセスやフローを実現することができることが特徴だといえるでしょう。さらに、クラウドへの移行するだけではなく、ITILなどに準拠した運用プロセスによってシステム運用できるというメリットもあることも特徴のひとつです。

③セキュリティ対応

AWSマネージドサービスを利用することによって、強固なセキュリティを実現できることも特徴のひとつです。AWSが提供するマネージドサービスは、セキュリティの部分を最優先事項としているので、強固なセキュリティ環境が構築されており、マルウェア対策などが徹底しているので、セキュリティ対応がとても充実しています。

④情報の整理

AWSのマネージドサービスでは、情報の整理ができる特徴があります。
サーバーの運用管理を行うために必要となる基本的なインスタンス情報などを整理することによって管理ができるので、情報をブラックボックス化するのを防止できます。

⑤変更申請が容易

コンソールから簡単に運用に関することなどの変更申請が実行できるので、変更申請が容易なことも特徴の一つです。

⑥監視機能がある

設定ルールのチェックやアーキテクチャの評価やリスク防止などのさまざまなところに監視機能があるので、24時間365日モニタリングしてくれる点も特徴として挙げられます。

⑦バックアップが自動的に行われる

システム運用に欠かせないバックアップについてですが、それらが自動的に行われることも重要なポイントです。ユーザー側でバックアップのタイミングを設定しておくことによって、ユーザーの望むタイミングで自動的にバックアップを取ってくれます。

⑧レポーティング機能がある

最後に紹介する特徴として、レポーティング機能があります。システム運用していくなかで必要となるAWSのログへアクセスしたり、毎月のパフォーマンスなどをサマリーで確認することが可能となっています。

AWSマネージドサービスを利用するうえでの注意点

AWSマネージドサービスを利用するうえでの注意点

AWSの特徴などを紹介してきましたが、最後に、AWSマネージドサービスを利用する上での注意点についても確認していきましょう。

①オートスケーリング管理に依存しない

AWSマネージドサービスには「オートスケーリング管理」という機能があります。これは、サーバーの増設を自動的に実行するというものですが、オートスケーリングに任せきりにしてしまうと、意図しない不要なサーバー増設が行われる可能性もあるので、オートスケーリング管理の依存には気を付けましょう。

②オペレーションミスに注意

これまで紹介したように、変更などの作業をコンソール画面で簡単に行うことができるので、ヒューマンエラーであるオペレーションミスが起きないように注意することが大切です。

③コスト管理を行う

AWSのサポートで、自社システム運用における最適なプランを提供してもらえますが、その内容を自社でも確認し把握することで、必要最低限なコストでの運用ができるように心がけることが重要です。

④社内の技術向上がおろそかにならないように気を付ける

マネージドサービスを利用することによって、サービス提供会社に依存しすぎてしまうデメリットが考えられます。そのため、自社での技術向上がおろそかにならないように気をつけましょう。勉強会など技術向上できる仕組みや体制を考え、勉強会を開催するなども工夫が必要です。

まとめ

今回は、AWSのマネージドサービスについてや、マネージドサービスとはどのようなものか、どのようなメリットがあるのかなどを解説しましたが、いかがでしたか。クラウド移行を検討されているならば、AWSのマネージドサービス利用も考えてみてはいかがでしょうか。

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