【やりきる業務改革シリーズ②】業務フローを書く前に、まず業務全体を見渡す。業務棚卸で可視化対象を整理する方法

業務改革や業務可視化に取り組む際、「まずは業務フローを書いてみよう」と考えるケースは少なくありません。業務の流れを図にすることは、現状を共有し、問題点を見つけるうえで重要な工程です。
しかし、業務全体の構造を整理しないまま詳細な業務フローを作り始めてしまうと、どの業務を対象にすべきかが曖昧になったり、可視化すべき業務範囲や、優先的に確認すべき業務が見えにくくなったりすることがあります。
業務フローは、個別業務の作業手順を見るためのものです。その前に、まず自社や部門の業務がどのような構造になっているのかを把握しておく必要があります。これが、業務棚卸です。
本コラムでは、業務フローを作成する前段階として必要な、業務棚卸の考え方について解説します。
1. 業務フロー作成の前に、まず業務全体を把握する
業務フローを作成する前に大切なのは、いきなり個別業務の詳細に入り込まないことです。
現場の担当者にヒアリングをすると、具体的な作業手順や困りごとは多く出てきます。しかし、それだけを積み上げても、業務全体の中でどの部分を見ているのかが分からなくなることがあります。
たとえば、ある業務の中で手戻りが発生しているとしても、それが前工程の情報不足によるものなのか、部門間の引き継ぎによるものなのか、使用しているシステムの制約によるものなのかは、全体像を見なければ判断しづらい場合があります。
そのため、まずは業務全体を棚卸し、どの業務がどの部門やサービスと関係しているのかを整理することが重要です。全体像を把握したうえで詳細な業務フローを作成することで、可視化の目的や範囲が明確になります。

2. 業務棚卸では、業務の構造を一覧化する
業務棚卸とは、単に業務名を並べることではありません。業務の全体像を見える形にし、どの業務がどの組織やサービスと関係しているのかを整理するための工程です。
業務改革のプロジェクトでは、対象範囲を決めたつもりでも、実際に確認を進めると後から関連する業務がポロポロと出てくることがあります。業務は部門単位で完結しているとは限らず、前後の工程や他部門、システムとつながっているためです。
そのため、業務棚卸では、業務の区切りを意識しながら整理することが大切です。どこからどこまでを一つの業務として扱うのか、どの単位で可視化すれば関係者が理解しやすいのかを考える必要があります。
業務の構造が整理されていると、後続のヒアリングや業務フロー作成でも、どの範囲を詳しく確認すべきかが分かりやすくなります。

3. 業務は目的に合わせた切り口で整理する
業務棚卸を行う際には、どの切り口で業務を整理するかも重要です。
同じ業務でも、サービス別に見るのか、工程別に見るのか、契約種別で見るのか、部門別に見るのかによって、見えてくる構造は変わります。
たとえば、顧客対応の業務を整理する場合、サービス別に整理すれば提供サービスごとの違いが見えやすくなります。工程別に整理すれば、受付、確認、処理、承認、完了といった流れの中で、どこに負荷や手戻りがあるのかを確認しやすくなります。部門別に整理すれば、どの部門がどの業務を担っているのかが見えやすくなります。
重要なのは、最初から唯一の正解を探そうとしないことです。業務改革の目的に合わせて、どの整理軸が適しているかを考える必要があります。
目的に合った切り口で業務を棚卸することで、可視化対象を決める際の判断材料が増え、関係者との認識合わせもしやすくなります。

4. 棚卸を行うと、可視化すべき範囲が見やすくなる
業務棚卸を行うメリットは、業務全体を把握できることだけではありません。どの業務から可視化・改善に取り組むべきかを判断しやすくなる点にもあります。
業務改革では、すべての業務を一度に詳細化しようとすると、時間も工数も大きくなります。限られた期間と体制の中で成果につなげるためには、どこを優先して確認するかを決めることが大切です。
たとえば、関係部門が多い業務、手戻りや確認作業が多い業務、システムとの関係が複雑な業務、現場から課題感が強く出ている業務は、検討すべき要素が多く含まれているため、可視化の優先度を上げる必要があります。
業務棚卸を通じて、業務量や関係部門、使用システム、課題感などを整理しておくと、可視化対象を選びやすくなります。結果として、後続で実施する業務フロー作成や問題分析も、目的に沿って進めやすくなります。

5. 業務棚卸テンプレートで、業務全体を整理する
業務フローの作成に入る前に、まずは以下の「業務棚卸テンプレート」を活用して、自社の業務全体を整理してみましょう。このテンプレートでは、業務名、関係部門、使用システム、業務量、課題感、可視化優先度などを整理できます。業務が複雑で全体像が見えにくい場合や、どこから業務可視化を始めるべきかを検討したい場合に活用できます。
業務フローを作成する前に、まずは自社の業務全体を棚卸し、可視化すべき範囲を整理してみてください。
業務フロー作成の前に、業務全体を整理しませんか?
業務名、関係部門、使用システム、業務量、課題感、可視化優先度などを一覧化できるテンプレートです。
自社の業務全体を把握し、どこから業務可視化に取り組むべきかを検討する際にご活用いただけます。

