なぜ今、デジタルトランスフォーメーション(DX)が求められているのか?

デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)は、最新のテクノロジーを用いて、企業に変革をもたらしてくれる存在です。では、今なぜDXが必要で、なぜDXが求められているのか、DXとは一体何で、世の中にどうインパクトを与えるのでしょうか?

DXは経営に大きなインパクトを与えます。今回は、DXが求められている理由についてフォーカスしていきます。

なぜ、DXが必要とされているのでしょうか。それは、そもそも企業のIT化が進みすぎて、効率化や合理化が限界まで進んだものの、それでも日本は生産性の低さが課題としてあげられるからです。

日本の労働生産性の低さは、非常に深刻です。日本生産性本部の定義によりますと、

生産性 = 産出(output)/ 投入(input)

で導き出せます。

(参照:日本生産性本部 生産性の定義より https://www.jpc-net.jp/movement/productivity.html)

つまり、アウトプットをインプットで割ったものを、生産性と定義づけられ、どれだけ効率よく生み出せたか、という指標です。単純にたくさんアウトプットすれば良いというものでもないことがわかります。なぜなら、大量にアウトプットするために大量にインプットしていては、それは単なる大量生産であって、また別の価値軸だからです。

生産性が高いと言うことは、インプットに対して有効な利用度が高いと言うことでもあります。身の回りでも「1言えば10返ってくる人」が稀にいるように、著しく生産性の高い仕事現場というのは存在します。しかし、日本全体でみてみると、インプットあたりのアウトプットが非常に低いのです。

これは、いくつかの原因が考えられます。

まず、アウトプットそのものが少ない場合は、生産性は下がりますが、これは日本人は非常によく働くとされているので、アウトプットのボリュームが少ないと言うことは考えづらいです。

そして、次に考えられるのが、インプットがあまりに大きすぎるという点です。これは従来、見落とされてきた部分であり、労働量の投下が多すぎるという欠点が日本にはありました。つまり、長時間残業、有給の未消化や利用しづらい雰囲気、生活残業や、先輩が帰るまで自分は帰宅できないという職場の見えないルールなども、労働量の投入つまりインプットを大きく引き上げ、生産性の低さを招いていました。

DX導入途上に起きた世の中の変化

しかし、その労働生産性の低さは、DXの導入と同じぐらいのインパクトがある社会的課題によって、一気に改善したことは記憶に新しいと思います。その社会的課題とは、2019年の終わりに発生した、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の蔓延です。

コロナの蔓延でソーシャルディスタンスが当たり前となり、人と人が距離を保って行動する世の中になりました。さらに、コロナが大きく日本の働き方を変えたのが、「リモートワーク」「テレワーク」の導入です。

テレワークは、

  • 残業という概念の廃止
  • 長時間通勤の廃止
  • Web会議導入による長時間会議の廃止
  • 働いた時間ではなく、成果主義の導入

という形に仕事を変えました。一見すると、テレワークでは通勤がなくなるだけで、オフィス勤務と比較して良し悪しだと思えるかもしれませんが、実は大きな違いがあります。長時間の通勤がなくなるのですが、その実態は大きな構造改革が起きます。

たとえば、Web会議なら、画面で会議するので、上座下座の概念がなくなります。それによって、これまで実際の会議でなんとなく座り、重鎮感を出していた人の居場所がなくなるのです。みんなが価値を出して発言していかないと会議がもたなくなりますので、誰が意見をいって、誰が意見をいっていないのかがWeb会議によって一目瞭然となります。

そして、評価軸も変化していきます。

労働時間と休憩時間が、テレワークでは見えなくなります。労務管理が個々人に任され、従来なら暗黙知で職場に存在した労働時間に関する不文律がなくなってしまいます。そこで、“仕事の結果”や“働いた分の成果”で判断せざるを得なくなるのです。

つまり、成果主義に変わります。このように、テレワークは本当の意味での成果主義を、(半ば強引に)職場に導入します。この変革には抵抗のある人も多く、従来はテレワークがまったく進んでいなかったのですが、ソーシャルディスタンスを強制的に取る社会へと変化したことで、テレワークが浸透しました。その結果、この大きな改革が半ば強制的に進んだのです。

DXが進むと世の中はどう変わる?

DXが進むと世の中はどう変わる?

そして、テレワークを支える技術もDXが大きく関与しています。DXは、5G、クラウド、IoT、ソーシャルメディア、人工知能(AI)の技術によって支えられた改革ですが、テレワークに大きく関係してくるのが、5G、クラウドではないでしょうか。

まず、5Gは、自宅でもどこでも仕事ができるようになるのに欠かせないインフラです。5G回線があることで、より新しいサービスも増えますし、そこまでいかなくとも、仕事をする際に、4Gで「ギガ」を気にしながら働くのは非生産的です。それが5Gになれば、仕事の幅も広がります。

さらに、クラウドに関しては、今や欠かせないのではないでしょうか。クラウドサービスのはしりであったgmailから、経費精算のクラウドサービス、Web会議のクラウドサービスにいたるまで、ありとあらゆるサービスがSaaS(クラウド型)になっています。

まとめ:なぜDXが求められているのか

なぜDXが求められているかに関しては、もう時代の必然と言うしかないのではないでしょうか。個別のサービスがITを導入して突き詰められ、それでも生産性向上という課題が残ったときに何ができるか。それはDXによって構造改革で生産性を一気に高め、市場の競争優位を獲得することです。

ITの発達、コロナの問題、そして生産性の向上問題があるからこそ、DXは必要とされます。求められているのは、構造改革という大きな課題です。今、DXが必要です。それは、強制的に導入するものというよりは、時代の要請に応じて、変化が求められていると言うことでもあるのではないでしょうか。