【業務フローの書き方】業務フローを書く為に必要な図形(記号)とは?

業務フローを書くことに慣れていない方は、作業図形の使い方に迷ったり、なんとなく配置したりしているのではないでしょうか。しかし、しっかりとした方針を持たずに業務フローの作成をしてしまうと、作成する人によってすごく粒度の粗い(図形が少ない)業務フローになってしまったり、逆に粒度が細かすぎる(図形が多すぎる)業務フローになってしまいます。

今回は、一般的な業務フローにおける作業図形の粒度の揃え方について解説します。

業務フローチャートを書く前に押さえておきたいポイント

【ポイント①】業務フローの目的を考える

業務フローを作成する目的は、目に見えづらい仕事の流れを見える形にし仕事の流れを関係者間で認知し共有できるようにすることです。その為には、「誰が」「いつ、何をきっかけに」「どんな作業を」「どういう場合に」行っているかを十分にかつ簡潔に書き表していることが求められます。これら4つの要素は業務というものを把握する上で最も必要なものであり、業務フローのどんな活用シーンにおいても外すことはできません。

【ポイント②】「誰が」は部門(スイムレーン)で表現する

4つの要素の一つ「誰が」は、部門(スイムレーン)を使って表現します。階層表現も用いながら、会社、部門、チーム、役職など明確にし、職務分掌を視覚的に表現します。

【ポイント③】必要な図形(記号)を絞り込む

4つの要素の内、「いつ、何をきっかけに」「どんな作業を」「どういう場合に」は、図形を用いて表現します。
言い換えれば、業務フローを書く為に必要な図形は、最低でも3種類あれば良いことになります。

業務フローを書く為に何種類の図形があれば良いのか?業務フローの目的を考慮した上で考えてみましょう。

【1】3つの基本図形

業務の流れを表現するだけであれば、3つの図形に絞っても業務フローチャートを書くことができます。では、その3つの図形について具体的に解説します。

4つの要素の内、「いつ、何をきっかけに」「どんな作業を」「どういう場合に」は、図形を用いて表現します。

言い換えれば、業務フローを書く為に必要な図形は、最低でも3種類あれば良いことになります。

業務フローを書く為に何種類の図形があれば良いのか?業務フローの目的を考慮した上で考えてみましょう。

■開始(終了)図形

プロセスの開始と終了を表します。「端子」とも呼ばれています。

この業務フローから社内の業務が始まる場合に、フローの始まりに配置する図形です。図形には、業務を始めるきっかけ(トリガー)となるものを記述します。
媒体(システム、帳票等、その作業で使用するモノや手段)が同じなら、1つの作業図形にまとめます。

 

■プロセス・処理図形(記号)

フローチャート作成で最もよく使われる記号で、一般的な処理、フローチャートの一つのステップを表現します。下記のような、さまざまな作業、手続きを表す図形として配置する図形です。図形には、作業の内容を簡潔に記述します。

■判断図形(記号)

一般に「Yes/No」あるいは「真/偽」が答えとなる判断を表します。

ひとつの図形から2つの矢印が出て行くことになり、下の頂点と右(または左)の頂点から発するのが一般的です。一方が「Yes」または「真」、もう一方が「No」または「偽」に対応する。そのため常にラベルを添えて意味を示す必要があります。

判断の選択肢が3つ以上の場合,複数個の「判断」で詳細化することができます。

【2】必要に応じて追加すべき図形(記号)

■接続・オフページ結合子・ページ外結合子図形(記号)

長いフローチャートなど、後工程の作業をページを跨いで記載しなければならない場合に使用します。参照しやすいよう、記号内にページ番号をふります。複雑度の高いフローチャートでしばしば用いられます。

この業務の前工程や後工程など別業務へ業務フローが繋がる場合にその接続点に配置する図形です。図形には、繋がる先の業務フローを記述します。業務フローを一意に識別できるID(番号やコード)と業務名を記述します。

工程が長く、複数のフローチャートを行き来する場合や、印刷の際に複数ページにわたる場合はこの図形を使うことをおすすめします。

■サブプロセス・既定義のプロセス・定義済み処理・サブルーチン図形(記号)

一部の処理を別の業務フロー図に分けて作成する場合に使用。全ての業務を1枚にまとめると長くなるので,この記号で分けて記載します。

使用頻度が高い処理、認知度が高い処理などに用いられます。

【3】その他様々な図形(記号)

上記の図形以外にも業務フロー作成の目的に応じて様々な図形を追加する場合があります。

■保存・保管図形(記号)

帳票などを保管する場合に使用します。記号内に保管場所や保管単位などの情報を記入しておくと便利です。

■手動インプット・手操作入力・手動入力図形(記号)

業務手順に対するキーボードやデバイス経由のデータの手動入力など、手で操作して入力するあらゆる媒体上のデータを表します。

■システム・磁気ディスク・データベース図形(記号)

処理の情報がデータとして保存されることを表します。一般にユーザーによる検索やフィルタリングが可能なものを示します。

業務上使用しているシステムへの入力や出力(CSV形式でファイル出力したり、別システムへデータ書き込み)を表す場合に用いられます。使用するシステムが複数ある場合は、わかりやすいようにシステム名称も記載します。

また、ストレージサービスに格納されたデータに対して、一般にユーザーによる検索やフィルタリングが可能なものを示す場合もあります。

■磁気テープ・順次アクセス図形(記号)

順次アクセスだけ可能なデータを表します。
磁気テープとはこのようなものです→
(参考:
http://crimson-systems.com/flowchart/dvc04.htm

 

■内部ストレージ・内部記憶図形(記号)

 ソフトウェア設計のマッピング(対応付け)にしばしば用いられ、内部メモリに格納されたデータを示します。

【まとめ】良い業務フローを作成する為に

■図形(記号)の種類を増やし過ぎない

出来る限り図形の種類を増やさないことが望ましいです。業務フローの書き手は、様々な図形を用いてより正確に業務を表現しようとしがちですが、図形の種類が増えるほど業務フローの読み手には書き手の意図は伝わりにくくなります。

使用図形の凡例を予め用意して図形の意図を明確にすれば、業務フローの書き手と読み手の認識のズレを解消することができますが、可読性・視認性の観点から使用する図形の種類は少ないほうが分かりやすい業務フローになるのは間違いありません。

■図形(記号)の形が重要なのではなく、業務を説明する要素が業務フロー上にきちんと表現されることが重要

図形の形は本質的にはあまり重要ではありません。使用する図形に対してどういう要素を持たせるかが重要です。そして、図形に持たせる要素として絶対に外してはならないのが「いつ、何をきっかけに」「どんな作業を」「どういう場合に」の3つの要素です。これらの要素を書き漏らさないために、開始・終了図形、作業図形、分岐図形の3つは最低限必要な図形となります。

これから業務フローを作成される方は、今回紹介した「部門」と「3つの図形」(そしてこれらが持つ要素)を意識して書かれることをおすすめします。

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