【やりきる業務改革シリーズ④】「システム化ありき」で進めない。現場の困りごとを課題に変える整理の考え方

業務改善を検討する際、現場から出てきた困りごとに対して、すぐに「システムを入れればよい」「ツールで自動化すればよい」といった解決策に飛んでしまうことがあります。
もちろん、システム化や自動化は有効な解決手段になることがあります。しかし、問題の整理が不十分なまま手段を決めてしまうと、本来解決すべき課題が曖昧になり、改善の方向性がずれてしまう可能性があります。
業務改革では、現場で起きている問題を洗い出し、それを事象と要因に分けて整理し、あるべき姿とのギャップから課題を設定していくことが重要です。手段を考えるのは、その後です。
本コラムでは、「システム化ありき」で進めないために、現場の困りごとを改善すべき課題へ変える考え方について解説します。
1. 現場の困りごとから、すぐに手段を考えない
現場ヒアリングを行うと、「この作業に時間がかかっている」「確認作業が多い」「担当者によってやり方が違う」「システムに入力し直している」といった困りごとが出てきます。
こうした声は、業務改善を進めるうえで非常に重要です。ただし、困りごとを聞いた直後に、すぐ「システム化しよう」「自動化しよう」と解決策に飛んでしまうと、問題の本質を見落とすことがあります。
たとえば、入力作業に時間がかかっている場合でも、その原因はシステムの機能不足とは限りません。入力前の情報が不足している、確認ルールが曖昧になっている、部門間で必要な情報が整理されていない、といった要因があるかもしれません。
そのため、まずは現場で何が起きているのかを整理することが必要です。困りごとは重要な出発点ですが、それをそのまま施策に変えるのではなく、問題として捉え直すことが大切です。

2. 問題は「事象」と「要因」に分けて整理する
問題を整理する際には、「事象」と「要因」を分けて考えることが重要です。
事象とは、現場で実際に起きていることです。たとえば、手戻りが多い、確認作業が重複している、ミスが発生している、担当者によって手順が違う、といった内容です。
一方で、要因とは、その事象がなぜ起きているのかを説明するものです。情報の受け渡しが不十分なのか、判断基準が曖昧なのか、システム間の連携ができていないのか、業務ルールが現場に浸透していないのか。事象の背景にある要因を確認することで、改善すべきポイントが見えやすくなります。
事象と要因を分けずに整理すると、表面的な対策に偏ってしまうことがあります。たとえば、「確認作業が多い」という事象に対して、単に確認回数を減らそうとしても、なぜ確認が多くなっているのかを見なければ、別の場所でミスや手戻りが発生する可能性があります。
問題整理では、まず何が起きているのかを事象として捉え、その背景にある要因を確認することが必要です。

3. あるべき姿とのギャップから、課題を設定する
問題事象と要因を整理したら、次に考えるのは「何を解決すべきか」です。
ここで重要になるのが、あるべき姿とのギャップです。現状で何が起きているのかを整理するだけでは、課題は明確になりません。本来どうあるべきか、どのような状態を目指すのかを考えることで、現状とのギャップが見えてきます。
たとえば、現状では担当者によって処理方法が異なっているとします。あるべき姿が「誰が担当しても一定の品質で処理できる状態」であれば、課題は単に「システムを入れること」ではなく、「標準的な処理手順や判断基準を整備すること」かもしれません。
また、現状では承認に時間がかかっている場合、あるべき姿が「必要な確認を行いながら、一定期間内に承認が完了する状態」であれば、課題は承認ルートの見直しや判断基準の明確化になる可能性があります。
課題は、現状とあるべき姿のギャップから設定するものです。ここを整理せずに施策を考えると、改善の方向性が限定されやすくなります。

4. 課題を手段ではなく、目的ベースで考える
課題設定の段階では、手段を課題として置いてしまわないことが重要です。
たとえば、「システム化する」「自動化する」「ツールを導入する」といった表現は、課題ではなく施策に近いものです。もちろん、最終的にそれらが有効な解決策になることはあります。しかし、課題設定の段階で手段に飛んでしまうと、他の解決策を検討する余地が狭くなります。
本来、課題は「何を達成したいのか」「どの状態に変える必要があるのか」という目的ベースで考える必要があります。
たとえば、「入力作業を自動化する」ではなく、「重複入力を減らし、必要な情報を一度で正しく登録できる状態にする」と考えると、システム連携だけでなく、入力項目の見直し、業務ルールの整理、帳票の改善など、複数の施策候補が見えてきます。
課題を目的ベースで整理することで、改善の選択肢が広がります。そのうえで、効果や実現性を踏まえて施策を検討することが重要です。

5. 問題・課題整理シートで、改善すべきテーマを具体化する
業務改善を進めるうえでは、現場の困りごとをそのまま施策に結びつけるのではなく、問題事象、要因、あるべき姿、課題を整理したうえで、施策を検討することが重要です。
この整理ができていないと、「システムを入れれば解決するはず」「ツールで自動化すればよいはず」といった手段先行の検討になりやすくなります。その結果、本来解決すべき問題が残ったまま、別の形で手戻りや非効率が発生することもあります。
課題を整理したうえで、複数の施策候補を検討することで、改善の方向性をより現実的に考えやすくなります。システム化や自動化も、課題に対する施策候補のひとつとして位置づけることで、本当に必要な打ち手かどうかを判断しやすくなります。
そこで、現場の困りごとを改善すべき課題として整理するための「問題・課題整理シート」をご用意しました。
このシートでは、業務箇所、問題事象、要因、分類、あるべき姿、課題、想定施策を整理できます。現場から出てきた声を、改善テーマとして具体化したい場合に活用できます。
システム化や自動化を検討する前に、まずは自社の業務で起きている問題と、その背景にある要因を整理してみてください。
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